こんな話があるでよ=WHAT'S NEW? --last modified 1999
寒いとよく登れる?
『Rock&Ice』に、冬のクライマーを励ましてくれる記事があったので紹介しよう。 トミー・コールドウェルはクリス・シャルマと並ぶアメリカの若手ナンバーワンだ。 コロラド州エステスパークに住んでいる。シャルマはどちらかというとハードなショー トルートやコンペなどが得意なようだが、コールドウェルの方はアルパイン系のルート も積極的にこなす山好きのスポーツクライマーだ。コールドウェルが感謝祭の連休を利 用してシャルマのネセサリー・イーヴィル(5・14C)を再登したニュースは既報ずみ だ。アメリカの感謝祭は11月の末、本格的な冬の到来を告げる祝日だ。けして暖かいと はいえないコンディションのなか、ネセサリー・イーヴィルをレッドポイントした彼は 「寒いとよく登れる」という彼の持論を語ってくれた。 エステスパークといえばロッキーマウンテン国立公園のふもとの町だから、カリフォ ルニアのクライマーなどに比べたらコールドウェルが寒さに強いのは当たり前かもしれ ない。彼がレッドポイントした困難なルートのほとんどは氷点下近くの気温のときに成 功したものだという。気温が4度Cくらいで、太陽の差さない冬寒の日が最高のコン ディションだと彼はいう。 かじかむようなコンディションが最高だというのにももちろんしっかりとした理由が ある。まず、指先の皮膚が硬くなり何回もシリアスなトライが可能になることだ。ホー ルドは滑りにくくなるし、どういう訳かパンプもしにくくなるとコールドウェルはい う。そして、クライミングシューズのゴム底に関しては、暖かいときよりは押さえつけ が少し必要になるものの、寒い方がベストだと付け加える。そして、寒い冬にハードな ルートをレッドポイントするためのいくつかの秘訣を述べている。 いきなり寒いところに出て登ろうとしても、体がついていかないのは当たり前だ。秋 口から徐々に体を寒さに慣らし、コンディショニングしていくことが大切だとコールド ウェルはいう。着るものについては長袖、長ズボンで綿製品は避ける。寒くても気合を 入れてTシャツ1枚になって取り付いたりはしない。そして、暖かい帽子はぜったいに 欠かせない。1フリースでできた靴下のような手袋も欠かせない。テーピングをすると む くんだり、指が冷たくなったりするのでなるべく避けたいとのことだ。チョークバッグ にホカロンを入れたり、暖かい飲み物も欠かせないし、焚き火かポータブルヒーターも ほしい。シューズを履くたびに暖めたり、クライミングシューズ用のフリース製アンク レット(レッグウォーマーのようなもの)を着けるのも良策だ。かじかませておいた手 をクライミングの直前に暖めて取り付くと、かじかみが起きにくいともいっている。 (長岡カルロス)ジャミングなんて知らない? FCジャパンツアー99第1戦
クライミングコンペの国内シリーズ“ジャパンツアー”の第1戦が、5月22・23日、 大阪のパンプ大阪店で開催された。 男子は総勢53名。開幕戦ということもあって常連 の実力者はほぼ全員が参加。平山、小山田はワールドカップ出場のため欠場。実力伯 仲、だれが勝つかわからないといった状況だった。 男子予選では中間部にコンペでは珍しいジャミングを使う部分があり、ここでクラッ ク経験のとぼしい若手クライマーのほとんどが敗退した。 女子は23名が参加。予選では5・11aを19名中(シード選手4名を除く)12名が完登 し、選手の実力が確実に上がっていることが確認された。 男子準決勝は非常にテクニカルなルートで完登できたのは26名中、篠崎喜信、立木孝 明、柴田朋広、藤井茂久の4名のみだった。 男子決勝ではベテランが健闘した。篠崎喜信と堀越隆正が、天井を這い回るようなパ ワフルなルートで最高到達点をマーク。準決勝の成績により篠崎の初優勝が決定した 女子は昨年のシリーズチャンピオンの木村理恵が故障により欠場。決勝では加藤保恵 と中貝星子がどちらも完登。ふたりによるスーパーファイナルが行なわれたが、これま た両名とも完登。優勝者2名という結果となった。 (北山 真)フリークライミング・ワールドカップ99 第2、3戦レポート
第2戦=ドイツ 5月29・30日、ドイツのライプチヒでワールドカップの第2戦が行なわれた。日本か らは5月頭からニースで登り込んでいたユージ&大ちゃん、そして木村伸介、原田裕介 の4名が出場した。理恵(木村)もエントリーしていたが、膝内側の靭帯を傷めてしま いキャンセル。 壁はレッドルースター社で、ホールドはスロベニアのもの。高さ16メートル、ハングの張り 出しは8bもあり、中央には巨大なツララがぶら下がっている。会場はガラス張りの現 代建築の中だったが、今年のドイツは異常気象だそうで中はビニールハウス状態、サウ ナ状態だった。 男子クォーターファイナルは2ルートで行なわれたが、日本人は全員同じルート。中 間の悪い核心で木村、そして大ちゃんもここで落ちてしまった。大ちゃんはコンペ前に 右手指を傷めてしまい、核心の切り返しがポケットだったための無念のフォールだっ た。ユージは余裕の完登。 セミファイナルはほとんどが中間部でフォールするなか、ユージが終了一手前のホー ルドタッチまで迫った。結局完登は出ず、終了手前でダンゴ状態となった。第1戦でワ ン・ツーを決めた地元ドイツのビントハマー兄弟、そしてフランスのプティ兄弟もそ ろって通過した。 女子は順当な顔ぶれがファイナルに進んだが、印象的だったのがスペインのホスネ・ ベルシアルトゥ。終了手前のクリップができず、飛ばして最終ホールドをつかみ、それ から下にクリップしようとし、やはりできずにフォール。下りてきてわめきちらし、地 面を蹴りまくった。ファイナルではリブ・サンゾが最後のパネル近くまで登り予想どお りトップになった。注目のキャティ・ブラウンが最後に登場。ところがキャティは中間 のツララから右に行くところを左へと登っていく。左は男子ファイナルだ。気がついた ときはクライムダウンしようもなくフォール。会場もしらけたムードになった。オブザ ベーションしていないのか? 男子ファイナルはクライムダウンを含む長いルート。一番手のエフゲニ・クリボチェ フがいきなり上部に達する。その後だれも上部に行けないなか、王者の貫禄を見せたの がフランソワ・ルグランである。中間部でツララとカンテにステミングしてレスト。会 場は拍手の嵐となった。しかしここでレストしすぎて、上部フェースに出たとたんに残 り1分のコール。スピード全開で登り、最後はクリップもせずにランジで上部ホールド にタッチした。最後にユージが登場。いつものスムーズな登りに会場からはため息が出 る。しかしまだまだこれからというときに、足が滑ったような感じでフォールしてし まった。結果は3位。 あとで聞いてみると、上部はクリップホールドがどれも悪く、それでリズムが狂った ようだ。時間がせまっていたルグランは逆にラッキーだったのかもしれない。しかし 久々のコンペ出場で3位はさすがだ。私も4年ぶりのワールドカップ出場(観戦?) だったが選手の顔ぶれもまったく変わった。そのなかでがんばり続けるユージはつくづ くえらいと思った。 第3戦=フランス 第3戦は6月11〜13日、フランスのブザンソンで開催された。壁はアントレプリズ 社。3面の壁が上部でつながっている形状だが高さは12bと低く、最近の世界大会では いちばん見栄えがしなかった。 日本人は前回と同じ男4人に女子は理恵。ニースで登り込んだ日本チームだが、ユー ジは8bをオンサイトするは、大ちゃんは8c+を2日で登るは、このふたりはすごす ぎる。 クォーターファイナルはユージ、大ちゃんは完登。木村は上部核心部で落ちて通過な らず。女子はなんと32名が完登するのだが、理恵は終了点をつかみそこねる。しかし足 が完治しない状態で1カ月ぶりのクライミングだったので満足しているとは本人の弁。 男子セミファイナルは出だしから悪く有力選手がつぎつぎと落ちていく。後半のトラ バース部分につかみづらいツノ状のホールドがあり、その処理が勝負の分かれ目となる ようだ。そして最後の這い上がりが最も悪いようで、すべての選手が落ちる。そこに登 場したルグランが、かなり苦しみながらも完登する。つぎがユージだったがトラバース 部分でまさかのフォール、10位となりファイナル進出はならなかった。 そんななか会場を驚かせたのが大ちゃんだ、下部はかなり苦しそうだったが上部のト ラバースに入ったとたん足をブラブラさせた本来の登り(?)に入る。だれもが苦しん だツノ状ホールドに片手でぶら下がりクリップ。そしてあのルグランがあれほど苦しん だ最後の這い上がりのホールドでもチョークアップする始末。これには観客、とくに選 手は開いた口がふさがらなかっただろう。 女子はブラウンとベルギーのサルカニーが完登し、スーパーファイナルが行なわれ た。上部はなんと男子ファイナルに突入するという無謀なものだったが、ここでもブラ ウンは異常な力を発揮、悪いホールドをつぎつぎと持ち替えて進んでいく。彼女には手 順など関係ないのだ(ラインさえ間違えなければ)。結局、男子最高到達点の一手先ま で行ってしまった。サルカニーは正しい手順でいくのだがブラウンの下で落ちてしま う。 男子ファイナルは、見ているほうもだれが勝ったかわからないような、後半の5〜6 手のなかでのダンゴ状態となってしまった。大ちゃんの結果は7位だが実力的には完全 に互角といっていいだろう。リーチがないぶん、悪いムーブでそれぞれの難所をこなし ていくたびに会場には“ダイ”コールが鳴り響いたほどで、人気も上がってきたよう だ。(木村伸介)
エルニーニョをフリーで第2登(限り無くオンサイトに近く) レオとパッチに話しを聞いた
ミッキー水津 98年秋のヨセミテは、例によって世界中からのクライマーで賑わっていた。そんなヨセミテ Camp4で、Leoという名の18才のイギリス人クライマーが僕ら日本人クライマーの間でも噂 になっていた。彼のまわりにはいつも人だかりができ、彼の底無しのエネルギーと、クライ ミングという枠組みを感じさせないボルダリングに、僕は圧倒されてしまった。 朝夕の冷え込みが厳しくなりはじめた10月下旬、LeoとパートナーのPATCHはフーバー兄弟に よって拓かれたばかりの“エルニーニョ”(以下E.N.)へ、思いついたように取り付き、 なんとほぼ全ピッチオンサイトという形で、第2登してしまった。 幸運にも時を同じくしてE.N.の右隣りのルート“ワイオミングシープランチ”(以下W.S.R.) を、イギリス人クライマーのIan Parnellと登っていた僕は、お互いの完登後、2人と話をした。 10月31日ハロウィンパーティーで賑わうヨセミテのバーで。 水:水津幹夫 L:Leo Houlding P:Patrick“Patch”Hommond 水:すばらしいスタイルでのE.N.第2登おめでとう。 L&P:ありがとう。あんたもW.S.R.おめでとう。 水:ありがとう。まず、簡単にプロフィールを教えて下さい。 L:名前はLeo Houlding、North England出身で18才。旅をしながら生活していて、職業は クライマーかな? スポンサーとして、Berghaus、5.10、DMMがついてくれています。 P:名前はPatrick Hommond。“Patch”はあだ名で、North Wales出身。19才、学生です。 水:それぞれクライミングを始めたきっかけや、クライミング歴なんかについて聞かせて下 さい。 L:クライミング歴は8年で、それまでの生活があまりにも退屈すぎたから始めたんだ。 P:クライミングは14才の時に3才の時以来ずっと住んでいるNorth Walesで始めたんだ。 僕は小さい頃からよく木登りをしていたし、その頃の僕にとってクライミングを始めるのは すごく自然なことだったんだ。 水:これまでのベストクライミングを教えて下さい。 L:僕のベストオンサイトは、ボルトの使われたルートだと今回のE. N.でトラディショナ ルルートでWalesのClogwyn D'Arduにある“Master's Wall”(7E 6c)で、ベストレッドポ イントは新しいルートだけど、WalesのOgwenにある“Ravehichen”(E9 6c)です。 P:僕のベストオンサイトは、“Raped by Affection”(E7 6c)で、ベストレッドポイント は16才の時で、“Statement of Youth”(8c)です。 水:それぞれ、どんなタイプのクライミングが好きなんですか? L:僕は基本的にトラディショナルクライマーで、今回、ビッグウォールフリークライマー にもなれたと思う。今は、フリークライミングと、ボルダリングをしている時が一番ハッピ ーなんだ。 P:僕のお気に入りの岩場は、North WalesのGogarthで、僕は安全で難しいクライミングよ り、大胆でエキサイティングなものの方が好きなんだ。つまり、ボルトで安全を約束された ルートよりトラディショナルなルートの方が好きなんだ。 水:たぶん2人のそのようなハイレベルなトラディショナルクライミングの経験が今回の E.N.でのすばらしい結果を生んだのでしょうね。ここで、E.N.の感想を話してもらえますか? L:E.N.は僕がこれまで登った中でベストルートのうちのひとつだと思う。半分はスレート のスラブで、残り半分はGogarth的だった。僕はE.N.をオンサイトすることにすごく気合が 入ってたんだ。確信の5.13cのピッチはかなり難しいフラッシングだったし、5.13bのル ーフは、これまでにオンサイトした中で一番ハードだったと思う。でも僕らは全てのことを 楽しんだと思う。例えば、悪天のせいでの停滞や、僕らのクライミングスタイルや、最終日、 暗くなってしまい、ヘッドランプを使って突き進むしかなくなってしまったことや、あんた とIanが隣のルートを登っていたことなど、とにかく何もかもが楽しかった。 P:E.N.はこれまでの僕のクライミングで最高のものだった。大岩壁でのスレートと Gogarth的なクライミングで、世界でも最高のルートだと思う。僕らは、E.N.に4泊5日 を要し、そのうち1日は激しい雨のため、じっとして過ごしたけれど、それもまた、エキサ イティングだった。僕らはすごく調子良く登った。特にLeoはルート中で彼の最高グレード を更新したんだ。それに、あんたとIanがW.S.R.を登っているのを見るのがすごく楽しか った。それは、全然ちがう種類のクライミン グだったけど、すごくエキサイティングに見えたし、これら2種類のスタイルを比較するの は、とても興味深くもあったんだ。 水:そうですね。雨の日の停滞といい、毎晩伝えられる君たちからのその日の結果が楽しみ だったし、僕にとっても刺激的でした。次の質問ですが、2人はこれから、どういったクラ イミングをしていきたいですか? また、アルパインクライミングなどにも興味があるなら、 そういったことも教えて下さい。 L:今、一番楽しいのはフリークライミングとボルダリングだけど、将来的にはバフィン島 やパタゴニアや、山岳地帯にあるビッグウォールへも行ってみたいし、今年の冬にはアイス クライミングも始めてみたいと思っているんだ。 P:僕はもっとたくさんのクライミングエリアを旅してみたい。特に山岳地帯にある更に大 きな岩壁へも行ってみたいと思っているんだ。でも、とりあえずはシャモニやスコットラン ド、ウェールズでのアイスクライミングの十分な経験を積む必要があるけどね。 水:日本や日本人クライマーについてどんな印象を持っていますか? L:平山ユージは世界的に見てベストだとい えるビッグウォールの登り方というものを“Salathe”で見せてくれた。僕とPatchは彼の開 けてくれた扉を通り、彼の後に続き、E.N.をオンサイトできたと思っているんだ。 P:世界中の多くのエリアで日本人は成果を上げてきているし、僕の出会った日本人はみん な、モチベーションにあふれていたし、“Salathe”でのユージや、あんたがやっているよ うに、日本人は楽しむことやクライミングの精神性を見失うことなく、理想のクライマーに 近付こうとしていると思うよ。 水:そう見えますか? L:それに、東洋の格闘技はすべてのことに基準を示していて、すばらしいね。僕はブルー ス・りーのようになりたいんだ。 水:ブルース・りーは日本人ではないけど、興味深い話ですね。 L:現在スポーツクライ ミングはどんどんポピュラーになりつつあるけど、ボルトは良くない物だと僕はいつも言っ ているんだ。一番良いのは、やっぱりトラディショナルクライミングなんだ。ましてや絶対 にChippingやGlueing(ホールドをくっつけること)みたいなバカげたことはしてはいけな いんだ。 P:そう。未来の世代の僕たちのようなクライマーのためにも、岩を尊敬することはとても 大切なんだ。また、エキサイティングで楽しめるトラディショナルなクライ ミングに、もっと目を向けて、クライマーの間にボルトを打たないという倫理がもっと存在 すべきだと思うんだ。 水:異議なし。もっと話を聞きたいところですが、今日は遅くまでつきあってくれてありがとう。 LP:どういたしまして。楽しかったよ。 このインタビューでは、イギリス人クライマーならではの倫理の厳しさを彼らのような若いク ライマーから聞けたのは、ある程度予測できたものの刺激的だったし、考えさせられること も多かった。ボルトが妥協であることを忘れることなく、クライミングには発展していって もらいたものです。 ▲“El Nino”について “El Nino”は1998年9月、AlexanderとThomasのHuber兄弟によってEl Capitan南東壁の “North American Wall”に、ほぼ沿ってフリー化されたラインである。 全30ピッチのうち13ピッチが5.12以上、そのうち6ピッチが5.13とグレーディングされて いる。 彼らは古いボルトの打ち直しはしたものの新しくとったライン以外でのボルトの追加はし ておらず、プロテクションはリードする者によってセットされた。 今月の由佳ちゃん 小林由佳ちゃん(8歳)がついに13を登った。レッドポイントに成功したのは福島 県の真野川の岩場。ミクロコスモス5.13a。3回目のトライだった。ロクスノは今後 も常設ページを設け、この天才クライマーの動向を密着取材でレポートする予定であ る。写真は未掲載。Rock & Snow4をみられたい。 小川山のRock & Snow 写真は未掲載。Rock & Snow4をみられたい。 小川山のキャンプ場で屋根岩をバックにとったもの。小池 カメラマンが取材の合 間にねらったもので、本人の自作自演。カメラのシャッターをバルブにして、ヘッド ランプで描いたとのこと。
ユージ、Wカップ総合優勝。世界チャンプに
イタリアのミラノで開かれたフリークライミングのワールドカップ第2戦 、で平山ユージが優勝した。続いて第3戦のスロベニアでも優勝。 第1戦のクールマイユール大会では2位になっているので、総合優勝となった。 名実ともに世界の頂点。すごい。これは。 以下はミラノ大会のレザルト。 1 HIRAYAMA Yuji JPN 2 KRIVOSHETSEV Yevgen UKR 3 PETIT Arnaud FRA 4 BRENNA Cristian ITA 5 WANDELER Simon SUI 6 VICKERS Ian GBR 7 GALLOT LEVALLEE Mathieu FRA 8 VILLIEN David FRA 9 CIENCIALA Michal CZE 10 RAKHMETOV Salavat RUS 21 KOYAMADA Dai JPN 1 SARKANY Muriel BEL 2 SANSOZ Liv FRA 3 GRONKIEWICZ-MARCISZ Iwona POL 4 BODET Stephanie FRA 5 UHDEN Marietta GER 6 SCHULTZ Annatina SUI 7 BERECIARTU Josune ESP 8 LEFLEM Cecile FRA 9 TCHERECHNEVA Venera RUS 10 IOVANE Luisa ITA 11 GO Mi Sun KOR
けっこう使える、面白アイデアブック 「Quick Clips」
「岩と雪」が休刊になってから、アメリ カの「Climbing Magazine」を読み出し た 人は多いだろう。わたしもその一人で ある。その中の人気コラム「 クイック ・ク リップス:Quick Clips」が一冊の 本になった。「クイック・クリップ」は読者の投 稿欄で、色々な人が各自考えてやっているさまざまな工夫を紹介するというコーナー である。この各自の工夫というのは人知れずやっている人がほとんどで、やってる本 人は当然だと思っているが、知らない人にとってはそれこそ「目ウロコ」なものであ る。そんな人知れずの工夫を発掘するという、なかなか目のつけどころのヨイ企画で あると言えよう。 だいたいが登山界には工夫好きな御仁が多いようである。多くの 登山メーカーの創始者だって、既製の道具に飽きたらずに自分で作り出したのが始ま りである。そんなプロレベルではなくても、みんな何かしら細かい工夫をしているよ うである。そしてみんなその工夫をできるだけ伝播したいという本能にも似た欲求を もつようである。ましてやクライミング・マガジンのクイック・クリップに掲載され ると、$100のお礼がもらえるので、きっと毎回たくさんの投稿があることだろう 。「クイック・クリップス」には道具に関しての工夫だけでなく、トレーニング方法 や、安全対策などのヒントも書いてある。イラストレーションも豊富で、英語の文が よくわからなくても楽しい。内容は、ロック・クライミング、スポーツ・クライミン グとボルダリング、エイドとウォール・クライミング、ノットとロープ、ラペリング 、アイスおよびミックス・クライミングと登山の6つの分野にわたっている。 ただ 、さすがにアメリカは広い!実にさまざまなアイデアが紹介されている。いちばん笑 えるのは、序文に書いてある「夜のドライブ方法」で、「トランクにレンガを積み込 んでおくとヘッドライトが遠くまで届いて、実に運転しやすい。おまけに対向車がか ならずパッシングしてくるので眠気ざましにもなる」というものだ。これはあまりに 反社会的だったのか、採用はされなかったようだ。当然本文はもっとマジメなものが 多い。もちろんその全てをここで書くことはできないが、いくつか挙げてみよう。「 ハングドッグをしたり、大墜落をしたあとは、ハーネスに結んだロープがかたく締ま ってほどけなくなってしまった経験は誰でもあるだろう。それを防ぐには、ハーネス のタイイン・ポイントに二重にロープを巻いてから8の字結びをすると、結び目には それほど加重がかからずにほどきやすくなるよ。」もうひとつ。「雪山を歩くときは 、プラスチックの水筒に雪を入れてザックにぶら下げておけば、そのうち水になる。 その時、水筒を黒いテープでグルグル巻きにしておけば、ソーラー・パワーで効果バ ツグン!」どう?こんなの常識だって?じゃあスモールストッパーがワインのコルク 抜きになるって知ってた?ビーチベッドを利用したポーターレッジの作り方は?それ も知っているというあなた。ぜひあなたの持っているアイデアをクライミング・マガ ジンに投稿して$100をゲットしよう!Climbing MagazineIllustrated by John M cMullenCopyright 1997by Elk Mountain PressUS$7.95 (松本板吉)
死の山と化したアコンカグア
エベレストでさえガイドを雇って登る昨今、高度も低くて 歩いて登れるアコンカグアが人気がない訳がない。ところが 今年のシーズン、だれでも登れるはずのアコンカグアが大変 貌してしまった。多くの登山者が入山して、天候が悪化した のだから遭難者も数多くでた。エル・ニーニョの影響による 悪天で3ヶ月にわたり15人の登山者が犠牲者となった。96 年のエベレストの時のようにいっぺんに大人数が遭難した わけではないので、あまり大きく報道もされなかったが、大 量遭難には違いない。 ポーリッシュ氷河ルートをガイドしていたケント・マクラ ナンは悲惨な遭難の様子を語っている。装備の貧弱なポーラ ンド人登山者は凍傷を負い、ひとりは滑落してしまった。キ ャンプ2には遭難者の遺体が4つ重なり、10代後半のドイツ 人登山者は頂上近くで凍死、彼のパートナーは気分が回復す るまで少し寝てから追いかけてこいと指示していたそうだ。 南壁のバリエーションを登っていたアメリカ人は凍死して しまった。 アルゼンチン当局は観光客の減少を懸念して正確な遭難 者数を発表していないが、ベースキャンプ駐在のレインジャ ーは13人から15人は遭難しているものと非公式に発表して いる。天候が今までで最悪だったことはだれでも認めるが、 頂上アタックの判断ミスがどの遭難者にもあてはまるとガ イド達は語っている。以上はロック&アイス誌86号に載っ ているレポート。
ついにでたお助けギア デジタルビーコン
雪山に入る人々にとって、気になるのは雪崩です。 万が一雪崩に遭遇し、埋没者 が発生した時に威力を発揮するのが、アバランチビーコン(以下ビーコン)と言う小 型電波送受信機です。これは、埋没者の持っているビーコンからの電波を捜索者側で 受信し、埋没者の位置を探すものです。 従来のビーコンはアナログタイプで、埋没 者までの距離・方向は受信電波の強弱(音・光で示される)で受信者が判断を行い探 索するという、ある程度の習熟を必要としていました。 このビーコンにもデジタル の製品が出来ました。商品名はTRACKER(トラッカー)。コロラドのバックカントリー・ アクセス社のものです。 このビーコンの特徴は、埋没者の距離・方向が発光ダイオ ードの点燈による指示と数字で表示されることです。今までのビーコンと違い誰が使 っても同じように表示してくれるので、熟練していない人でも、早期探査が可能にな ります。 また、使用電波も従来の機種と同じ電波を使用しており、このデジタルビ ーコンを使ったため、他のビーコンを探せない/探されないと言うことはありません 。
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