15環第306号
平成15年(2003年)12月5日


 長 野 県 自 然 保 護 連 盟     会 長  町 田 和 信 様

長 野 県 知 事  田 中 康 夫

      
「長野県の自然保護についての要請書」について(回答)

 2003年11月6日付けで要請のありました標記については、別紙のとおりです。
  

                   
(注) 回答日(平成15年12月5日)以降、県の組織改編によって、課の名称が変更されているところなどは、平成16年8月1日現在で修正してあります。
                          (長野県自然保護連盟事務局)

     
「長野県の自然保護についての要請書」に対する回答
1 自然環境の破壊となる長野県下各地の開発に対する規制策等について

(1)国営アルプスあづみの公園及び県営烏川渓谷緑地について
【要請要旨】
@  国営アルプスあづみの公園計画は、自然環境や景観を大きく損なうものである。
計画の縮小と周辺環境や動植物に配慮した自然公園的な要素の国営公園にするよう国に働きかけること。
A  県営烏川渓谷緑地についても、同趣旨の公園とするよう計画を再検討されたい。
B  県営烏川渓谷緑地予定地周辺にオオタカなどの猛禽類の生息が確認されているが、一部しか鳥獣保護区に指定されていないので、保護区のエリアを拡大されたい。
C  鳥獣保護区の巡視活動や啓蒙活動を徹底されたい。
D  県内各地でオオタカなどの猛禽類の生息調査を実施し、その調査結果を今後の開発に際しての事前資料として有効に活用されたい。

〔@について〕
国営アルプスあづみの公園は、平成16年度に堀金・穂高地区の第1期整備区域約30haが開園予定です。
今後の整備については、平成15年9月に国土交通省に対し、従来の公園整備からの発想を転換し、引きこもりの子供や障害をお持ちの方々にも利用可能な場の提供や、自然に触れ合いながら滞在できる公園、改変を最小限とし既存の自然を活かした整備を基本的な整備の考え方とした計画に見直すよう提案したところです。 (都市計画課)

〔Aについて〕
  県営烏川渓谷緑地の事業予定地のうち、烏川沿いの20haについては平成14年4月に供用しました。また、残りの区域については、国庫補助事業を平成15年度事業までとし、平成16年度以降は、地域が支える公園の創造、公園の多様な活用、豊かな自然環境の保全を目的に、市民による会議を組織し、県民との協働による、人にも自然にも優しい公園づくりを行うこととしております。 (都市計画課)

〔B、C、Dについて〕
平成10年度に烏川鳥獣保護区については区域を拡大したところであり、他の地域についても第9次鳥獣保護事業計画に基づき、計画的な鳥獣保護区の設定に努めてまいります。また、引き続き鳥獣保護員による巡視の強化や普及啓発等に努めてまいります。
県営烏川渓谷緑地では、土木部が平成7年度から猛禽類調査を実施しておりますし、他の地域については、林務部が猛禽類に関する委託調査を実施するとともに、関係機関からの生息情報の把握に努めており、調査結果及び収集した生息情報については、野生鳥獣の保護管理に有効に活用しています。(森林保全課)

(2)リゾート開発について
【要請要旨】
ゴルフ場やスキー場などを中心としたリゾート開発等は、自然環境の重大な破壊となるので県は開発の中止や復元などに向けて強力な行政指導をされたい。


   ゴルフ場開発については、ゴルフ場開発事業に関する指導要綱に基づく総量規制を引き続き厳格に実施していくとともに、その他の開発についても同様に県自然環境保全条例等の各種法令の適正な運用により、良好な自然環境の保全を図ってまいります。(環境自然保護課)

(3)過剰利用に対する自然保護対策の強化について
【要請要旨】
@ 上高地、乗鞍岳、美ケ原、霧ケ峰などでは、入山者の過剰利用が危惧されており、総量
規制などの対策を含めた自然環境の保護、保全が重要である。
A 「いいやまブナの森倶楽部」のような自然と人間の共生に向けた地域関係者が一同に会
した市民運動的な活動を助成しつつ、国や関係地方自治体などに働きかけをして、自然の保護策を強化されたい。

〔@について〕
   上高地等では利用者が集中し、交通渋滞による大気汚染など自然環境への影響が懸念されるとともに、本来静かな環境であるところが都会並みの混雑となるなど、快適な利用環境が損なわれていますので、地域の関係者とともに対策を講じてまいります。
上高地では、従来からのマイカー規制に加え、平成16年度から観光バスの乗り入れ規制を一定期間実施してまいります。
   乗鞍岳では、平成15年7月からマイカー規制を実施し、昨年までと比較して、交通渋滞の解
消、排気ガス・騒音の減少などの効果があったと関係者に評価されており、今後もマイカー規制
を適正に執行し、乗鞍岳の環境保全に取り組んでまいります。
美ヶ原・霧ヶ峰では、平成14年度から霧ヶ峰シャトルバスの運行や駐車場の誘導員配置など
交通渋滞解消への取り組みを行っております。
また、今年度末に行うビーナスライン沿線の保護と利用のあり方研究会の提言を踏まえ、必要な対策を順次実施してまいります。(環境自然保護課)

〔Aについて〕
自然保護のための市民活動団体には各種民間助成団体の情報を提供するとともに、自然保護策の強化については、積極的に取組んでまいります。 (環境自然保護課)


(4)上高地新輸送システム(登山鉄道)構想について
【要請要旨】
@ この構想の中止を含めた総合的な環境アセスメントを実施するよう、県として関係機関
に働きかけをされたい。
A  上高地において排気ガス公害をなくすため、バス、タクシーなどの総量規制や低公害車以外の自動車の乗り入れ禁止、停車中のアイドリングの即刻禁止を関係機関と連携し早急に対応されたい。
B 乗鞍岳についても、上高地と同様の対応をされたい。
C 県道上高地公園線への観光バスの乗り入れ自粛と、路線バスへの乗換促進について、関
係機関に働きかけるとともに全国に呼びかけ、着実に成果を上げられたい。

〔@について〕
 平成9年(1997年)3月に、貴連盟が作成した上高地新輸送システム構想(登山鉄道)に関する調査報告書の内容は承知しており、県は、自然環境の保護・保全を最優先に考えてまいります。 (環境自然保護課)

 〔A、Cについて〕
   上高地の自然環境を保全するため、上高地自動車利用適正化連絡協議会で決定した適正化方針に基づき、平成16年7月24日(土)から8月22日(日)まで「路線バスを除くバス(観光バス・マイクロバス)の規制」を行うこととしています。
   さらに、今後は観光バス等を通年規制とすることが必要と考えておりますので、マイカー規制導入時と同様に関係者と連携の上、通年規制の実施に向けた検討を進めてまいります。
(環境自然保護課)
 〔Bについて〕
乗鞍岳の自然環境を保全するため、乗鞍岳自動車利用適正化連絡協議会が、平成15年2月に決定した、「観光バス等については、マイカー規制の実施状況を見ながら乗入れ規制について検討するとともに、低公害車以外の観光バスについては、代替えバスへの乗換を呼びかける」、との適正化実施方針に基づき、引き続き検討してまいります。(環境自然保護課)


(5)スノーモービルの走行規制について
【要請要旨】
八ヶ岳中信高原国定公園の美ケ原高原やカヤノ平、鍋倉山などにおけるスノーモービルや
雪上車の走行は、高原の自然環境を破壊するので、科学的な調査研究を実施し、走行規制するための積極的な措置をされたい。


現にスノーモービルや雪上車の走行が行われている地域については、自然公園法等の適切な運用を図るとともに、自然環境の保全と快適な利用を図るという見地から関係機関と連携しながら必要な対応をしてまいります。
   美ヶ原高原では、美ケ原利用適正化検討会が平成10年1月にスノーモービルの騒音、踏圧の影響調査の結果に基づき、「美ヶ原台上におけるスノーモービル利用指針」を制定し、自然環境に配慮した利用を行っています。
しかし、近年、機器の性能向上など当時と状況に変化が見られることから、利用指針の検証を行ってまいります。 (環境自然保護課)

(6)松くい虫の防除について
【要請要旨】
科学的で抜本的な駆除方法が確立されていない現状の中で、薬剤の空中散布は人体や生態系への影響が危惧されるので中止されたい。


   現在、市町村においては、重要な松林への被害侵入や他地区への被害拡大防止のため、予防効果の高い空中散布を限定して実施しており、今後すぐに中止することはできませんが、将来的にはできるだけ散布面積は少なくしてゆくことが望ましいと考えています。
  今後は、散布面積を減らすため、市町村関係者などの理解が得られるよう努めてまいります。
(森林保全課)


2 長野五輪と自然保護に関する問題点と今後の課題について

(1)八方尾根の自然保護について
【要請要旨】
@ 白馬八方尾根について、さらに綿密な環境アセスメントを行い、その中長期的な保護政策の確立と強化をはかり、国立公園の特別地域の全面的拡大や緩衝地帯の設定などをされたい。
A 国立公園第1種特別地域とその周辺の圧雪車の運行を中止されたい。
B 八方尾根の男子滑降コーススタート地点設定が前例となって、ここをワールドカップや他の競技大会などで再び使用しないようにされたい。


〔@について〕
平成10年5月に、国、県、白馬村、学識経験者、地域団体代表からなる「八方尾根の自然の保護と利用に関する協議会」を設置し、この地域の保護と利用に関し、自然保護研究所の調査研究などを踏まえ、検討し、翌年3月に具体策を提言しました。
現在、同協議会で提言された対策は、県、村、地元及び事業者がお互いに連携し役割分担をしながら実施しています。 今後も、関係者が連携して各対策が実施されるよう努めてまいります。 
                                (環境自然保護課)
〔Aについて〕
事業者は、圧雪車作業基準を定め、自主的な規制のもとで樹木等に配慮した圧雪車の運行を行っていますが、さらにその徹底を求めてまいります。(環境自然保護課)

〔Bについて〕
長野五輪開催後、八方尾根の男子滑降コーススタート地点が、各種競技大会で使用されたことはありません。 今後も、各種競技大会が開催される際には、自然公園法の適切な運用を図ってまいります。(環境自然保護課)

(2)白馬村のミニゴルフ場について
【要請要旨】
長野五輪バイアスロン会場予定地であった場所に建設されたゴルフ場は、「美しく豊かな自然との共存」という長野五輪の理念に逆行しているので、県と村はこの用地と施設を買取るなどして、自然保護を前提にした諸管理をされたい。


事業者と県、白馬村の三者で締結した「自然保護協定書」及び「ミニゴルフ場の営業とオオタカ等の保護対策に関する確認書」に基づき、今後も、自然環境やオオタカ等の生息環境の保全に十分配慮するよう事業者を指導してまいります。(環境自然保護課)

(3)県営焼額林道について
【要請要旨】
長野五輪に使用する道路として建設された県営焼額林道は、林業の目的をはずれているので、本来の自然と調和した産業であるべき林業振興のためにも、自然を破壊して建設されたこの林道の自然復元を図られたい。

  
 林道焼額線は、林道周辺の森林の公益的機能の向上を図り、多様な森林の整備を促進するための林道です。平成10年度から13年度には森林施業を6.33ha実施しています。
また、この林道は、自然環境保全に配慮した工法を積極的に取り入れた、今後の道路開設におけるモデル道路です。 (林業振興課)

 (4)志賀高原全体の保護保全策について
【要請要旨】
長野五輪招致活動の経緯に鑑み、岩菅山を中心とした志賀高原全体の総合的保護・保全策の確立と、自然保護強化に向けた国立公園計画の見直しやMAB地域の拡大、保安林指定などをされたい。


    志賀高原全体の総合的保護、保全策の確立については、環境省で順次進めている国立公園計画の見直しのなかで、県は自然環境の保全に必要な意見を述べてまいります。
  また、県土の保全という観点からも保安林の指定は重要であり、関係者と引き続き調整を図ってまいります。 (環境自然保護課、森林保全課)

(5)飯綱高原の保護保全策について
【要請要旨】
飯綱高原は、有料道路の建設を引き金にしてゴルフ場、スキー場、ホテル、別荘団地など、高原全体の40%近い地域の乱開発が急速に強行されているので、飯綱高原全体の総合的な環境アセスメントを行い、有効な自然環境保護策を確立されたい。

  
   飯綱高原は、標高約1,000m以上の地域が国立公園の特別地域に指定され、各種開発行為が厳しく規制されています。 それ以外の地域も県自然環境保全条例に基づき、一定規模以上の開発行為については届出を義務付け、事業者、県、市町村の三者間で自然保護協定を結び、自然環境の保全に努めています。 
また、開発行為について、できるだけ早い段階から環境配慮を進める手続の導入、対象事業の拡大など、環境影響評価制度の見直しについて検討してまいります。
なお、長野市でも本年「長野市自然環境保全条例」を制定し、飯綱高原の良好な自然環境の保全に取り組んでおります。 (環境自然保護課)


3 長野県下の水環境保全と開発の総量規制、水質浄化・河川改修対策等について

(1)砂防ダムについて
【要請要旨】
ダム問題については、「脱ダム宣言」の理念に基づいた対応に賛同している。砂防ダムについても、その効果や災害の危険、自然環境などへの影響を総点検し、砂防行政の抜本的な見直しをされたい。


 今後も事業実施に際しては自然環境への影響に配慮し、砂防事業を進めてまいります。
   また、砂防えん堤等のハード対策と併せて、土砂災害から県民の生命を守るため、土砂災害のおそれのある区域についての危険の周知、警戒避難体制の整備、住宅等の新規立地の抑制等、ソフト対策についても推進してまいります。(砂防課)

(2)水源地域の開発規制について
【要請要旨】
水源地では一切の開発を認めないという強い規制を行い、民有地の場合は市町村や県が買上げるなどの施策を確立されたい。


   水源地域における開発規制については、県民の諸活動や治水・利水との調和を図る必要があります。長野県水環境保全条例に基づく「水道水源保全地区」は、区域内におけるゴルフ場の建設等の行為について、事前協議により水源の水質及び水量への影響を厳しく審査するものであり、
今後も市町村長の申出に基づき水道水源保全地区指定を進め、水源地の保全を図ってまいります。
また、水源域の民有地の買上げについては、各市町村において実情に応じて対応していただきたいと考えています。 (水環境課)

(3)水質規制について
【要請要旨】
水質汚濁防止法などに基づく規制基準は妥当でないので、WHOなどのより厳しい基準を参考にして、より強化されたい。


水質汚濁防止法に基づく排水基準等は、環境基本法に基づく環境基準を達成できるように定めたものであり、環境基準はWHOの基準等を参考にして我が国で検出される可能性のある物質について定められています。 排水基準の強化は、個々の項目について個別に検討される必要がありますので、何についてどう規制を強化する必要あるか具体的に提案をお願いします。
また、水道法に基づく水質基準は、WHOの基準等を参考にしてわが国で検出される可能性のある物質について定めたもので、妥当なものです。(水環境課)

(4)開発の総量規制及び自然型河川改修について
【要請要旨】
@ 水源地域以外でも、一定の標高以上は全て開発禁止として、良好な自然環境を残している河川、湖沼、湿原地帯周辺の開発や改変は原則禁止ないし厳しい開発規制を講じるなど、県下の開発の総量規制を強化されたい。
A 自然環境にやさしい河川を取り戻すため、これまでの河川改修を総点検し、自然型の河川改修を早期に行われたい。
B 自然生態系を破壊している青木湖等の取水問題を早期に解決されたい。


〔@ について〕
 ゴルフ場については、県自然環境保全条例に基づき、標高1,600m以上の地域で禁止するとともに、ゴルフ場開発事業に関する指導要綱に基づき、各市町村及び県における標高1,600m未満の森林面積の2%以内とする総量規制を実施しています。
 その他の事業についても、自然公園法や県自然環境保全条例等の各種法令の適正な運用により、良好な自然環境の保全を図っております。(環境自然保護課)

〔A について〕
河川改修にあたっては、現在、生態系や自然景観に配慮した「多自然型川づくり」を基本としています。今後も、河川環境の保全に配慮した「自然をいかした川づくり」を進めてまいります。
(河川課)

〔Bについて〕
青木湖、木崎湖からの取水による湖水減水の緩和に関する問題については、国土交通省千曲川河川事務所、長野県、大町市で構成する「高瀬川等水環境改善検討会」で、平成17年度を目処に改善策を検討しています。(河川課)

(5)ブラックバス等の外来魚対策について
【要請要旨】
近年ブラックバス等の外来魚が県内各地の水域に拡大し、本来の生態を破壊しているので、早急な実態調査を行い、適正な対策を取られたい。


  県内のブラックバス、ブルーギルの生息状況は、31の河川湖沼の漁協のうち、22漁協(平成14年度調査)で、ため池では177箇所(平成13年度調査)で確認されています。
  県は、平成13年度からブラックバス、ブルーギルの駆除を行う市町村及び漁業協同組合を支援してきており、平成15年度は11箇所で駆除事業が行われ、9月末現在で約46万尾が駆除されています。 県は従来から「ブラックバス、ブルーギルは駆除する」という基本姿勢を堅持しており、平成5年から長野県漁業調整規則でブラックバス、ブルーギルの無許可の移植を禁止するとともに、平成13年から長野県内水面漁場管理委員会は、生きたままでの持ち出しを禁止する指示を出すなど対策を行っています。 (園芸特産課)


4.長野県環境基本条例・同計画の改正について

(1)長野県環境基本条例の改正について
【要請要旨】
  1996年に制定された長野県環境基本条例は、宣言的な内容にとどまっているので、環境権を明記し、県民参加と情報公開を具体的に保証し、環境監査制度の制度化などが図れるように改正をされたい。


  要望の趣旨を踏まえ、県民参加と情報公開を重視して各施策を進めるとともに、環境基本条例については実効性について検証を行ってまいります。 (地球環境課)

(2)長野県環境基本計画の改正について
【要請要旨】
@ 県環境基本計画には、県民参加を可能にするため、広範な環境団体などによる県民会議を設
立し、形だけでない幅広い県民の意見をくみ上げるようにされたい。
 A 各施策展開に対する実効性(具体策)や、それを保証する数値目標など明記し、県の研究機関の環境に関わる調査・研究の充実強化を含めた実効性ある県環境基本計画を改正されたい。
〔@について〕
   環境基本計画の推進母体として「信州豊かな環境づくり県民会議」を組織しており、今後も県民、事業者、行政が協力して環境保全活動に取り組んでまいります。 (地球環境課)

 〔Aについて〕
平成16年度を当面の目標として施策毎に数値目標を定め進捗管理していますが、新たに県民の取り組みの指針を定めるなど、実効性のある方法を検討するとともに、研究機関における行政課題に対応した幅広い調査・研究の一層の充実強化を進めてまいります。 (地球環境課)

(3)長野県環境審議会の委員について
【要請要旨】
  長野県環境審議会の委員に自然・環境保護団体の代表を参加させるようにされたい。


現在の委員の任期は平成16年6月までであり、次回の委員改選時に自然・環境保護団体からの参加について検討いたします。 (地球環境課)



5 長野県自然保護研究所における自然環境保護策の総合的強化等について

【要請要旨】
@ 県自然保護研究所においては、広く県民の声をくみ上げて、調査・研究・協議などを行う
ために、関係研究機関や自然保護団体・県民などの参画による「運営協議会(仮称)」を設置されたい。
A 県自然保護研究所を「自然保護活動」のできる組織とするため、自然・環境保護部等を新設されたい。
  B 調査・研究に基づく自然保護の具体策を提言し、「開発禁止勧告」など、県民が期待している行動的な研究所にするとともに、環境教育的機能を生かして県民主体の新しい信州の自然環境の創造を図るようにされたい。


〔@、A、Bについて〕
   現在、自然保護研究所について、一層県民益に貢献する研究所とするため、そのあり方について検討を進めております。 今後、さらに行政課題に対応した調査研究を推進し、研究成果を県民生活に還元するとともに、県民が主体となった自然環境の創造につながる地域活動を支援するなど、要請の趣旨も踏まえ、実効性ある行動的な研究所としてまいります。 (地球環境課) 


6 農林業振興による自然環境保護策等について

(1) 農林業振興のための里山の保護・再生と県産材の活用について
【要請要旨】
  農林業の衰退の中で、県下の広大な過疎地や中山間地域の自然環境は、大きな危機にさらさ
れ、乱開発などによる破壊にみまわれている。県として、これらの地域の農林業や里山の保護、
再生、県産材の活用等にむけた特別対策をもち、併せて国にもその対策を働きかけされたい。


中山間地域での農業・農村の振興は、重要な課題であり、県では地域営農システムの構築や中山間地域農業直接支払事業等を実施し、耕作放棄の防止による多面的機能的維持増進や、地域の農地と農業を維持する体制の整備を進めております。また、中山間地域の冷涼な気候などの自然条件を生かすことにより、「特性を活かした米作り」や「特産物の個性ある産地づくり」など、特産物の農産加工・販売や観光と連携した農業振興など農作物の高付加価値化を目指した新たな経営展開方策を研究してまいります。さらに、農業と観光・商業との連携による新たな地域活性化を実現するため、部局横断的なプロジェクトチームによる地域の宝さがしや、人づくりネットワーク構築への支援を行っているところです。国に対しては、こうした取り組みに対する支援強化を引き続き要望してまいります。
里山の保護については、森林法に基づく手続きの適正な運用に努めてまいりますし、里山の再生
については、その再生が図れるよう引き続き補助事業により、森林整備を支援してまいります。また、現在検討中である「長野県ふるさとの森林づくり条例(仮称)」において、里山対策
は一つの重要な柱であり、この条例が成立した後には、これに基づく施策の充実に努めてまい
ります。 (農政課、農村整備課、森林保全課)

(2)野生動植物との共生について
【要請要旨】
  農林業や自然環境の調査・保護・管理の新組織を設置する等、野生動植物との共生を図るよ
うにされたい。


  野生鳥獣による農林業被害の軽減と生息数の長期間にわたる安定的維持を図るため、特定鳥獣保護管理計画を樹立して、人との共存を目指しています。  
  また、鳥獣被害の相談・指導等を行うNPOと連携して、被害対策研修会の開催や野生鳥獣の生態を考慮した被害対策ビデオを製作するなど、被害の発生している地域の実態に応じた総合的な被害対策を進めています。 引き続き、関係部局が連携し、駆除によらない対策やあり方を推進してまいります。 (森林保全課、農政課、農業技術課)


(3)森林整備の促進について
【要請要旨】
  農林業の所有者を軸に整備を公費負担する等、森林整備を早急に実施されたい。


 特に公益的機能を高度に発揮すべき森林については、保安林の指定を進め、治山事業により公的な資金で森林整備を実施してまいりたい。また、保安林の指定が困難な場合については、必要により県営等で整備を実施してまいります。
その他については、公共造林事業等により、森林所有者等が実施する森林整備に対して支援してまいります。(森林保全課)


7.地球の温暖化防止について

(1)地球温暖化対策に係る条例の制定について
【要請要旨】
  1997年の気候変動枠組み条例第3回締約国会議(温暖化防止京都会議)において、日本政府は6%の温室効果ガスの削減を公約した。長野県ではこの国際公約を尊重し、「長野モデル」と言われる地球温暖化防止対策を策定しつつあるが、それらを条例にまで高め、実効性のあるものにされたい。

 
県の地球温暖化防止県民計画の実効性をたかめるために施策を展開しているところでありますが、進捗状況を見極めながら、条例による規制も含め対応を検討してまいります。 (地球環境課)


8 総合的視点からの要請課題について

(1)環境整備に当っての県行政の基本について
【要請要旨】
  新たな環境優先の公共事業評価を行う等、環境整備は自然回復を県行政の基本にされたい。


県環境影響評価条例、県自然環境保全条例等の適正な執行を図るとともに、県自らが行う公共事業についても、環境を優先した配慮を事前に行う制度の構築を進めてまいります。
                                 (環境自然保護課)

(2)環境教育の推進について
【要請要旨】
  県民参加型学習拠点=エコロジーセンター・環境学習センターなどの新設、環境NPOへの
支援等、環境教育の普及を強化されたい。


  持続的な発展が可能な社会の実現をめざし、各主体の環境に対する責任と役割の理解、環境保全活動への意欲や問題解決能力の向上を図るために、環境学習情報の整備やNPO活動環境整備事業による支援をするなど、環境教育、環境学習を総合的に推進してまいります。
                             (地球環境課、生活文化課)

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