UKを知ろう


イングランドの名門銀行、スコットランドに降伏


NatWest遂にロイヤル・スコットランド銀行に買収さる


日英で対照的なTOBの成否





日本では敵対的(非友好的)株式公開買付(hostile takeover bid)
はまだ毛嫌いされており、一般的ではない。
2000年2月15日の朝日新聞によれば、元通産省OBの投資会社
エム・エイ・シー(資金はオリックス支援)による東証二部上場企業の
昭栄(不動産・電子部品)のTOBは失敗したと報じている。

しかし、経営内容に問題ある大企業や、微温的経営の低株価企業
が、資産内容の良い企業あるいは資金支援のある企業に公開買付
されるのは、欧米では通常の商行為である。



昨年9月「小が大を呑む買収宣言」として、スコットランド銀行(BoS)
が、イングランドの名門大銀行NatWest(ナショナル・ウェストミンス
ター銀行)に、敵対的公開株式買付(hostile takeover bid)を仕掛け、
続いて現地で競合するロイヤル・スコットランド銀行(RBS)も買収
に名乗りをあげたことをアップロードした。

その後の帰趨を興味深く見ていたところ、2月11日のBBC NEWS
は、「英国銀行界にショックを与えた買収闘争は、NatWestの全面
降伏で終結した」と、次のように報じている。
買収価格は210憶ポンド(約3兆7千億円)。

NatWest has finally capitulated to Royal Bank of Scotland's
」21bn hostile takeover bid.
Its surrender ends months of battling between RBS and its
arch-rival, Bank of Scotland, for control of NatWest in a
takeover tussle that galvanised the UK banking industry.



名門NatWestの名前は残され、この買収によりRBS-NatWestは
英国では香港上海銀行(HKSH)、ロイズ銀行(Lloyds)についで
第3位の銀行(欧州では7位)となる。
英国4位はバークレイズ銀行(Barclays )である。

勝利したRBSはグループ総従業員94,000名、店舗総数2,400店
となるが、人員は18,000名削減されるとみられる。

一方買収競争に敗れたスコットランド銀行は、逆にロイズ銀行や
バークレイズ銀行の標的になることも予想されると報じられてい
る。

Hunter hunted

Left out in the cold by RBS's victory, BoS could now find
itself the target of takeover bids from other rivals, such
as Lloyds TSB or Barclays.



日本の大銀行も、量を競い不良資産を抱え込んで経営に失敗し
たり、私物化された事例がいくつかあるが、反面、バブルの最中
でも「シブチン」銀行と揶揄されながらも堅実経営に徹した地方銀
行や信用金庫もある。

護送船団方式は、あたかも戦後のグループ教育のように、ボトム
のアップに力点を置きすぎ、切磋琢磨・勤倹努力を怠った者を、
金融秩序の維持という大義名分で過保護してきた。
日本でも経営内容の良い地方銀行が、資産内容の悪い大銀行を
公開買付するようになると、経営に緊張感が出て、活性化するの
ではなかろうか。

公開買付けをする者を「悪者」と解するのは量見が狭い。
買付けに遭う方に問題があることが多い。
今回NatWestは英大手生保の買収に失敗し、株価を下げ、逆に
買収される結果となった。
ロイヤル・スコットランド銀行はれっきとした発券銀行である。
日本でもきちんとした企業が公開買付けをするようになるとよい。

今回の「小が大を呑む買収」は、経営は量ではなく質であることを
如実に示した一例であるが、経営のあり方だけでなく、スコットラン
ド・イングランド問題という面でも、合併後の経営成果が興味深い。



小が大を呑む買収宣言(TAKE-OVER BID)

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