シェイクスピアは罪作り

(前頁より)



というわけで、憶良氏は美絵夫人におだてられ、少し調べてみることに
した。

ありました。ありました。シェイクスピア史劇ではドラマチックな『ヘンリー
五世』が。

えっ憶良さん、そりゃないで。彼は史実をちゃんと調べて書いているの
ではないの?
と、シェイクスピア愛好家の方々はおっしゃるであろう。
(詳しくは拙著「ロンドン憶良見聞録」(日経事業出版社)をお読みくだ
さい)

江戸川柳風に真似して発句してみれば、こうなろう。

シェイクスピア 見て来たような 嘘を書き

 
「ヘンリー五世は名君に描かれているからまだしも、悪王とされた
マクベスの方は、史実を理解して彼の名誉を回復してあげたいね。
どうもダンカン王の方が悪政を敷いていたらしいからね」
臍曲がり憶良氏は、シェイクスピア先生の筆のすごさに敬意を表しつつ
も、その筆の犠牲となったマクベス王にかなり同情したくなる。
シェイクスピア大好きという読者諸氏の、忌憚なき感想やいかに。


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