2001/4/8(日) 久々に映画の感想など
話題の「ハンニバル」は、感想を求められると困る映画だ。
「羊たちの沈黙」を期待して観に行くと、かなり違うので困ってしまうと思う。グロテスクさで「怖かった〜」っていう人はまだしも、そうでない人はちょっと肩すかしを食らった印象を持つような気がする。
だって、原作「ハンニバル」を読んだ人はその時点で、良くも悪くも「前作までと打って変わった物語」だと思ったはずで、この作品は前作のようなサスペンスフルな展開で魅せるものではないのだ。
映画は、長い原作を非常に巧みに無駄なく再構築し、これ以上ないほど見事な手さばきで物語を進行していく。
その一方で、原作にあったレクター博士の嗜好や思想の深みはほぼすべて省略されていく。結果、原作にあった芳醇なワインのような香りは消失し、単純な出来事の羅列としての「ハンニバル」がスクリーンに展開されていくのである。
だからといって、それがダメなのかというと、他にどうしようがあったのか思いつきようもないから、「あの原作をよくもまぁここまできちんとまとめて見せたもんだ……」という感想になってしまい、冒頭に書いたように”感想を求められると困る”なんてことになってしまうのだ(苦笑)。
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