炭焼きの記録 (火入れ2000年3月11日)

まとめ
初めての炭焼き。畑に穴を掘っての伏せ焼き。ともかく炭ができた。脱臭効果ばっちし。
煙が予想外に出た。空気漏れをふさぐのが重要。

意味合い

かたく言うと谷戸の活動は「伝統に学ぶ楽しい循環社会への道(うーなんだかクサイ)」とでもいうべき方向に進みつつある。炭は太陽エネルギーをコンパクトにつめて煙も出ず保存しやすいもので、循環社会の便利なエネルギー源として象徴的なものである。炭の吸着性を生かした利用法や木酢液といった副産物を含めて、その価値が認められれば、森林の手入れをする原動力になるかもしれないと夢をいだきつつやってみた。倉橋さんは鳩川の浄化に使いたいと思っているようだが。

主な参加者
インストラクター 山田 嗣(あきら)氏(炭焼の会)
倉橋、三井、徳永夫妻・おじいちゃん、市原
ヘザー・スーター(相模川キャンプインシンポジウム)、加賀山 潔(森林組合)
藤井、藤井、氏家、その他

工程一覧表

段階 日時 作業など コメント(温度は煙突口)
準備 3月2日 穴掘り
3月8日 材料集め 炭材(斜面林のくぬぎ、こならなど)、まき、トタン板、ブロック
3月10日 穴焼き
窯作り 3月11日9:30- 煙突と後壁
傾斜底
中壁
前壁とたき口
炭材詰め
屋根
木酢液採取装置取り付け
炭焼き 11:30 火入れ 黄色っぽい煙。13℃
口だき すこしづつまきをくべ続ける。木酢液を採るが、この段階では水分が多い。
15:45 一時たき口ふさぐ
(通風孔あり)
煙が減り、温度が下がってきたので
口だきに戻った。
(炭化開始) 17:00 たき口ふさぐ 煙が増えて炭化が始まったようだ。
18:40 追加の目止め 煙がもれているところに泥をぬる。
75℃に下がった。もれがなくなって燃焼が衰えたようだ。目止めすると今回の通風孔は小さすぎたらしい。
まきを入れ、たき口を少しあける 本格的な炭化の時に赤い良質な木酢液が採れる。
19:25 落ち着いたのでそのままたき口を少しあけて炭化を続ける 煙がたなびく。83℃
3月12日7:00 煙が減り、青みがかる。150℃
9:00 屋根の端から煙が出ているので泥と土で埋める 青っぽい煙。煙突から5cmほど透明。量は少ない。432℃
(炭化停止) 9:20 たき口を埋める 白い煙が少し増える。
9:55 煙突に泥と土をつめる 95℃
冷却
取り出し 3月13日10:00 土をどける なるべく窯の中に落とさないように
炭を取り出す 上とたき口近くが白い。
トタンとブロックを出して穴を埋める

写真で見る詳細(長いので上の一覧表を参考にして必要なところだけ見るように!)

窯作り
3月11日
160cm x60cm x2m の穴。前日に焼いて乾かしておく。
2目止め用の泥をこねておく。粘土質の方がよい。
3穴の奥(風下側)にT字のステンレス管を埋める。T字の一方は下向き(地面)。

4後ろ側の壁をブロックで作っていく。煙突の部分はトンカチで欠く。
5ブロックの穴は土を詰め、すきまは泥でつぶす。
6煙突を伸ばし、ブロックを3段積んで壁を作る。すきまがあかないように念入りに泥を詰める。
7底は水が流れるよう、傾斜をつけて踏み固める。
8側壁にはめるようトタン板を切る。
9たき口のある前壁から15cmほど中に壁を作る。ブロック2段。直接空気に触れて灰になるのを防ぐ。

10たき口は一斗缶の底を抜いたもの。そのまわりにブロックを積んでゆく。後の部屋にはトタンの側壁が立てられている。

11前壁を作る間に炭材を詰め始める。底に長さ方向にレールのように木を置き、その上に横に並べていく。いちばん奥は排煙管をふさがないように注意して太いのを置く。

12松ぼっくりなどのこわれやすいものを入れた缶をまん中に置く。
13上と横のすきまに枯草を詰める。
14トタン板をのせて土をかける。トタン板が沈まないように金属のつっかい棒をわたしておいた(が、短くて役に立たなかった。でもこれは重要)。

15これで窯本体は完成。前から見たところ。
16木酢液を取る冷却管として竹を使う。細い竹で節を抜く。
17煙突の上に底がなくて液が集まる工夫をした箱をつるし、竹の管を斜めに出す。煙が通る間に凝縮した木酢液が箱に戻るのだ。箱は煙突の先より10cmぐらい上。ほとんどの煙は箱の底から流れ出る。写真は火をつけた後のもの。


炭焼き

18まずは無事に焼けますように、窯にお祈り。
19お神酒をささげる。
20火入れ。「点火」は炭化開始を意味することがあるので区別する。木酢液を採る竹筒をセットしている。

21中に熱が入るよう、たきぎは短くして奥に入れる。外で燃えているときは水をかけた方がよい。たき口の上は煙のもれるところを泥でつぶしている。煙突から出た煙が箱に入るよう、囲いをしてある。

22雨が降るらしいので、屋根を作る。
23木酢液がたまり始めた。
24煙が増えて温度も上がったのでたき口にふたをしてみた。2cm x5cmほどの小さな穴があいている。

25待っている間、梅を剪定した。ホントは12月にやるんだそうだ。

26煙が減って温度が下がってきたので再びまきをくべた。まだ本格炭化ではなかったようだ。

27ふたをする。
28煙がたくさん出てきた。安定して炭化が始まったのだ。
29たき口のまわりの煙の出るところを泥で埋めるとまた温度が下がってきたのでふたを上にずらした。結局この状態で朝まで焼いた。

30あとは待つだけ。たき火を囲んで宴会。煙がすごくて、一時はスーパーたからやをすっぽりおおうほどだった。風向きが変わって鳩川の上流側や下流側にも流れ、近所迷惑が心配になるが、たからや以外は離れているので薄まっている。たからやでは屋台の焼き鳥のにおいの方が強いらしい。

31炭焼が安定してきたので、近くの相模川の川原で行われているキャンプインシンポジウムの生田卍ライブを見に行く。


3月12日
32翌朝。煙はまだたなびいている。量はうんと減り、青みがかってきた。
33トタンの端から煙が出ているので泥で埋める。炭の体積が減り、のせた土の重みでトタンがへこんだのだ。

34炭化中に採れた木酢液。赤くてきれい。2リットルぐらいか。炭化前の淡い色の木酢液も2リットルぐらいある。

冷却
35煙がさらに減って青くなり、臭いがなくなってきて、温度が急激に上がってきてからたき口を土でふさぐ。
36それから30分して、煙突に泥と土を詰めて出口もふさぐ。

37これで1昼夜冷やす。子供が乗って落ちると危険なのでロープを張っておく。
38この日は冷やすだけなので川原のキャンプインシンポジウムに行く。剪定した梅をおみやげに。

39雨模様なのでカヌーはほとんどせずにたきびを囲んでいるのだった。
この夜はおれんちで、山田さんを囲み、ヘザー、氏家、末松でうんと盛り上がったのだった。

取り出し
3月13日
40窯の上の土を取り除く。少し煙が出ている。
41屋根をどけた。上と入り口側が灰になっているが、山田さんによると伏せ焼きはこんなもんだそうだ。

42炭を取り出す。ややもろい。
43底の方は取りにくいので、前壁と中仕切の間に入って取り出す。
45めでたく終了して記念撮影。
46これで全部。左の缶はまつぼっくりで、きれいにできている。右の缶はもみがら。

47煙の問題と、農業委員会からのクレームの問題があり、続けて炭焼をしない。ブロックとトタンを出して土で埋め戻した。

49これは右2/3に皮がついたもの。
48こいつをトイレに置いた。うちのトイレは臭かったのだが、においがどんどん減っていった。


まつぼっくりもいいねえ。

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