東京小さな旅 大久保PC房(韓国発IT)ストリート

大久保PC房(韓国発IT)ストリート


韓国系の情報発信地、新宿・大久保にまた新しいトレンドが登場しました。
韓国で「PC房」(ピーシーバン)と言われる、「PCルーム」です。40、50台のパソコンがずらりと並び、夜はアジアの若者で満員となっているそうです。
 「PCルーム」とは、インターネット対戦ゲーム、無料国際インターネット電話やTV電話システム(ビデオ・チャット)、ネットのTV放送やデジタル音楽が低料金で楽しめる場所で、韓国ではこのPC房が爆発的人気を呼び、ネット通信のインフラ整備を急速に促進しました。
その鍵となったのが、ネットワークゲーム「スタークラフト」です。 
これは対戦ゲームで、チーム対戦プレイも可能なところが、大きく受け、しかも相手は人間で飽きさせない。
このチームプレイの必要性が、PCルームの大流行を生み、そして従来のWeb閲覧主体のインターネット・カフェをも、ことごとく「PCルーム」へと変貌させたようです。 
最初はPCルーム店内の対戦で満足していた若者達も、それでは物足りなくなり、他のPCルームとの対戦へと変化し、そのためには、大容量で高速な回線インフラでPCルームが相互に接続され、PCルームに次々と回線インフラが整備されていき、今度はその回線インフラの性能をフルに活用したビデオ・チャットやインターネットTVが普及しました。
一方で、個人が一度PCルームの快適な環境に慣れてしまうと、もう元の遅い回線インフラには戻れません。
そのニーズに呼応するかのように、個人・家庭を対象とした高速回線サービスが次々と生まれ、まずは都心部の集合住宅から、郊外へと急成長していきました。この、若者の飽くなきゲーム熱と「PCルーム」が、韓国全体のITインフラと産業界までをも進化させるに至り 同様の「ネットゲーム・センター」は台湾・香港・シンガポールなどのアジアのIT先進地帯でも見られ、中国やマレーシアでも急増しています。
 その「PCルーム」が、大久保に10軒以上になりました。
母国で慣れ親しんだ環境(高速回線)が、家庭ではほとんど実現できない現在の日本では、彼らを「PCルーム」に足繁く通わせることにつながり、ここ大久保でのブームを手堅く下支えしています。

       


さて、その韓国発の「PCルーム」が、日本人向けに渋谷にオープンしました。Necca(ネッカ)という名称です。
渋谷の宇田川町の交番前のビルの3Fに有るこの店は、韓国のサムスングループが韓国内で展開している「PC房」を日本向けにアレンジしたもので、イー・サムスンジャパン(株)、コンパックコンピュータ((株))の出資を受けた、インターピア(株)が2000年12月にオープンさせたものです。
高速回線でインターネットに接続。インターネットとは、NTTコミュニケーションズ(株)のT1回線(1.6Mbps)、および東京めたりっく通信(株)のSDSL回線(1.5Mbps)×5の、計9.1Mbpsの回線によって結ばれています。
店内にはコンパック、フリーウェイのパソコンが80台用意されています。
また、ネットワークゲームがパソコンにインストールされ、 店内はパソコンが横に並べられた"ネットゲームゾーン"、2人がけのいすが用意され仕切によって区切られた"プライベートゾーン"、ノートパソコンを持ち込んで利用できる"モバイルゾーン"などに分かれています。
軽食を売るスペースや自動販売機もあり、食事もできるようになっています。
パソコンにログインした時間に対して分単位で課金が行なわれる仕組みで、料金は1分あたり約8円(1時間500円)となっており、24時間営業、深夜は一晩1600円となっていました。
インターピアでは「日本型のインターネットカフェが'96年ころ登場したが、家庭と変わらない接続速度や魅力的コンテンツの不足により、ビジネスモデルとしては完全に失敗した。これに対し韓国で'97年ころから広まったPC房は、高速のネットワーク回線を用意し、ネットワークゲームをメインコンテンツとして提供し、2000年現在では1万7000店舗までになっている」として、この韓国で成功しているインターネットビジネスを日本でも展開していくとしており、この渋谷1号店を皮切りとして2001年に直営、フランチャイズを含めて23店舗、2003年までに累計500店舗を全国展開し、利用者は1日1000人くらいと見積もっており、2001年末までに5億円の売り上げを目指すとしています。


実際に、2時間ほど体験してみました。日曜の午前中という時間にも関わらず、店内は1/4ほどの入場者、実際にUSAのYAHOOから、ブロードバンド向けコンテンツをストリーミングを使って試しましたが、アニメにしてもミュージックライブにしても、映画にしてもさすがに17インチCRTの全画面表示では全く使いものになりませんが、8インチ程度の画面では、VHS並の画質で十分楽しめます。まして、オンデマンド、いつでも好きなところから見始められるのが大きな魅力です。
古い映画や、アニメは無料で相当量のコンテンツが既にありますし、今後の新しいインフラとしての魅力は十二分にあると感じました。なんと言ってもこの高速、常時接続環境は一度使ったらきっと手放せなくなってしまうでしょう。

さて、大久保でスタートして、日本に広がり始めた、この新しいインフラ、IT後進国と言われている日本をブロードバンドの魅力で韓国のように大きく変える原動力になって欲しいものです。



東京小さな旅