UKを知ろう


Good-bye,Mr.Chips


労働党内閣、学校給食に基準を導入




"Good-bye,Mr.Chips"「チップス先生、さようなら」といえば、英国で
は大人から少年少女まで愛読しているJames Hiltonの名作である。
日本でも高校や大学教養課程のテキストとして読まれた方は多い
であろう。

教師として生徒を愛し、引退しても校庭で遊ぶ孫のような子供たち
の元気な声を聞きながら、穏やかな晩年を過ごし、眠るがごとく人生
を閉じたMr.Chips。彼を理想的な英国人の生涯と夢見る人は多い。

学級崩壊や国旗君が代論争で日本の先生方は大変であろう。が、
中にはあのチップス先生を懐かしむファンの方もいよう。
現に二・二年前のことだが、会社の先輩でE-MailフレンドのTさん
に、”Good-bye,Mr.Chips"を読みなおしているとメールしたら、すぐ
に学生時代暗誦していたと冒頭部分を返電して来たのに驚いことが
あった。

未読の方にちょっと紹介しよう。

When you are getting on in years (but not ill,of course), you get very
sleepy at times, and the hours seem to pass like lazy cattle moving
across a landscape.It was like that for Chips as the Autumn term
progressed and the days shortened till it was actually dark enough
to light the gas before call- over. For Chips,Like some old sea-captain,
still measure time by the signals of the past; and well he might,for he
lived at Mrs.Wickett's, just across the road from the school.・・・・・・・



ところで先日のBBC NEWSに"Good-bye,Mr.Chips"という見出し
があった。
何事ならんと読んで見ると、チップスはチップスでもポテトの方であ
った。

労働党政府は、児童の健康的な見地から、学校給食の素材の使用
に基準を設定するというので、議会でもめたという。

児童の好きなポテトチップは、毎食のように出ていたが、これを健康
上週3回以上はいけないとした。(だからチップスよ、さようならだ!)
ビーンズは週1回。(経済的理由か)
面白いのは、ポテトチップスをつけなければ、ピザはいいと。
両方つけるとお代わりで大変なのか、どちらも油ッ濃いからか。
タンパク質は魚は週1回。赤い肉は週3回という。
日本と違って、学校は週5日制である。するとあと一日は鶏の肉あたり
になるのだろうか。
新鮮な果物は週2回という。
反対派は、政府の基準は『乳母のお節介』のようだと。

それにしても油で揚げたポテトチップスを、GB(グレート・ブリテン)で
は『フレンチ・フライズ』という。
UKとフランスは、仲が良かったり喧嘩したりの歴史であるから、ポテト
チップスを食べながら、フランスを食っている気分になるのだろうか。

小説の主人公とはいえチップス先生も、作者のJames Hilton氏も、突然
"Good-bye,Mr.Chips"との見出しに、さぞかしびっくりしたことであろう。
未読の方には、ゆっくりと紅茶でも飲みながら、ご一読をお勧めする。
ほのぼのとした香気が漂う作品である。

それにしてもBBCのコピーは、英国でも教育問題が波風立っている
背景をも暗に描写し、なかなかのユーモア・センスであると感じた。



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