年頭所感

ロンドン憶良はかく語りき



今年は特に21世紀の幕開けなので、あらためて20世紀の回顧と展
望をしてみたい。

1 紛争の20世紀

20世紀は、人類の歴史の中では地球規模で戦争や紛争をした愚か
な世紀でなあるまいか。

ロシヤ革命、第一次世界大戦、第2次世界大戦、ベトナム戦争、中東
戦争、湾岸戦争、インド・パキスタン戦争、ユーゴスラビヤの民族紛争、
文化大革命、クメール・ルージュの大虐殺、北アイルランド紛争、シオ
ラレオネの内乱など数え切れない。

それぞれがイデオロギーや大義名分や宗旨を掲げて、自己主張の正
当化を図ってはいても、とどのつまりは、国家・民族・宗教・階級・経済・
イデオロギーなどの要因と、個人や国家や団体の物欲・権勢欲領土欲
など欲望が複雑に絡んでいる。

核開発や化学兵器を取り上げても、地球上には人類を数度殺せるほ
どの爆弾が製造保管されているという。その実験段階で核汚染された
地域は多い。

人類という傲慢な種が、効率・発展・繁栄を求めすぎた為に、地球の
生態系を大規模に破壊している。人類以外の動物・植物には20世紀
の人類は霊長類どころか、迷惑至極な種ではなかったろうか。

戦争や紛争の犠牲者は常に弱い大衆であり、他方で紛争により利益
を得ている人や国もあることを見落としてはならない。

2 健康体から重病に急変した日本の財政

「日本が重病とは憶良氏は、またまたオーバーな」と言う方もいよう。
しかし国家や地方財政の現実を直視しよう。国民が、国家や地方の
財政支出にもっと関心を持たねばならない。

クリントン政権が巨額の財政赤字を大幅に改善したというのに、日本
の国家財政はかってG7の最良国から最悪国に転落した。ここ10年
ほどの悪夢のような変化である。

高速道路も新幹線も地方まで行きわたり、便利で物質的には富裕な
生活になったが、それは子孫に残す負の遺産の上になりたっている
ことを忘れてはなるまい。
20世紀の大人は、21世紀の子孫に「美田」どころか「荒地」(巨額の
財政赤字)を残した事実に目をつぶってはいけない。
「恒産なくして恒心なし」という諺がある。個人でも企業でも国家でも、
資産以上に負債がある債務超過の状態になっては危険である。

3 21世紀の展望

(1) 和平への国際協力

ホーム・ページの制作過程で多くのことを学んだが、そのなかでクリ
ントン大統領やブレア首相が、勢力的に世界規模の和平にリーダー
シップをとって取り組んでいるという印象が強い。

ブッシュ大統領がどのように行動するのか未知数であるが、G7や中
国、ロシアの大国が、21世紀の帰趨を決めるであろう。

結論から申せば、個人も国家も、政治・宗教・経済・などあらゆる分野
で、金銭的・物理的な「成長」や「拡大」を見直すことであろう。
地球という有限の世界を永遠に維持するには、どこかで成長信仰を
停止する必要があろう。

反面、精神世界の「成長」や「拡大」は歓迎である。血を血で争い、欲
望の権化であった20世紀の人間の精神世界が、万葉やルネッサン
ス時代より知的に高いといえようか。

(2)日本国民は堅実・謙虚に

日本人は政府も国民もつつましく暮らし、国家や地方財政建て直し、
企業財務内容改善、個人生活の健全化をはかってはどうだろうか。

日本の国際協力も、従来のようにお金だけ出すというわけにもいか
なくなるだろう。中国に日本語教師としてボランティア活動している級
友が二人いる。それぞれが無理なく出来る範囲で国際協力すれば
よい。

(3)異質の容認と共存

人種や民族や、宗教や思想の相違を敵視せず、異文化・異宗教・
異民族の存在を認め合い、共存する世界となりうるかどうか、が極
めて重要である。科学の発達により小国といえども大国を殲滅でき
るような核兵器や社会システム破壊はより容易になった。

人類は、国境を越えて、相互理解し、世界の和平と、貧困の絶滅
と、生態系の維持回復にこそ、協力しなければなるまい。

このホームページも、日英関係の相互理解を主にはしているが、
世界の相互理解の一助になるよう、アップロードを続けたい。
異文化を認めることは、異なった考えや人格との共存である。
多様性を認め、村八分やイジメをしないことにもつながる。

以上が憶良氏の、ちょっと気取った2001年の年頭所感である。
21世紀を担う若い方々の参考になれば幸せである。



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