インターネットで読み惑う「朝日新聞はなぜ嫌われる?」

 Internet Watchなるページで連載されている「インターネットで読み解く**」の真似をしてみました。

 

 朝日新聞はWEB界で嫌われている。

 マイクロソフトの総帥、ビル・ゲイツより嫌われているかもしれないといえば、どのくらい嫌われているか分かるだろう。

 反朝日新聞にテーマを絞ったページだけでも枚挙の暇ないほどある。

 何故朝日新聞が嫌われるか。

 いくつかの要因を列挙してみよう。私は朝日新聞を購読しているので、まさか暗殺されることもないだろう。

1・全マスコミ、日本政府の代弁者として嫌われている

 これはちょっと気の毒。朝日だけが悪いのではなく、マスコミ界の罪を被っているのである。

 もちろん朝日もマスコミの一部として罪は有るのだが。

 マスコミはインターネットというものがよく分からない。分からないが、なんだか自分の地位を脅かしそうな気がする。今のうちに叩いておけ、ということで攻撃する。それはもはや、いじめに近い。

 最近のいじめでは次のようなものがある。

1)プライバシーに関する情報の公開

 サカキバラ君やバタフライナイフ殺人事件など、少年犯罪に関しては実名も写真も公表しないことになっているらしい。ところが一部雑誌やWEBページでこれが公表された場合、新聞社はこれを大々的に記事にして糾弾する。どうもこれ、自分が出来ないことをやった人間をやっかんでのことのように思えるのだが。(サカキバラ君の場合、あの少年がサカキバラではないという主張もあり、かなりの説得力を持つ)

 雑誌の場合、記事になって話題となり、かえって売れるケースがあるからめでたいくらいだが(もちろん発売禁止、公共機関での閲覧停止に追い込まれることもある)、WEBページはプロバイダがマスコミの脅迫に屈し、一方的に該当ページを削除するのが決まりとなっている。今までのケースはすべてそうだ。WEBページの製作者はそれなりの主張があって作っているのだが、新聞がその言い分を聞いたことなどない。雑誌の場合は編集長のコメントを載せるのに。これを横暴と言わずして何と言おう。

 これに関する主張は憤慨君インターネットの検閲問題朝日新聞不買運動など。

朝日新聞側の主張はこちら。(たぶんこれも後出の著作権法違反だろうな)

 アメリカでもクリントンスキャンダルが新聞より早くWEBで流れたという事件があり、「WEBの情報は信憑性が無い」「根も葉もない噂話の温床」などというWEB攻撃がマスコミにより行われた。ただ、ページの削除のような事態に至らなかったのは、自由の国滅びずといったところか。まあ、確かに信憑性の無い噂が多いのだが。しかしマスメディアだって似たり寄ったりの信憑性だ。バイアスがかかっているだけ悪質だと思う。例えば、スポンサーの批判はできない。従って化粧品会社や製薬会社の批判が出来るのは、広告収入に頼らないごくわずかな小規模メディアだけ。

2)わいせつ画像裁判

 有名なのはFLMASK事件(経緯はこちら)。起訴されているのはFLMASKという画像処理ソフトの作者。この人はわいせつ画像を作ったことはない。この画像処理ソフトを使って作ったわいせつ画像のページへのリンクを張っただけで、猥褻物陳列罪で逮捕された。

「これは言ってみれば、麻薬の売人の電話番号を手帳に書いていただけで、麻薬取締法違反で逮捕されたようなものだ」という坂口丈幸氏の意見に私も賛同する。

 実は私もFLMASKで処理した画像を展示していたことがあったのだ。逮捕後、びびって展示を取りやめた。我ながら情けない。ということは、作者が有罪なら私も有罪ということになってしまう。だから、作者は絶対無罪なのだ。冤罪なのだ。マスコミと警察のでっちあげなのだ。

3)記事の著作権に関して

 朝日新聞の見解はこちら

 新聞記事をWEBページで使ってはいかんと言うのだ。創作性がある著作物で必然性のある引用(誰が判断するのだ?)でないといかんし、改変は厳禁というのだ。

 具体的に言うと、「こんな変な記事がありました」などと笑いものにするページ、「こんな誤報がありました」などと糾弾するページでは、記事の使用は認めないということらしい。最近では、WEB記事へのリンクを張るのもいかんと言うのだ。

 互助精神をモットーとするインターネットの世界を何と心得ておるのだ。

2・記者の傲慢な取材態度、エリート意識が嫌われる

 私は自分が取材されたこともないし、朝日新聞の記者と話したこともないので、以下はすべて伝聞証拠である。

 記者の態度は敖慢らしい。権力を振りかざして脅迫さえするらしい。

 たぶん朝日新聞の公式見解は、「そんなことありません」だろうが、しかしサカキバラ君氏名住所公表事件では、朝日新聞の取材後、プロバイダが怯えたように該当ページを削除し、該当会員を除名しているという事実がある。朝日新聞側は、「削除を要求していないし、圧力もかけていない」そうだが、それにしてはこの削除ページ顧客に対するメールに見る、プロバイダの怯え様はただごとではない。(社名の公表なんて、どうみても脅迫と思うが)朝日の記者はヤクザより恐れられている、といって間違いないだろう。ペンは暴力より強し。正しいほうにも、間違ったほうにも。

 ところで、どこかのページで、「朝日の記者が銀行や大蔵省を叩くのは、自分も官僚や銀行員にあこがれていたが入れてもらえなかったので、その恨みや劣等感があるからだ」と書いていた(ページ失念)が、これは明らかに誤り。大手新聞の記者になるのは、大蔵省や大手銀行に入るよりずっと難しい。マスコミに入社するには大学2年生頃から就職活動を開始するのが常識。銀行や役所に入れなかったような学生が新聞社に入社するのは不可能である。これは、最後の年の夏にもなって就職先に困り、「マスコミでも入るか・・・」などとデモシカジャーナリストを目指し、無謀にも朝日新聞とNHKを受け、あたりまえのように落とされた私が言うのだ。間違いない。

 もっとも、記者がエリート化し、傲慢になっているのも朝日新聞だけではなさそうだ。読売や毎日の新聞にも限らず、テレビ、雑誌すべてのマスメディアにおいて、ジャーナリストのエリート化、そこに起因する一般人との意識の乖離がみられる。

3・その政治姿勢が右翼の方々に嫌われる

 これだけは朝日新聞にとって、誇るべき勲章ともいえる。

「敵に嫌われていないのであれば、何か悪い点がないか反省してみるべきだ」との毛沢東の言葉もある。

 右翼の方々に嫌われるのは、朝日新聞、週間金曜日、小林よしのりを批判する人、というのが三種の神器となっているようだ。

 WEB界にも右翼は多く、週間言志人などが有名。論旨が支離滅裂なところがほとんどの中で、これなどは文章がわかりやすいほう。でも説得力はまるでないが。

 笑えるのはここ。朝日新聞嫌い、サンケイ新聞大好きのページなのだが、なぜか投書欄だけを対象にして朝日をけなし、サンケイを誉めているのだ。真意が分からない。あるいは投書マニアか。「産経新聞朝刊の投稿欄に、『*****』と題する、立派な投稿が、載っていました。」で始まる紋切り調は、なかなか味わい深い。

 こうしてみると、3をのぞいて、問題は朝日新聞だけでなく、マスメディア全体にかかわるものであるようだ。「新聞など読まない」「テレビなど見ない」という人間が、特に若い人間に増えている。マスメディアへの不信感は確実に広がっている。

 昔の帝政ロシアでは、政府検閲の一般書籍が信用できず、地下出版の本しか読まない読者が多かったという。インターネットの情報しか信用しない読者が誕生するのも、そう遠い日ではないかもしれない。


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