ロンドン憶良の世界管見


欧米列強に翻弄された”自由の国?”リべリア(2)


リベリアとはどういう国なのか




リベリア(Liberia)は西アフリカの独立共和国である。アフリカでは最も
古い共和国である。
日本では「リベリア」というが、英語の発音ではライベリアである。この
ネーミングにも次回に述べるアメリカの影響がある。

地勢的には、東はカバリ川を境にコートジボアール、北はニンバ山
(1752m)を境にギニアに接し、西隣はシエラレオネである。
地理的にも、心理的にも、政治経済的にも日本からは最も遠い国の
一つである。



海岸線は単調で良港は少ない。中小の河川が内陸から平行して南西
に流れ込んでいる。年間を通じて全般に高温多湿。国土の約40%が
森林という。耕作可能面積も約40%。

産業は、かっては植民地栽培のゴムの生産が多かったが、その後鉄
鉱石の輸出が70%に増え、天然ゴムは15%に減少した。
最近は、ダイヤモンド、鉄鉱石、天然ゴム、木材、ココアなどが
輸出品となっている。(BBC)

最近の年間国民所得は一人あたりUS$140(WorldBank2001)である。
平均寿命は、男子41歳、女子42歳と低い。(BBC)
  人口は約330万人(UN 2003)の小国であるが、20余りの部族に分かれ、
複雑である。なかでも5%未満の少数ではあるがアメリカ・ライベリアン
と呼ばれるアメリカ開放奴隷の子孫の存在が、多数を占める原住民族
との間に軋轢を生じてきた。

言語はマンデ、クア、メルという言語グループに属する29の現地語。
そのため英語が共通の公用語となっている。(BBC)
英語が公用語となったのは、建国の事情による。

宗教は、90%がアニミズム(精霊信仰)、7%がキリスト教、3%がイス
ラムという。

リベリアは、約200年前米国の植民地政策の下に建国され、その圧政
と庇護との間で、不安定な政治経済の混乱を続けてきた。共和国とい
っても独裁政治、恐怖政治、内乱により、政治は今なお不安定である。

リベリアの歴史は、欧米列強の覇権主義と部族国家固有の問題が絡
む。アフリカ諸国の持つ後進性の背景を次回に分析しよう。


上記は手許の小学館大百科事典によったが、データが古いので、最近
入手したBBC NEWS WORLD (10June2003)のデータを補記した。
 
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