ロンドン憶良見聞録

ダーク・スーツのいるゴルフ



かって日本の銀行は、国際金融業務をお互いに研鑚し、協調と競争
をしながら国際化を進めていった時期がありました。
銀行が不良債権の発生を恥じとした、バブル経済以前の1970年代、
『よく働き、よく遊んだ』「古き良き時代」(good old days)のエピソードを
紹介します。

昨今は銀行OBが遊びの話をすると、いかにも不謹慎のようなバッシン
グに曝されそうですが、おおらかに『遊び』ができるような世の中になっ
てほしいものです。

閑話休題



「ゴルフするのに何で黒っぽい背広がいるの?憶良さん、最近は日本
のクラブ・ハウスでも上着着用のところが多いけど、いかになんでもダ
ーク・スーツは場違いじゃないの」

「そうだよな。昭和一桁いかに野暮天の俺たちだって、洒落たとは言わ
ないまでも、カジュアルな替え上着ぐらいには着替えているよな。濃紺
のビジネス・スーツなんかゴルフの後で着れるもんか」

「かの有名な川奈ホテルだってダーク・スーツはいらないよ。憶良さん
もそろそろ英国ボケになったのではないか」
と親友たちから猛反撃を食いそうな題になってしまった。

「待て待て、憶良さんの話はいつも傾聴に値するではないか。騙され
たと思って最後まで聞いてみようよ」
というありがたい友もいる。
読者諸氏も、たかがゴルフの話かとおっしゃらずに、暇つぶしにコーヒ
ーでも飲みながら、付き合って欲しい。



1970年代の各銀行ロンドン次長方には、俊秀豪傑が綺羅星のごとく
集まっていた。
「俊秀豪傑」が美辞麗句でなかったことは、20年後、頭取・副頭取・社
長・副社長・専務あるいは教授など輩出し、大活躍されたことがこれを
例証している。

しかし一方では、かなりヤンチャな次長たちだった逸話を紹介しよう。
(部下行員・社員の尊敬を一身に集めていた元次長の皆さん、ごめん
なさい)


次頁へ

「ロンドン憶良見聞録」の目次へ戻る

ホームページへ戻る