私の昔の友人にこういう人がいた。
 車は中型の四駆。ミラーやサイドにメッキカバーがついて、あっちこっちに光り物が
 付いている。乗用車がバンバン行き交う林道で4駆にしていい気持ち。

 お友達は絵を描く人とか、芸術家タイプの人が多い。文化人が好きだ。
 自分も絵を描いたり、良いカメラを何台も持っていたりする。見合った作品が見たい
 ものだ。

 彼は大金を投じて、渓流用の釣り道具やウエアを買う。でも、休みの日になかなか釣
 りに行かない。渋滞が嫌だとか、人がいっぱいいるというのが理由だ。

 彼は幾つもの宗教や聖者と言われる人の集会に首を突っ込む。また、良いといわれる
 自己改革セミナーに顔を出す。
 そして、立派なことをお話しする。でも、それは何処かで聞いた話や読んだ話しばか
 り。頭の良くない私には、自分の経験を自分の言葉で話して欲しい

 阪神大震災の時にみんなからお金を集めて、被災者に花を渡す。代表者の名前と連絡
 先入りの花を。

 彼はその筋で流行の天河や屋久島に行く、でも決して一人では行かない。何処に行く
 にも二人以上だ。だから、渓流釣りも誘えば行く。釣れるように先に行かせるが、い
 つのまにか後ろに。人の前を行くのは好きじゃないらしい。そして、釣れる気がしな
 いと、ブーたれて竿を出さなくなる。

 彼は必ず電話を切るときには「また電話をします」と言って切る。でも、ほっておく
 と掛けてこない。こちらが掛ければ、また電話をしてくる。いつも相手との力関係を
 考えている。

 バブルがはじけた後、家を買い換えた。前の家を3千万円位で売って、9千万円に近
 い家を。彼は国家公務員。
 私はエゴの殻といって寄りつかない。

 彼は和太鼓も叩くが、あるレベルから伸びない。彼と曲を叩いても一体感はない。

 でも、彼は私の鏡かも知れない


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