女王の島
(前頁より)



今なおノルマンディ公の末裔としての女王の領土として、独立した自治
を続けているのは面白い。
バンク・オブ・イングランドの銀行券が使われ、そのガイドを受けてはい
るが、紛れもなくここは英国ではない。女王の個人の島なのである。

余談ながら、第二次世界大戦の時、ドイツ軍はノルマンディの海岸に
釘付けになって、英仏海峡を渡れなかったと言われているが、実はこ
のチャネル・アイランドは占領されている。

「ところで、憶良さんは何用でそんな辺鄙な離島に行ったのですか?」
と問いかける読者諸氏もいよう。

「いやいや、むにゃむにゃ、ある種の特別調査と実行のためにね。
それが何であるか、銀行員は守秘義務があるからね。勘弁してよ。
今日の話は、イングランドとフランスは、海を隔ててはいるが、昔から
何かと往来があって、仲よくするかと思うと骨肉の争いもしてきた歴史
があったことを回顧する、格好の題材だったね」

レイボラック氏と憶良氏はタックス・フリーのブランデーやワインを土産
に買った。そうそう、四人の子供たちには、この島のきれいな記念切手
シートを買ったことも付け加えておこう。

ロンドンへ向かう機内で、憶良氏はこう考えた。

(日本でも、沖縄や離島のために、こうした特別の税制地域を作ると
か、国で土地を買い上げて、乱開発を防ぎ、健全な公営リゾート貸し
別荘を作るとか、奇想天外なアイディアを実行してみても、面白いの
ではなかろうか。女王様は結構賢い。つべこべ言わない国民も賢い)


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