晴耕庵の談話室

NO.20


HELLO

98/ 7/23
標題: ロンドン憶良氏へ(戸田市の街づくり)

前略。ロンドン憶良様

私、それほどネットを活用したわけでもありませんが、ロンドン見聞録「二つの
レガッタ」を見て、はじめて有益で面白い情報に出会えたと感激しております。

 実は、建築・都市計画という分野の仕事をしているわけですが、最近某大学教
授の紹介から、戸田漕艇場(戸田公園)を中心にした戸田市の街づくりを考える
市民団体に招かれ、レガッタをテーマとした街の活性化について意見交換をして
きたばかりです。それから数週間書店や、英国政府観光局等にレガッタの資料や
イメージ写真、ヘンリー・ロイヤル・レガッタの情報収集をはかったのですが、
良いものに巡り会わないどころか、ほとんどないのが実情でした。

そんなこんなしている時に事務所の所員がたまたまこのホームページを発見した
次第です。
プロはだしのイラスト(プロであったら納得)や何といっても、遊び心のある環
境、状況を日本に作るべきだとおっしゃるにはまさにそのとうりだと思います。
レガッタを見ながらの優雅な一時の雰囲気が絵から良く伝わりますし、4人のお
子さまがたが実に良いですね。

 私もこの機会に戸田公園を訪れましたが、今どき都心に全長2.5kmの直線の水
面を持つランドスケープなど探しても見つからないでしょう。大変魅力的でかつ
このままにしておくには勿体無い素材であると感じました。具体的にこのプロジ
ェクトを何らかの形で立ち上げたいと考えておりますので、後日また連絡を取ら
せていただき、意見を聞かせていただければ幸いです。

その他のページも大変面白く読ませていただきました。
ますますの御活躍を願っております。

                     U都市計画設計事務所
                          T.S.


SUGGESTION

U都市計画設計事務所
T.S.様

拝復
私のホームページをご覧いただき、また「二つのレガッタ」の真意をご理解いた
だき、うれしく思います。
戸田はボートのメッカとして思い出があります。昨年は大学定期戦のシニアOBレ
ース(平均約60歳)のコックスをして、僅か300メートルですが往年の感激
を味わいました。

琵琶湖や南郷などの景勝地を控えた瀬田川ですごしたせいか、戸田は従来機能だ
けを求めた設計で、面白味がないと感じて来ました。
昔と違って家が建て込み、都市計画には難しい面もおありでしょうが、戸田市が
レガッタを中心に町おこしをするのは大変結構と思います。

地方クルーの立場やヘンレーなどを見学した経験などから、戸田は荒川という素
晴らしい環境を取り込めば面白い発展があるような気がします。

個人的な意見ですが、もしご参考になれば御笑覧ください。

1 荒川とのアクセス

折角荒川の側にありながら、荒川とのアクセスを自ら拒んだような設計で、土手
で仕切られています。
コースは混むので荒川での練習が必要でしょうが、土手を越すのが大変です。
荒川を取り込めれば、戸田は老若男女クルーでもっとにぎわうでしょう。
水位の差はドック方式で調整出来るでしょう。
もしあの水が還流すれば、コースもより清流になるでしょう。
昔は防災上無理があったかも知れませんが、現在の技術では容易ではないでしょ
うか。

2 広く水の遊び場としての施設とそのPR

ヘンレーやマロウなどテームズ上流は釣りや観光でも楽しめますが、戸田には
そのイメージが湧きません。
(競漕というマイナーなスポーツと競艇というギャンブルのイメージに加え川向
こうという日本的妙な古い感覚が東京の人に見られます)

土手には桜や楓などの並木を植え、葦の生えた自然豊かな荒川を取り込んで、
河川敷には景観にマッチした(俗悪でない)レストハウスや木陰のベンチなど
老人婦人子どもなど家族ぐるみでゆっくり安らげる公共の施設などできれば、
と前々から感じていました。(人工的遊園地は願い下げですが)

対岸の景観保護についても共同歩調がほしいですね。

現在の戸田コース周辺では友人や家族と行っても食事やコーヒーもとれないので
単身電車で行っていますが、殆どのOBも同様でしょう。
ましてやボートに関係のない方々には無縁の地です。

アクセスもよくなりましたが、少し離れていても、家族で楽しむには駐車場がほ
しいですね。

3 レガッタにこだわらず

荒川の河川敷を小ボートや小ヨットがアクセスできるようにし、またカヌーや
カヤック・スカールなど個人が持ち運び、あるいは市や市民が保有しレンタル
出来るシステムを作ると、レガッタがなくても、誰もがいつでも楽しめる1.2
泊アマチュア向け川遊びのメッカになるかと思います。
カヌー・カヤック・スカールなどの常設訓練センター(初心者向け)などには
最適ではないでしょうか。

4 宿泊施設

また地方クルー(高校大学社会人)のために戸田市が安いハウスを提供してくれ
ると、喜ばれると思います。
(すでにあるかもしれませんが)昔は農家に合宿して、東大や慶応などと戦った
ハンディキャップは40年たってもあるような気がします。

1.2泊アマチュア向け川遊びのために、英国のように本来の民宿(夕食なしの
安いBB)を市内の市民の中に育てると、市内の食堂喫茶などともに活性化する
のではないでしょうか。

5 イベント

東松山のスリーデー・マーチのように、市内の施設をあげて、戸田荒川スリー・
デー・オン・ボートのような市民祭典もありうるのではと思います。
市民の多数が参加し町も相応ののメリットを得られるのがポイントです。

いろいろ書きすぎましたが、水を愛するロンドン憶良の戯れ言とお笑い下さい。
ご活躍をお祈りいたします。

                      ロンドン憶良

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