腎癌診療ガイドラインTVシンポジウム
最近腎癌への使用が認可された経口の分子標的薬:スニチニブを販売している製薬会社が開催したTVシンポジウムに参加しました。
昨日の診療終了後、新横浜の営業所に行きました。これが、各会場を結ぶカメラ。
座長は東京に、演者は盛岡にいます。質問を受け付ける時間は、質問者のいる営業所(船橋、札幌など)の映像が映ります。
この製薬会社は
過活動膀胱治療薬と
ED治療薬を作っている会社ですが、担当のMRさんはスニチニブを開業医に説明する事はありません。
転移を伴う腎癌に使う副作用の強い薬を、開業医が処方する事はないからです。
いつもは
過活動膀胱勉強会にしか誘ってくれないMRさんが、「勤務医向けの勉強会ですが」と、腎癌診療ガイドラインTVシンポジウムの案内をくれました。
私のサイトは
前立腺関係、それに付随して
頻尿・過活動膀胱ではよくヒットしますが、腎癌ではヒットしません。
したがって、腎癌についてセカンドオピニオンを求めて来られることはないのですが、勤務医向けの勉強会にも参加したかったので、行ってきました。
腎癌診療ガイドラインとは、腎癌の患者さんにどういう治療をするのがEBM(証拠に基づく医療)に沿っているか、を書いたマニュアルです。
スニチニブについては、転移を伴う腎癌に使うことについて推奨度B(使う事が勧められる)と認定した根拠の論文の紹介でした。
すべて海外の論文。EBMとして価値が高いとされる論文は、
無作為割付比較試験。くじでスニチニブを処方するかしないかに割付け、どちらが長生きしたかの試験。
この手の論文を日本で出すのは難しいでしょうね。
プロペシアや
シアリスや
ステーブラの無作為割付比較試験なら、対照群に偽薬を飲ませることも可能でしょうが。
死ぬかもしれない患者さんに偽薬(何の効果もない)を飲ませることなど日本ではできませんから、日本の抗癌剤の専門家たちは海外の論文を紹介する人、と化していくんでしょうね。
お茶と軽食での勉強会のあと、タクシーに乗せてもらって帰宅。新横浜や横浜での勉強会の帰りはいつも飲酒後。しらふで見る車外の風景はいつもより鮮明でした。
しらふのほうが頭が冴えている、と当たり前のことを感じながら帰ってきました。
2008年1月31日