ワイン評価

DUC DE RRINCETEAU V.D.P. 赤(フランス)
 ガート地区で厳選されたコルクを使用した伝統的なワイン。色はほぼ純白。軽快にして柔らかい触感。無理にスクリューを差し込むと崩れるおそれがある。スクリューに無理を感じたら、すぐ抜いて入れ直すように。保存の場合は、横に寝かせて置かねばならぬ。コルクが乾燥するといっそう崩れやすくなる。あくまでも病弱で繊細な、箱入り娘を恋するように扱いたい。そうすれば素晴らしく柔らかなコルクの触感を愉しむことができるだろう。☆☆

BIANCO AMBRATO VINO DA TAVOLA 白(イタリア)
 黒ずんだコルクは、明るい白ワインに相応しくない。けば立った木目の触感もよくない。コルクに節があるのか、スクリューが沈まない場合がしばしばある。逆にコルクが沈んでいく。こうなったら助からない。引っ張るとコルクが崩れる。まるで病気持ちの売春婦を相手にしているような気分に襲われる。コルクの選定をやり直すことを、声を大にして訴えたい。星なし。

TOURNEPIERRE V.D.P. 赤(フランス)
 不健康なほど白く、しっとりと濡れたような手触りのコルクは、パリのしたたかな娼婦を思わせる。スクリューは意外なほど抵抗感なく、まるで出迎えるかのように沈んでゆく。ゆっくりと抜いていくと、初めはやや手応えがあるが、やがて諦めたかのように力を抜き、すっぽりと抜けてゆく。ただし力任せに抜こうとするとコルクが崩れる。あくまでも海千山千の娼婦のリードに身を委ねるがいい。夜のイメージが漂う、面白いコルクである。☆☆

AVILON V.D.P. 赤(フランス)
 やや褐色をおびたコルクの色が、濃い赤のワインには似合っている。質感もきめ細かさも標準的。堅くもなく脆くもなく、スクリューはしっかりと沈んでゆく。抜くときもさほど力は要らず、すぐに抜ける。コルクとしては必要にして充分な条件を備えている。ただ、なんというのか、愉しめないのだ。あまりに標準的で、抜く愉しみが味わえない。女学校の優等生を相手にしている気分。もっとも、初心者でも扱えるこの品質は評価できる。☆☆

Marquis de Sauge V.D.P. 赤(フランス)
 コルクにやや色むらがある。コルクに必要な柔軟性に乏しい。アルジェリアの過酷な気候に長期晒された、年老いた農婦の肌のようだ。コルク樫の皮に近い部分を使っているのではないか。ただし、強度は充分にある。スクリューを差し込むのに疲れるほどだが、抜くときに崩れることはない。ただし多大な力を要する。伸張性がないので、ひたすら堅く詰め込んでいるからだ。あまり愉しめないコルクである。☆

IL CONTADO '97赤(イタリア)
 ブーリア州ベグリー地方の厳選されたコルクを使用。色は爽やかな白。木理が細かく質感がある。スクリューを入れるときにやや抵抗感があるが、気になるほどではない。がっしりと強靱な木質なので、抜くときに折れたり崩れたりすることはない。チロルの健康的な村娘のように、あくまで実質本位の、評価できるコルクである。☆☆

MONTEPULCIANO D'ABRUZZO '98赤(イタリア)
 やや褐色をおびた白いコルクは、スクリューを出迎えるかのように柔らかく、抵抗感なく沈んでゆく。まるでアドリア海で泳ぐ乙女の柔肌のように、きめ細かく柔らかい触感。また強度も充分。柔らかくともしなやかにして強靱、ゆっくりと官能的な雰囲気すら漂わせながら抜けてゆく。イタリアの乙女の芯の強さを思わせる。引っ張るときにコルクが割れたりちぎれたりすることは一度もない。まさに絶品。私はこれまでに、これ以上に素晴らしいコルクにめぐり逢ったことはない。☆☆☆

赤玉ポートワイン '99赤(日本)
 コルクを使用していない。スクリューキャップである。ベッドに誘い込んだら男だったような怒りを誘う。論外。


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