泌尿器科医・木村明の日記


エーザイのクリニシアン


[木村泌尿器皮膚科公式ブログ]

最近エーザイは泌尿器科医と関係のある薬は扱っていないようで、エーザイのMRさんが来られる事はありませんが、
昔は皮内テスト不要の抗生物質が術後感染予防目的でかなりのシェア占めていて、その薬の情報提供のため、よく来られていました。
その頃、クリニシアンという小冊子をよくもらっていました。
各科の専門家が最先端の話を、他科の医者にもわかりやすく解説していました。
1983年のものからネットで見ることができます。
懐かしいですね。30年ぶりにタイムカプセルを開いた気分です。
これを見つけたきっかけは、2月11日の皮膚科学会
会長は神奈川県にある大学の教授でしたが、その教授が講演で、前任のN前教授の言葉を頻回に引用されていました。
横浜で開業されている皮膚科の先生で、その大学出身の方は、プロフィールに「N前教授に教わった」と書かれていることが多く、よき指導者だったようです。
N前教授のことに興味を感じ、ネットで調べていたら、偶然クリニシアンのバックナンバーが出てきたのです。
ドクターフリッカーが医者になった1988年はC型肝炎ウイルスが発見された年だ、というのはビタミンママワイドで聞きましたが、
ではその頃、医療に携わっていた人間はどれくらいC型肝炎を知っていたのでしょう。

クリニシアン1989年5・6月号には大学輸血部の講師の原稿が出ていますが、非A非B型肝炎という呼び方がまだ使われていました。
画期的な論文が出ても、それが正しいと評価されるには、そしてさらに一般臨床医に常識として広がるには時間がかかるんですね。
こういう論文が出ているから、その年に医者全員がそう認識したはずだ、というわけでもないのです。
今、アトピー性皮膚炎の原因として盛んに取り上げられるフィラグリン
これが主役か、脇役か、論文発表5年経った今でも、評価は定まっていませんし。
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