UKを知ろう


中東和平、クリントン米大統領の仲裁で追加撤退に合意


10月23日、中東和平ロンドン会議のその後の状況に画期的な前進があったの
でまとめてみました。

今年5月、ロンドンでブレア首相が主催し、ネタニヤフ・イスラエル首相、アラ
ファトPLO(パレスチナ自治政府)議長及びオルブライト・米国務長官参加による
中東和平四者会談が行われたこと、
さらに、9月27日夜オルブライト・米国務長官が国連会議に出席するためニュ
ーヨークに来ているネタニヤフ・イスラエル首相とアラファトPLO議長を招き、同
長官と両首脳が個別会談後、急遽ニューヨーク三者会談を持ち、大半は両首脳
だけで直接話し合ったことは、このホームページでも紹介しました。

その後ヨルダン川西岸からのイスラエル軍追加撤兵問題で進展が見られませんで
した。

しかしクリントン米大統領は、ゴア副大統領、オルブライト・米国務長官を動員
フセイン・ヨルダン国王にも協力を求め、ワシントン郊外の民間宿泊会議施設
ワイ・プランテーションでネタニヤフ・イスラエル首相、アラファトPLO(パレス
チナ自治政府)議長と80時間に及ぶ粘り強い交渉を展開し、10月23日ヨル
ダン川西岸からのイスラエル軍追加撤兵問題で遂に合意、調印を実現させました。

今回の合意で和平交渉は一歩前進し、いよいよ最終交渉の段階に入ることとなり
ます。
「最終地位交渉」では聖地エルサレムの帰属問題や難民帰還問題が議題となって
いますので、まだまだ予断は許せません。



クリントン大統領が、今回の中東和平追加撤退合意を何としても実現させたいと
努力した背景には、11月3日の中間選挙を控え、「不倫疑惑」で低下した人気
を回復したいという背景があったと報道されています。(10.24朝日新聞)

しかしクリントン大統領が盟友ブレア首相とタイアップし、北アイルランド和平
や中東和平といった、数百年数千年の民族・宗教の絡む難しい問題に、形式的で
なく実質的に体当たりしている政治姿勢は高く評価したいと思います。
(「不倫疑惑」でトップの座にある者が嘘をついたことは別として)

クリントン大統領を政治の表舞台で活動させている演技監督役はヒラリー夫人と
思いますが、舞台裏の脚本とプロモーターはブレア首相ではないでしょうか。
なぜなら、中東問題をこじらせたのは他でもない大英帝国の二枚舌外交にあった
ので、その終結には責任があっても、また心を砕いても、ブレア首相自身は表舞
台には立てないからです。
北アイルランド和平と中東和平の解決のプロセスやスケールの大きい国際規模で
の人材の使い方に、共通点が見られる気がします。

いずれにせよブレア首相が主催した中東和平ロンドン会議は、クリントン大統領
という適時適役を得て、大きく前進しました。

(日本には国際舞台でこれだけの脚本が書ける首相や、体当たりで他国の紛争を
仲裁できる首脳はいますかねぇ・・・永田町劇場じゃーどうも・・・スケールの
大きい政治家を育てるのは、他ならぬ私たち国民の役目ではないでしょうか)

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