泌尿器科医・木村明の日記


スマートフォン向け尿管結石電子書籍 ー 第1章


[木村泌尿器皮膚科公式ブログ]

連番のjpgファイルを並べれば、スマートフォン向け電子書籍ができるという便利なページを見つけたので、早速試作です。

という感じで、尿管結石を解説した原稿をWordで縦書きにし、印刷プレビューを画面コピーして、連番のjpgファイルを作成しました。
基になった原稿はこちら。
尿路結石は、尿の通り道(腎盂、尿管)に石がある状態です(図1)。  典型的な尿路結石の症状は突発する激痛で、石のある側の側腹部が痛くなります。尿に感染のない限り発熱は伴わず、また、胆石、虫垂炎などと違って、痛いところを押されても痛みは増強しません。 尿路結石は腎盂で育ち、尿管へと流れて行きます。石が尿の流れをせき止めると激痛が起きますが、尿が石の横を流れるようになると、うそのように痛みが消えます。痛みは、石の大きさとはあまり関係がありません。むしろ、小さい石のほうが、痛みが起こりやすいとすらいえます。これは,大きい石はあまり動けないので,その場でゆっくりと大きくなるだけで突然尿の流れを塞ぐことがないのに対し,小さい石はある日突然腎盂から剥がれて落ちてきて,尿管の細いところにつまるからです.  痛みの発作を起こした時には、救急医を訪れて痛み止めを処方してもらうことになりますが、うまく効くと、たちまち痛みが消えてしまいます。時には、なにもしないうちに、うそのように痛みが消えることもあります。このような激痛ではなく、背部の鈍痛や血尿などで発見されることもあります。 診断には尿検査をします。血尿(肉眼でわかるほど赤い場合と、顕微鏡で見るとわかる場合とがあります)を認めます。超音波検査やレントゲン検査で、石が映っていたり(図2)、腎盂や尿管が膨らんでいたり(図3)すると診断がつきます。 治療には痛み止めを使いながら自然排石を待つ場合と、手術を行う場合があります。  尿路結石のうち8割は、結石が小さいうちに尿路を通って、自然に体外に排出されますが、残りの2割は排出されぬまま大きくなって、治療をしなければならなります。 幅が6mmまでの石では、自然排石が期待できるので、痛み止めで様子を見ます。石がだんだんに下にさがってきて、尿管から膀胱に落ちてしまえば、痛みから解放されます。そして、次の排尿の時に、尿と一緒に石が飛び出します。 石の幅が6mmを超えると、自然排石の可能性は低くなります。また、幅が6mm以下の石でも、どのくらいの日数がかかるのかの予想はできません。  石が腎盂の出口や尿管につかえている場合には、それより上流が拡張します。腎盂が拡張しているのを放置しておくと、腎の実質が圧されて薄くなって腎臓の機能が失われてしまいますので、あまり長く自然排石を待てません。 その場合には,衝撃波で結石を破砕する装置(図4)で治療します。患者さんはベッドにうつ伏せになり、背中に衝撃波発生装置をつけます(図5)。水が満たされたゴム袋を体に密着させます。衝撃波は水とゴムを経由して体内に伝わっていきます。結石が焦点にあるかどうかを超音波で確認しながら衝撃波を発射します(図6)。麻酔は原則不必要なので、治療後すぐ歩けますし、食事もとれます。粉々になった尿に混ざって数日中にでてきます。  ただし、この装置が得意とする石は、腎臓の石です。尿菅の石ではうまく粉々にできない場合があります。衝撃波は結石を表面から少しずつ砕いていきます。石が尿菅にぴったりはまり込んでいて石と尿管の間に隙間がない場合は、砕いた破片がその場に留まるため、中心部にエネルギーを伝える事ができません。 その場合は内視鏡手術を併用することがあります。尿管鏡を、尿道・膀胱を経て尿管に挿入し、レーザーで砕石します(図7・8)。
この時の原稿です。
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