ロンドン憶良の世界管見


熟視すべし世界の情報格差(デジタルデバイド)


経済大国なれども情報生活中進国の日本?


独・仏・伊の非英語大国も




“インフォメーションコーディネータ”の杉井鏡生(あきお)氏に、経済
水準とインターネットホストの普及率との関係について、分析しても
らったという、ASCII24に掲載されている世界の情報格差(デジタル
デバイド)のレポートは、世界における日本の現状と今後について
考えさせられる。

そのデータを借用し、憶良氏流に先進20ヶ国を対象に比較しよう。


国名 1人当りGDP ホスト数   ホスト数/GDP
(1998年)(US$) 2000年1月推計 x100
1 Switzerland 36,923 6,943 18.80
2 Norway         33,106 15,074 45.53
3 Denmark        32,942 10,625 32.25
4 United States     31,488 14,613 46.41
5 Japan          29,957 3,472 11.59
6 Hong Kong       27,736 2,795 10.08
7 Sweden         26,456 11,141 42.11
8 Singapore       26,427 7,013 26.54
9 Germany        26,361 3,452 13.09
10 Austria        26,142 5,586 21.37
11 Finland         25,102 20,362 81.12
12 Belgium    24,978 5,265 21.08
13 France         24,641 2,207 8.95
14 Netherlands      24,068 8,692 36.12
15 Ireland          24,041 5,394 11.16
16 United Kingdam   23,668 5,394 22.79
17 Italy   20,938 1,913 9.13
18 Canada         19,887 9,015 45.33
19 Australia  19,279 9,713 50.38
20 U. Arab Emirates 17,729 1,371 7.73


1 一人当たりGDP(総国内生産高)は約3万ドルと日本の経済的な
  地位は上位第5位と高い。換言すれば所得では大国との格差は
  ない。

2 しかしながら人口10万人当たりのインターネット・ホスト数で比較す
 ると、意外な事実に驚く。

 (イ)フィンランド・ノルウェー・スェーデン・デンマークなど北欧の国
   々の水準がきわめて高い。
   (レポートは女性の社会進出が高いと、相関関係を指摘)

(ロ)アメリカはもとより、オーストラリア・カナダ・ニュージランド・シン
   ガポールなどの英連邦各国はUK以上に高く、オランダ・スイス・
   オーストリア・ベルギーなどの欧州の各国もそこそこの水準に
   ある。

 (ハ)これに対し、日本・ドイツ・ホンコン・フランス・アイルランド・イタ
   リーなどが予想以上にインターネット・ホスト普及率が低い。
   日本の大型パソコン普及は先進20ヶ国でも進んでいると思わ
   れるが、それをインターネット・ホストとして開放しているかと
   いうと、最下位グループである。

3 所得(GDP)とホスト数の関係を、情報格差(デジタルデバイド)
 という見方をすると上位国との間に、明確な格差が出ている。

  国民所得とパソコン普及(情報通信の高度化)のバランスがとれ
 ている国々をみよう。
 フィンランド・オーストラリア・アメリカ・ノルウェー・カナダ・スェーデ
 ン・オランダ・デンマークの順になろう。

 要約すれば、日本とは4-5倍の情報格差がある。
 つまり、日本は国民所得が高くても、パソコンによる情報入手や
 発信に、上記の国ほど意欲的ではない国といえる。
 
 日本国民が、つまらぬワイドショーなどで馬鹿笑いしている間に、
 世界では時々刻々情報の小国になり、情報格差は拡大している。
 政府は情報格差(デジタルデバイド)の解消に、積極的なのだろ
 うか?

4 なぜ日本・ドイツ・フランス・イタリーが低いのか。
 ドイツは東ドイツとの合併で、国内に所得格差が大きいのではな
 だろうか。フランスはもともと農業国である。
 イタリーは北と南は別国のように文化経済格差がある。北だけで
 は格段に高くなるであろう

 もう一つの共通点は自国語に誇りを持つ非英語大国であることだ。
 かなりの国民が、英語を必要とせず、パソコン文化を必要と感じて
 いないのかもしれない。

5 情報格差(デジタルデバイド)の低い国民は、情報入手手段が
 テレヴィや新聞などマスコミに依存せざるをえない。
(情報受身国ともいえる)
 国家の規模と平均的国民の情報生活水準の高さは必ずしも一致し
 ないことが、このデータでも良く分かる。

 UKも高くはないがそれでも日本との情報格差は2倍ある。
 日本のパソコン普及はもっともっと推進すべきであろう。
 が、同時に、大学や企業や公共機関が、インターネット・ホスト
 として、より活躍してもらいたいものである。

 皆さんはこの表を見て、どう感じましたか。

出所=ホスト数はNetwork Wizards社調べ、人口は国連調べの'99年央
推計人口、1人当たりGDPはIMF調べ('98年)

《“インフォメーションコーディネータ”
杉井鏡生 sugii@mtc.biglobe.ne.jp》

 Network Wizards社
 http://www.isc.org/ds/



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