• ARTIST:第1部:Yngwie Malmsteen 第2部:DEEP PURPLE
  • DATE:'09.4.15(水)19:00
  • 場所:東京国際フォーラム ホールA
  • SHEET:1階6列50番
  • PRICE:12,000
  • Yngwie Malmsteen
     Vo.-Tim "Ripper" Owens
     G.-Yngwie Malmsteen
     B.-Bjorn Englen
     Dr.-Patrick Johansson
     Key.-Nick Marinovich
  • DEEP PURPLE
     Vo.-IAN GILLAN
     G.-STEVE MORSE
     B.-ROGER GLOVER
     Dr.-IAN PAICE
     Key.-DON AIREY
  • SET LIST
  •  イングヴェイのコンサートは行った事が無く、CD2枚・DVD2枚に関しても手持ちしかなかったが、以前からまったく興味が無いわけではなかったので、今回の機会にやや高額なチケット代にもかかわらず行く事にした。

     7時丁度にイングヴェイのギターフレーズが聞こえるとほぼ同時に会場が暗転した。Vo.はJUDASにいた事もある強面の兄ちゃん。それにしてもイングヴェイは良く動き回る。数曲ごとにギターを換え、受け取ったギターを袖に待機しているスリムな若いローディーがチューニングしていた。2曲しか知らなかったが見ていて飽きなかった。ちなみに知っていた曲は"Hiroshima Mon Amour"と"Rising Force"。PAに近かったので、高音が耳に厳しいかなと思ったが、そうでもなかったのでひと安心。アンコール無しのほぼ1時間のステージだったが、途中飽きる事も無く楽しむ事が出来た。それにしても約半数の曲がインストだったのには驚いた。単独でもこんな感じ?

     40分ほどの休憩のあとはおまちかねのDEEP PURPLEだ。モーズが加入してからのバンドは、リラックスした雰囲気となっていたが、今回はさらに輪を掛けたようだった。それにしてもギランは激ヤセ。出てきた途端ビックリするほどだった。今では珍しいメンバーのソロを挟みながら、淡々とステージは進んでいった。リッチー在籍最後の作品のタイトルチューン"Battle Rages On"を演ったことも意外であったが、来日公演最終日のこの日、一生思い出に残るであろうサプライズが待っていた。

     DONのソロの途中で頭が隠れるほどにしゃがんで弾いていたと思ったら、照明が暗くなり、ステージの袖から大柄な人物が近寄りDONと入れ替わった。再び照明が灯ると、そこには綺麗な銀髪を後ろで結わえ、綺麗な髭をたずさえた男が"Perfect Stranger"のイントロを奏で始めた。今日一番の歓声だ。思わず鳥肌が立った。JON LORDは韓国でのソロ公演から駆けつけたようだ。はじめ、マスクを付けたスタッフのいたずらかと目を疑った。もう観る事が出来ないかも、と思っていたので感激だ。しっかり記憶に残そうと思い、ステージを凝視した。演奏はDONに比べると冴えはないような気がしたが、ロードはそこにいるだけで存在感がある。

     曲が終わるとDONにチェンジ。"Space Truckin'"が終わろうとした時に更なるサプライズが畳み掛けるように押し寄せてきた。クルーがステージの右袖から縦に積まれた1列のマーシャルを出してきた。それを見たギランの顔つきが見る見るうちに変わった。近寄るとマーシャルを押し返し手振りで怒りをあらわにした。いつもニコニコしていたモーズが、初めて見せる真剣な顔で、ギランを説得。会場がしばらくシーンとなり凍りついた。そのあいだ、ほかのメンバーによる演奏、アドリブか?。やっと納得し再びマーシャルをセット。このトラブルで抜けたギターケーブルのために調整しているモーズ。ライトの当たらないところでギターを抱えてスタンバイするイングヴェイ。そう、今回のツアーの最終日の今夜、遂にツアー初のジョイントが始まるのである。ギランが納得しないでジョイントがふいにならないかハラハラだ。

     再びロードも姿を現し、代表曲"Smoke on the Water"を競演。ギターソロではモーズがイングヴェイに"どうぞ"という手振りで促す。イングヴェイが歯弾きをすればモーズもそれに答える。たぶんカッコだけだとは思うが・・・。なんか和やかだ。ギランを除いては。無理に笑顔を造っている事がありありとわかる。とにもかくもこの瞬間は奇跡としか言い様がない。この瞬間だけでチケ代はペイできた気分だ。アンコールもロードを期待したがそれはしかたがない。

     今回の公演は一生思い出に残るであろう。このレビューの長さからも想像できるかと思う。全レビューのなかで一番長い。翌日この文章を書いているが未だに興奮冷めやまない。