エプソン難民の悲歌
エプソンが98互換機の製造をやめてからもうずいぶんたちますね。あれからエプソン
ユ−ザ−はどうしているのでしょう。通信販売のみのウインドウズ95を使ってたくまし
く生き延びている人達もいるのでしょうか。私はNECパソコンに転換して98環境を続
けています。エプソンに裏切られたとまではいいませんが、その前のワ−プロ時代から考
えると、なんとなくエプソンユ−ザ−の悲哀というものを感じます。私はエプソン難民なのです。
私がエプソンのワ−プロ専用機・ワ−ドバンクSを買ったのは86年の8月でした。新
宿西口の「さくらや」で3万9800円でした。この機械は当時としてはたいへんに優れ
ていて、大量の文章を一括変換することが出来ました。ですから、あらかじめ全文をヒラ
ガナで打ち、あとから変換していくことが可能で、変換のわずらわしさがないために長文
を打つことが出来ました。もちろん印刷設定はあとからどうにでも変更出来るのです。他
にもフォントが綺麗だとか、キ−ボ−ドのタッチがいいとかいう美点もありました。
しかし、私が喜んでこの機械を使っていたのはほんのわずかな時期でした。「S」の欠
陥がすぐに明らかになったのです。小柄なのはいいのですが、外部記憶装置としてフロッ
ピ−ディスクではなくICカ−ドを使っていました。これが256Kで1万5000円も
するのです。3枚買えば本体値段を越えてしまいます。本格的に長編小説を書こうと思っ
ていた私はあっさり諦めて、「S」を2万円で友人の友人に売ってしまいました。
次に私が買ったのは、同じワ−ドバンクのFでした。5万円だったと思います。NEC
の文豪ミニや東芝のルポ、富士通のオアシスも触ってみましたが、やっぱりワ−ドバンク
が性にあったのです。原稿用紙百枚というレベルでものを書く時、ワ−ドバンクに勝るも
のはなかったのです。それはもう、表示液晶が小さい(20字*5行)とか使えるフロッ
ピ−が1DDだとか、明朝しか使えないとかいう問題以上の要件だったのです。
月日はいつしか流れ、92年の暮れのこと、ワードバンクが火を噴きました。バックアップ用の電池が液漏れを起こし、それにICが反応したようです。もちろんその後はもう動きませんでした。
代わりに友人からもらったのがPC―286C・PCクラブでした。HDDを取り付け、以後このマシンでワープロや通信をしていましたが、頭にきたのはエプソンの対応です。ワードバンクのFDが何枚もたまっていたのでデータ変換してもらえないかと電話したら、「それはできない」と言います。ワードバンクの生産が中止され、同社のワープロ部門も閉鎖されているので、もうデータコンバートのサービスはしていないのです。
エプソンという会社自体がなくなったのならともかく、過去の自社生産物に対するサービスを全くやらないというのは失礼な話です。これがエプソンに裏ぎられた最初でした。
私はその後PCクラブが不調になったので次にPC−486SEを買いました。
「アップグレード・マルチ!」
というふれこみのSEは、将来の性能アップを約束していました。それがどうなったかはご存じの通りです。以下は当時の記録です。
エプソンからの通告
エプソンから、win95アップグレイドの通知がきました。
それによると、
1,エプソン機ではNECのwin95は使えない。
2,エプソンのwin95はNEC版の3ヵ月後くらいに出る予定。
3,エプソンのwin95は店頭販売しない。(!)
したがって、この通信販売のみ受け付ける。
ということでした。
特に3番に驚きましたね。エプソンにとって98互換機はエンデバー並みになった
のでしょうか。
これを読んで、ますますエプソンに愛想がつきました。
私はパソコンに移る前はエプソンのワープロ、ワードバンクを使ってたのですが、
いつのまにか生産中止になりました。データのコンバートもやってくれません。
「市販のコンバート・ソフトをお使い下さい」
というのですが、マイナーなワードバンクのコンバートをするソフトはとても
高いのです!
自社の製品を愛する気持ちのないことに驚きました。
一緒に来たODP(4倍速)の「サービス価格」も5万円で、市販の3倍速が
2万円をきっているのをご存知ないようです。
これで2度もエプソンに裏切られることになりそうです。
* * * *
エプソンの墓場
いまさらどうでもいい話なんだけど……
C−YOUの2Fの奥に中古PCの陳列棚があります。
そこにはエプソン機がずらりと並んでいます。
SE,HX,も何個かありますが、驚かされるのは
「586MV」 が5・6台も並んでいるのです。
60mhzとはいえ、ペンティアム機です。
17インチ・ディスプレイも付いています。
よく知らないけど、Mpegとかいろいろな機能があったはずですよね?
ほとんど完璧なはずのマシンでした。
それがこんなに見切をつけられているなんて。
エプソンのダイレクト・メールがいかにエプソン・ユーザーにショックを与えたか
が分ります。
WINDOWS95時代にエプソンの98互換機は対応出来ない(する気がない)という
事実を知らされてみんなパニックになったのでしょう。
買取価格が下がらないうちにうっぱらった人は利口だったのかもしれません。
13万8000円の価格が付いていますが、これが10万を切るのは時間の問題
ですから、そうしたら買ってもいいかもしれませんよ。私はいやですけど。
(裏切りエプソン怨念派) KAMO
こんなことを続けて企業の社会的な使命は果たせるのか、エプソンに聞いてみたい気がします。