ツンデレ百人一首(抄)

秋の田の かりほの庵の 苫をあらみ あんたのせいで 濡れたんだからね
     天智天皇

春過ぎて 夏来にけらし 白妙の 衣干すのは 濡れたからだけなんだからね
     持統天皇

あしびきの 山鳥の尾の しだり尾の ながながしきも さみしくなんかないもん
     柿本人麻呂

田子の浦に うちいでて見れば 白妙の あなたのために 降ったんじゃないの
     山部赤人

奥山に 紅葉踏みわけ 鳴く鹿の 声聞いたって 淋しくないもん
     猿丸太夫

天の原 ふりさけみれば 春日なる 日本に帰りたくなんかないもん
     阿倍仲麻呂

わたの原 八十島かけて こぎ出ぬと 別にあなたに 言うつもりじゃなかったの
     参議篁

みちのくの しのぶもじずり あなたのせいで 乱れたなんてうぬぼれるのもたいがいにしなさいよ
     河原左大臣

あたしの勝手で 春の野に出て 若菜摘む ちょっと若菜が 余っただけなのよ
     光孝天皇

ちはやぶる 神代もきかず 竜田川 あんたのために 水くぐるんだからね
     とは

わびるのは あなたのほうよ なにはなる みをつくしても あなたのせいよ
     元良親王

月見れば ちぢに物こそ 哀しけれ あなたのことを 思うんじゃないの
     大江千里

心あてに 折らばや折らむ 初霜の 子規はバカよね ほんっとにバカなんだからっ!
     凡河内躬恒

人はいさ 心もしらず ふるさとは あなたのために 匂ってるわけじゃないんだからね
     紀貫之

忘らるる 身をば思はず 誓いてし あなたが死んだってかまわないんだからねっ
     右近

忍ぶれど 色に出にけり わが恋は あなたを思ってるんじゃないもん
     平兼盛

あはれとも いふべき人は あなたでしょ バカよ本っとに バッカなんだからっ
     謙徳公

滝の音は 絶えて久しく なりぬれど あなたのバカは 猶聞こえけれ
     大納言公任

嵐吹く 三室の山の 紅葉葉は 竜田の川で 余っただけなの
     能因法師

玉の緒よ 絶えなば勝手に絶えたらいいでしょ 永らへば 別にあんたのことを思ってもどうでもいいんだから
     式子内親王

来ぬ人を まつほの浦の 夕凪に 焼いた藻塩を 作りすぎたの
     権中納言定家

ももしきや 古き軒端の 忍ぶにも 猶あまっちゃったから もってきただけよ
     順徳院

世の中に 人の来るこそ うるさけれ とはいうものの おまえではなし
     太田南畝


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