Evangelion Genesis y:x 更新日誌(1999 年 8 月)

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8 月 30 日。
隣の PLP 階層で PLP kernel 1.0.0 (を予定していたもの) を書き上げて 「やれやれ」 と思ったその日のうちに
「IrDA 動いたよ〜」
と来たもので 1.0.0 全体が延期、昨日はどとーの IrDA のチェックに走り、 今日は寝不足 ...
なので寝ます。お休みなさい、
というネタが繰り返されてるあたりに眠さとゆーものがある ....。

ネムい時はそんなもんだ。


8 月 29 日。
RATOC PC カードアダプタ REX-5051FV が売れたので I/O DATA の PC カードアダプタ CardDock-IN/SC を購入、 atropos に突っ込んだ。 この交換のメリットは 2 つ、交換した後で分かったメリットが 1 つ、 デメリットは 1 つ、
  1. RATOC は ISA の専用カード、I/O DATA のは SCSI 接続なのでカードスロットが一つ空いた。
  2. RATOC のケーブルは専用 50 pin フラット x 2,
    SCSI の 50pin ケーブルは既にスマート化されているので ケースの中が一気にすっきりした。
  3. RATOC はカード認識時 2 秒ほどマシンが凍るけど、I/O DATA のは そういうことがない。極めてスムース。
まあ、I/O の奴の箱に書いてある宣伝文句ほぼそのまんまかな。 Linux でのカードの交換、書き込みともにおっけー。もともと Windows 用のドライバ FD さえついてこない、単なる removable SCSI device のようだしねぇ。 IDE HDD を SCSI HDD にみせる I/F card も売られてるけど、この adapter も中身は ほとんどそれだな。

この他、マウスをシリアルから PS/2 に移行(もちろん Logitech の同型モノ)し、 シリアルを一つ空けた。すぐ IrDA アダプタで埋まったけど。
同型は同型でも resolution は違うらしく、 同じ感触にするのに xset mouse 4 する必要があった。

PS.
漣さん家 が復活している ...
あけましておめでとうございます (で、いいんだよな、たぶん)

PS2.
big.or.jp って "~/takwon/" と "~/takwon/index.html" って違うファイル指すんでしたっけか。
こっちのキャッシュが古いのかな? "極秘 (kanon)" のほうは save しとかなきゃ。


8 月 27 日。
Kallen (Thinkpad 340) には CDROM が付いていない。このため OS のインストールは けっこう面倒で、PCMCIA LAN 経由で linux を入れた後、linux の NFS 経由で HD に CDROM をコピーしてインストールに入る、という手順が要る。

.... が、をいをい Vine ... ちゃんと PCMCIA LAN card (TDK 021BX) 認識せんかい!
うう、フロッピー経由とゆーのは避けたいぞ ...


8 月 26 日。
昼すぎにどこぞで食べたうどん。
暗黙のうちに天カスが付き、ついでに汁が塩系と絵に描いたような近畿系のうどんだった。 そういう店もあるのだな。
ちなみに味の方はというと、 煙草の煙が物凄くて味あうどころではなかった(もちろん禁煙席だ)。 二度と行くものか。

『逮捕』と『電脳組』の再放送を観た。うぐぅ、夏美の最終回は一昨日か? 録画してなかったからな .... 『電脳組』のほうは今日が『旅立ち』だったから、まあ、いいことにしよう。

Linux kernel の 2.0.x 版に 2.0.38 が出たらしい。
2.0.x ってまだ開発が続いてたのね、ってあたりも驚きだけど、 こないだの日曜に私 2.0.37 に上げたばっかなんですけど ... ;_;


8 月 25 日。
大倉らいた 『センチメンタルグラフティ 〜 約束』 角川文庫
... これが原型ならなるほど "センチ" に私がハマるはずないですな。 3 ページ前後読み進んだとこで放りなげた。 買った最低限の義理を果たすべく七瀬の話だけ目ぇ通したのでこれだけ感想。
... どーしても笑っちゃう。ほとんど毎行毎行で笑って手が止まってる。 頼むからもーすこしマシな展開作ってください。 「お約束なベタな展開」というシロモノでさえ もうちょいまともな展開のことを指すと思う。

中身も中身だけど、形式もちとナンで、 人の思想、信条、信念そういったものを他人の言葉で定式化しようと しないで欲しいな。すっごく妙な文になってる。例えば ──

優は独特の価値観を持っている
人物紹介のステージでこの「独特」ってな、 そりゃ誰の(価値観による)判断だ? 優自身が自分の価値観を '独特' という言葉で形容することはないはずだし、作者の判断だとすれば これは非難の色合いをもつ言葉になる。作者が主人公に対立してどないすんねん。

『センチメンタルジャーニー』のほーでも大した違いのない展開だった筈だけど、 こちらがそれほど腹立たなかったのは邂逅部分が過去時制で語られたからだろーな。 美化が入ってても不思議のないところだったから。 現在時制で語られるとこんなにも笑える展開だったとは。

こまごまとコマゴマした話ふたっつ。

「サンデー」今週号の島本和彦の「炎の転校生 同窓会編」 を読む.... 「うあぁ正しく島本だぁ」というのが第一感。 なぜいまさらここに、ということまできっちり島本ギャグになって帰って来たっ!
... 別に残骸とか殻だけっつーこともなく、中身もほんとに正しく島本〜な話で、 ちゃんと『炎の転校生』の続編をやっておりましたとさ。

Psion 5mx の値動きみてたら本日いきなり 470 → 514ドルと 40 ドル値上がりした。 なんなんだ一体?


8 月 24 日。
微かに夕焼けが残っていた。それから 1 時間後、雷を伴う強い雨。 ついに地域が暫く停電するほどの事態。

「夕焼け」とゆうんは明日の天気は保証してくれるが夜間の天気は 保証してくれんのだな。まあ、雷雲は東から流れて来たようであるし、 西の空の責任ではないか ...

さて日曜に買ったうちの一冊:

日生かおる 『プルヴァール』(3) 少年画報社
『センチJ』繋がりである。青森の妙子の話で出て来た一人。 ついでに『トライガン』繋がりでもある。『トライガン』以前は OURs 読んでなかったし、 OURs で日生かおる発見してついでに眺めてた訳だし。 で、古本屋で見つけた一冊。いきなり 3 巻なのは単に 3 巻しか置いてなかったからにすぎない ... が、 3 巻は外伝的立場らしーので本筋の評価はできない。しくしく。
でも 2 箇所ほど「へえ」とうなるシーンがあったので、そこそこ面白かった、ってことになるんだろう。
「でもそうやって放っておいた結果、 あの二人は三年間もしこりを抱えてたんじゃないですか」
「...... 三年なんて、そんなに大した時間じゃねぇさ」
ちなみにこの人の絵がセンチ J の妙子の話で引用されたあたり、 どーみても irony である。 少なくとも『プルヴァール』の主題は妙子の論理の対極にあるように思う。

ところで日曜に買った中には数冊スパイ小説が混じっていた。 いちおう y:25 の細部の描写の調整のため、ということになっている。


8 月 23 日。
円高って円高って円高って ....
あっさり Psion 5mx がアメリカで送料込み 6 万割ってしまった。 モノの数は少ないようだけども値が動いてるんだから流通はあるんだろう。
Psion 5 は日本で 4 万強、 両者の価格差 1.5 万円は CF に直して 40 MB ほどの差になる。5 と 5mx の C: (SRAM) の差が 8 MB. 日本語変換が ARM chip 18MHz にはやや重いことを考えれば、5 に手をだすのは なかなか辛いところ。

とかいいつつ注文していない。5 ドル/日のペースで値が下がってんだもん。 円高調子とあわせて、 タマ数すくない(発注してから届くまで日数がかかる)ことを思えば、 いま注文できないってば。


8 月 22 日。
つらつらと『CC さくら』について考えてみた。

喜怒哀楽をはっきりと表情に示し、しかもその方向、構造、論理性が単純で明確。 心理障壁が比較的低く、わりと誰にでもなつく傾向をもつ。 さくらは「かわいい」と思われる条件をひととおりそなえ、 しかもカメラは彼女をフォーカスし続ける。
この構造はかなりあざとい。したがって当然、それに対する拒絶反応が起きるべきである。 ... まったく起きなかったとしたら 鑑賞法が粗雑すぎるか心理的にかなり問題があるか のどちらかだからさっさと心を入れ替えるように :-)
閑話休題。この拒否反応、 思い返してみれば上述した論理から予想されるよりもかなり小さかった。 それは何故か?

このリアリティのなさ、作為、妙な意図などに 対抗するのはやはり理由とリアリティしかない。
周囲の人達は実はさくらがかわいくありつづけるための境界条件になっている。 人を疑うことを知らないさくらに、 疑わせるようなことをほとんど見せない周囲の人達の組合せである。 さくらをとりまく環境は さくらの精神の有り方にそのまま反映させたとしてもさくら本人が出来上がると いっていいほど、さくらの内的状況と外的条件は対応する。 つまり、周囲の構図そのものが、さくらが妙に可愛い過ぎるという「嫌味」 を打ち消す役を果たしている。 この影響で登場人物のすべてにリアリティが無くなり、ファンタジィ色が強くなった。 そのかわりにそれを物語上での(カードのかかわらない)事件のリアリティが補う。 言い替えると、カードが関わらない条件では「奇跡」や「偶然の幸運」は絶対に起きない。
これが もっとも危うかったのは いまのところ溺れかけるさくらが幽霊(天使?)の母親に助けられる回だが、 何気にしっかり母親本人に「今回はちょっと危なかったから見に来た」などの理由を 語らせることによって「偶然」を排除した。 (幽霊が口がきけるという保証はないのだから) もし何も語らずに無言で消えていったという演出は考えられるけども それを想像してみれば物語的にかなり変だと思う。

周囲の人物も、物語の造りも、基本的には さくらにたいする鑑賞者の反感を取り除くように設定されている。 驚嘆すべき完成度だが、 逆にこれだけの精度がなければとうてい耐えられるような構図ではない。つまり、

「いたずら好きのカードが起こす事件を辿って、そのカードを封じる子供の物語」
という主たる構造の中で、主人公さくらはカードとも、事件の被害者ともほとんど コミュニケーションを持たない(設定上、持てない)。 推理小説で探偵が犯人や被害者に何の対話も持たなかったり、アニメでいえば 『ジャンヌ』でジャンヌが被害者に対して何も思うところがなかったとしたら、 ということを想定してみれば、この条件がいかに物語をつまらなくするか分かると思う。 ついでに確かに card capturing が episode の中心になればなるほど episode としてくだらなくなっていく傾向がある。

この物語、鑑賞点はさくらの周囲の人達のあり方だ .... それを表現するのに その結果物(さくら) をフォーカスしつづけることで間接的に行なっている。
したがって さくらの感情は(周囲の人達等の行動の)結果であって、 (なにか未来の事件の)原因ではない。 これはさくらの感情が未分化のままで良いということでもある。 喜怒哀楽が明確なわりにはその意味するところがはっきりしないのも、 それが物語の焦点とならないからだろう。 木之本藤隆や李小狼などの感情表現には意味があり、次の事件に導く道標になっているのとは えらい違いである。

本日の覚え書き。
atropos の linux normal kernel を 2.0.37 へ更新。および realtime kernel を 2.0.36 へ移行準備。


8 月 20 日。
当然だが月刊誌の〆切というのは月に一回やってくる。 前々月にさらっと大枠書いて一ヶ月以内にちょろちょろと仕上げればよかろ ── などと思っていると、だいたい〆切前日まで何もしないってな、よくある話、 .... だよね、きっと。
〆切が 4 日くりあがった(夏休み進行とは時期がズレてると思うんだけど ...)ので、 ちょっとリズムが狂ったのでした。

念のため言うておくと、 影の〆切とか裏の〆切とか本当の〆切とか真の〆切とか そういうのにはお世話になってません。まだ :-)


8 月 18 日。
昨夜は録画してあった『ウテナ』(の総集編?)を観てたらそのまま気力が尽きた。 ついでにまだ見終わっていない。

ドラッグ系ストーリーとでもカテゴライズしようかと思っているクラス、 たとえば EVA 劇場版のように、ロジカルな内容は空虚だが直接的な感情の力押しで話を 押し流すタイプではなかろうか。 基本的に受容チャネルが無ければ興味を持てない造りになっている。

70 年代の絵と 90 年代の演出を形式美でつないでみせているが、 設定された問題の構図は単純で平易なものだ。 単に解き方が間違っているために面倒な展開になっているだけ。 トラウマの使い方も以下に記す『ベターマン』でのように自縄自縛させるのが ここしばらくの流行で、そういうのに慣れているところに 『ウテナ』ではそれより芸のない、直接的な利用にとどまる。 容れ物(形式)は見られるのにあまりに中身に芸がないと思う。
.... というか、登場人物があまりに脳ナシばっかりで見ていると疲れる ...

先週の『ベターマン』(鏡 ─ ituwari ─) にて各登場人物が自分の shadow と対決するという展開があった。 Shadow との対決は本質的に解決困難な問題である(解決できるならそれは shadow ではない) ので、その処理は本来興味深いもののはずだがさすがにそろそろ飽きて来た。 ただ、問題解決の方法が珍しく力強かったのでここは見るに耐えた。 これ、「またか ...」と思って結論を見落とした人も多いに違いない。

AIC やジブリならともかくサンライズにもこういうロジックが描けたのね、と思ってしまった (^^;


8 月 16 日。
丹沢のキャンプの事故の捜索はまだ続いているらしい。 警告にもかかわらず中洲でのキャンプを続け、雨の増水で流されたことに対する非難は いい加減たくさんでているから書くまでもないと思うけど .....
うーむ、どうやっても弁護の言葉が出て来ない。

道志山塊(丹沢)は東名高速や 小田急線、中央線から 1 時間ほどで登山口に入れるという意味では 気楽なヤマだが、その中身は壮年期の深山で中流域の渓谷は深く、ついでに土質も脆い。 渓谷が河川上流域になる武蔵や見ため山奥の奥多摩に比べても条件は悪く、関東では 最も危険な山域である。はっきり言って山をナメ過ぎである。

『山で死なないために』など、その辺の本を読めばとりあえずの気構えは出来ると思うけど、 本屋にロクに置いてないところからして売れないんだろーな。
もっとも、この本だったか別の奴だったかを読んで、自分の鎖場の渡り方が間違ってて

「うーむ、危なかったのだな(冷汗)」
と思ったことはけっこう秘密。 山質、天候など自然を相手してる分にはいいんだけど、 人工物の使い方についてはちょっと分かりかねることがある。 ヤマ屋の知合い少ないからところどころそーゆー知識が抜けてんだよな、やっぱり。

上記の本で学んだことは二つあって、

である。文字にしてみれば当然のことだが、 鎖場の鎖に体重をのせてはいけない (それが突然切れた時にリカバリできるだけの姿勢を保て)なんてこたー、 言われれば「ああ、そらそうだな」と分かるが言われるまでは分かるまい。

今回の事故でいえば、「川は増水しない」 ことに自分の命のすべてを預けていたりする訳なのだから。 その場から動かない(という判断も酷いがそれを置いとくにしても)にせよ、 「増水した時」に自力で助かるだけの準備は事前にしておかねばならなかった。

想像力の欠如というか。まあ、どこにでもあるコトではあるけれども。


8 月 15 日。
お盆である。全国的に里帰りして挨拶回りする日である。
という訳で、挨拶回りしてきた。正月は挨拶回りしなかったので おおむね 1 年ぶりである。行きは人の群れと向きが逆だったので それほどでもなかったけど、帰りが物凄いラッシュだったので 1 駅歩いた。 おみやげは本 3 冊ほどか。

ちなみに、以上の記述はもちろん有明の挨拶回りの話である。 実際問題、有明、つまりコミケでしか会えない人ってのはいる訳で、 盆と正月に開かれるのも当然だよな、と思うところはある。 東京に帰省してくる組はまだしも、本当に東京から帰省しなければならない組にとっては 笑い事ではないかもしれないが。

例によって『ダーコーヴァ年代記』 の "Sharra's exile" の抄訳やってる麹町猫之会から続きを 2 冊 (前回の冬コミケ行ってないのでその分と合わせて 2 冊)と、 ジャンクヤードから"Progressive 3" (今回の新刊は '4' である。やっぱり冬コミケ行ってないから前回の分。 今回の 4 は買ってない) を手に入れた。

挨拶回りした Q りえいた〜ず(といいつつ名乗ってないが:-)や、 もの書き屋 ── つまり EVA 系のところからは 買っていない。 「紙」という媒体は証拠として残りやすく、 手もとに置くことが出来ないからであって別に内容がどーとか言う訳ではないので念の為。 実際、前回の夏コミケでは CDROM 版の EVA SS は買っている。CDROM の保管には問題になるところが少ないから。.... なにせ同列に "ONE", "Kanon" なども 管理されてたりする訳で、こっちのほうが遥かに厳重管理対象である。 余談だけど "Kanon" などの管理でも 最大の問題は「紙」(マニュアル、CDROM ケースのカバー)である。 捨てるべきなんだろうなぁ ...

閑話休題。もの書き屋 (takeo さん家) でたむろってたところ、 とりあえず EYE96 さんと桜月さんは拝むことができた。 今日あたりも徘徊している筈の A さんとか B さんとか C さんとか D さん ... には会えんかったが、S さん、T さんには会えたんだし、ま、こんなもんだろう ── N さんにも会ってるんだけど うまくアルファベットが繋がらんな ...

帰りに一駅歩いたというのは、TWR の国際展示場前駅の前の人だかりが凄かったので 水上バスで帰るつもりで戻りかけ、「ああそういえば」ってんで TWR の隣の駅の 東京テレポート前まで歩いたという話。もちろんガラガラでした。はい。 国際展示場前駅に戻って来て、 ホームの人のヤマを車内から見ておもわずおびえる人達がいたりして、 ついでにドアが開いた瞬間に物凄い熱気が入り込んできたりして、 なかなか面白かった。

さて ── "Progressive" のことだ。

これは Nary さん、white さん、hayasita さん、丸山さんなど かつての EVA SS 書きの superpowers による、オリジナル短篇小説集である。 あまり EVA ML とは関連付けしてくれるな、と後書きにあるが、 関連付けして論じざるをえない部分があるからそれは勘弁してもらおう。

1 は借りて読み、2 は去年買って読み、 今 3 巻目にとりあえず目を通したところだ。 2 で「あれ?」と思ったので今回 4 は買わなかったんだけど、3 をざっと見て 確信した、とまではいかないかな、でもそうじゃないかなと思うんだけども ... 1, 2, 3 と巻を経るにつれてつまんなくなってきている。

個性の消失と砂を噛むような文体の蔓延というのが一つ、 もう一つは読んでて作者が楽しんでいるような感じを受けない、 つまり「ああこれ書くのは楽しいよぉ」といった感覚が伝わってこなくて、 なんか一所懸命書いてみました苦労しました、といった感じだけが伝わってくる。 とても superpowers の仕事とは思えんのだけど ... まあ、物を書くことをナメてんのと違うか、 としか思えないその辺の同人誌よりはまともな仕事してるし、 コミケで「壁」を確保しただけのことはある、というか「本を買った」ので 比較対象は当然のことながら商業ルートに乗っている一般書籍であって同人誌は眼中にない。

ML 内で叩いて相互に鍛えるのは当然のことだ、... けども、 叩いて意味があるのは叩かれる側にそれなりの叩かれ方(defense)の実力のある場合に 限られる。叩かれた時にちゃんと自分の作品を守ってあげてるのかどうか?
叩くことよりも正しく defense することのほうが遥かに難しい。 その辺のことが分かってない人達では無い筈だと思うのだが、 少し不安を感じないでもなかった。

ついでに言えば ──
2 次創作からオリジナルへの移行の壁は それほどまでに高いのか(あの人達にしてこれか?!)、と思わざるをえないのである ....

オリジナルは 10 行ほど書いて断念した経験があるから、まあ分からんでもないけども。 2 次創作の初作は雪山のラッセルだった。 それに比較すればオリジナルの初作は まるで山にトンネル掘り抜いてるみたいだったからな ....

覚書。
Progressive の件、8/15 初出、翌 8/16 に抹消。11/24 に復活。


8 月 13 日。
盗聴法案、及び住民台帳法案成立。情報が集約され、しかも盗聴し放題であると。 という訳で、(メールなどのデータの暗号化をする) PGPi のホームページは
<http://www.pgpi.org/>
なり。 ついでに (回線の暗号化をする) ssh も 1.2.26 に入れ替えた。

Internet Phone は遅くて実用にならないと言われるが、こと暗号化に関しては PGPhone を使えば、 電話会社に頼りきりのアナログな電話とは格の異なるセキュリティレベルを持つ。 もしかして普及が進むかな? ちょうど東京電力が回線事業に乗り出してきたことだし。


8 月 12 日。
1 週間ほど暑さでダウンしていた。息を吹き返すのが夕方になってからだってとこで すっかり「夜行性動物」していたけど、 寝るのも早かったので日誌の更新は無かったのであった。 『まるいち』の感想書き↓はちょっとしてたんだけども。
本体の AC ライン口が壊れた "kallen" (TP 340) を修理に出したついでに 秋葉から神保町を回り、重い荷物背負って遊び回る元気があることになってんだから やっぱ書かなきゃまずかろう、ってんでこれを書いている。

あんまり見てなかったうちに 100/10 switching hub が 1 万割っているとか、 Psion 5 がけっこうあちこちに出回っているとか、いろいろあったらしい。 秋葉の Psion 5 は 6 万 〜 7 万弱というところだが、通信販売で 5 万割っていると 聞いてふらっとしている .... 次の Psion 5mx がイギリスで 7 万って感じなので価格差的にも悩ましいところ。

ちなみに Pison 5 を購入したとすればオハライバコになる筈の "megaera" (MobileGear MC-MK12) は fj で買い手がついた。 参考までに売価は 2 万弱である。8 月一杯ハードウエアの整理をするので まだいくつか出すだろう。PLP のためには "clotho" (MC-MK32) だけあれば足りる。

神保町で買ったうちの一冊。

加藤元浩 『Q. E. D.』(1) 講談社
推理系のコミック。推理の条件/状況の整え方が素直で整理しやすく、 推理のクイズとしても暗算で解ける。 人物描写、絵などはほとんど『ジャンプ』レベルの いい加減さ ── たとえば、燈馬の天才的変人さ(他人の感情が「計算」しきれない) の描写が人物導入の初回にこそあれ、それ以降の回では叙情的にも単なるふつーの人だとか、 があるが、とりあえず助手やってる可奈がかーいいから許すことにする。
論理にもなかなか笑えるミス ── 寝る前にシャワー浴びることを習慣にしている 社長がなぜにシャワーを浴びたか ── もあって、 とても Q.E.D. (証明終了) という気はしないが、『コナン』なんぞよりは なんぼかマシな推理をしていた。

世にある推理小説のトリックで不満な点は二つある。
一つは、犯人が犯人の考える範囲内で 非常に精密にトリックを考え、実行に移し、そして完全に成功させるという「うまさ」 をみせるのに、 犯人が犯行当時に考慮しなかったことについては 同一人物とはおもえないほど「バカ」であることである。

もう一つは小説の作者本人が推理という問題の難しさの構図を理解していないことである。

トリックがミスリードも含め完全に犯人やその場で巻き込まれている人々の 計算のうちにあるということが保証されていると仮定していいなら、 推理という逆問題は現実離れするほど容易な問題に化ける (もちろん逆問題特有の困難さは残っている)。 「偶然」とトリックのうちに含めた「未必の故意」系もヤマとあるが、 そういうことではなく、 犯人の立てたトリックが部分的に壊れたことによって問題が本質的に難しくなった (これも逆 ── トリックが崩れたことが手掛かりになった、というケースは多い)、 というケースを読んでみたいものである。

実際の事実は確かに一つしかないが、すべての条件を満たすような状況は一つではない。 逆問題(帰納的論理によって解決される性質の問題)は偶然というノイズが入ることによって 解(の組合せ)が非常に増えることに難しさの本質があるのだから。


8 月 11 日。
今世紀最後の日食。しかもヨーロッパ主要部を通るというとんでもなくハデな日食。 ついでに半月前に月食が起きているあたり、 月の軌道がきれいに黄道面に沿った形で日食に入っているという意味でも なかなか興味深い ......... が、気付いたら終わっていた。 どっかで生中継やってたんだろーな ....;_;

日食の美しさは実際に見なければ分からないと言うし、実際にそう思う。

TV カメラの CCD にせよスチルカメラのフィルムにせよ、日食の急激な光の変化、 コントラストを映しきれるものではない。 黒い太陽の周囲にでるフレアが白く広がってるのはともかく、さらにその外側に 天文薄明クラスの青空が広がっていることは絶対に TV では描写できず、黒く潰れる。 その程度にはコロナは(物凄く)明るいが、しかし食分 99% での太陽本体自身よりは 遥かに暗い。天の岩戸というごとく、月の公転が肌で感じられるのだから ...


8 月 8 日。
感想の難しかったコミック一題。
柳原望 『まるいち的風景』(3) 白泉社
家庭用ヘルパーロボット「まるいち」の絡む社会的な小さな出来事とそのメーカーの人達の話、 3 冊目。
柳原が芸風の広がりをみせ、うまいぐあいに伸びてるなあと思わせるところもあり、 テーマ("疎外感") 的にもそこそこの奥行きだ ── が、 なんでだか面白くない。話がのっぺりとした造りなのはテーマ的に当然のことといっていいし、 サブキャラの配置もこんなもんだろう、と細部を見ても特におかしい点はないと思うのだけど、 .... 面白くない。

作者の視線の悪さだろうか。「疎外」という問題は、「疎外している側」からの解決は とんでもなく容易なもの(単に解決してやろうという気がないだけで...)であって、 かつ「疎外されている側」からの解決はほぼ不可能である、という非対称性をもつ。 したがって語りの視点を「疎外している側」に近づけると物語が崩壊する。

「やっぱり僕はどこか変なのかな?」
に対して作者自身が
「うん少し趣味がね(汗)」
と腰が砕けては... やっぱりまずいだろう。照れがあるにしても ... 橘裕『人形師』までとは言わんが、もう少しちゃんと話を支えんかい。

せっかく良いセリフもあるのにぃ、もったいない↓

「宣伝の時はあの女の子。釈明の時はあなたが会見するのね」
「それが僕のオシゴトですから?」

8 月 7 日。
あいかわらず感想の難しいアニメ一題: 『カードキャプターさくら』

面白い。面白いんだけど、どーして面白いと思ってるんだかさっぱり分からないあたりが 物凄く難しい話、おかげで感想書きできん。

小学 4 年にしてはさくらは少し幼いか。李小狼あたりが標準の出来だと思う ── たとえば 『ママは小学 4 年生』に連中を放りこんだとき、違和感なく融け込めるのは李だけだな。


8 月 3 日。
月の替わり目はファイルが切り替わる。それにあわせていくつかの html ファイルも書き変わる。 それが面倒くて ここ 2 ヶ月は月の替わり目の日誌の日付が飛んでいる。
「日誌も書けない」ほど忙しいことになっていた 先々月末や今月始めに隣の PLP 階層では何気に更新があったことがその証拠である ──

というのも確かにあるけど、実際のところはともかく暑い、ひたすら暑いという訳で そーいった細かすぎる作業(でかつあんまり楽しくない作業)をやる気にならんかった、 とゆー方が大きい。
決まりきった作業なんだしスクリプト書けよ.. > 私

とても南の地の生まれとは思えん発言だが、 この世にいでてより 7 割の時間を東京で過ごしてるんだからいいことにする。
「暑い」ことがダメなんではなくて、「暑い」ことによって薄着になる分、 寒暖の差がじかに体調に影響する ── というカタチで、 クーラーのつけすぎで体調を悪くすることはあってもヒーターのつけすぎでゆだることは あんまりない、ってのも多分この辺の非対称性が原因に違いない。

‥‥ だから、暑いんだってば。空には典型的な夏の雲 ── いかにもそのうち雷を落としそうな積雲が 素晴らしく冴え渡った青白い夏の空に一列に並んで暑さを印象付けてるし。


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