超音波学会指導医ですが、知らない事ばかりでした。
先週土曜日は泌尿器科学会、今日は超音波学会。先週は演題を出していたので休診したが、今日は聴講だけなので、診療終了後に行った。着いたときにはもう泌尿器科関係の演題はなく、心臓の話を聞いた。勤務医時代は、自分の研究を発表する事、似た仕事をしている他大学の揚げ足をとること(これが行き過ぎると、韓国の幹細胞の教授のようになる)が目的で、心臓のセッションには参加してなかった。
参加してみてびっくり。エコー検査での血流量は断層像で計測した血管の直径の2乗にドップラーで求めた流速を掛け合わせて計算するので、直径の誤差に大きく依存するのだそうだ。心臓に開いた穴の半径が3mm(面積は3x3x3.14)か4mmかで、計算値は倍になるのだ。
前立腺計測で博士になった私には
断層像での距離計測がいかにいい加減なものかよく分かっていたが、受け持ち患者を内科医に見てもらう際には、循環器科医に「心エコーをオーダーしてください。」、「この心拍出量では、手術は危険です。」と言われると動かしがたい事実だと感じてしまっていた。手術の可否を決める検査が、こんなに誤差の多い、検査技師の技量次第の検査とは思わなかった。
私がかわりに心エコー検査することはできなかったが、「なぜこんなに低いんですか?血管径が細いのですか?流速が低いのですか?」ぐらいの質問はすべきだった。
超音波学会から指導医を委嘱された人間だが、血流量がこんな幼稚な方法で計算されているとは知らなかった。
2006年10月28日の院長ブログ原稿
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