札幌ライブ室蘭旅行記


2002年6月27日朝、札幌へ飛びました。99年に札幌オフ会をやって以来、3年もメンバーに会っていないので気になっていたところ、「うちの店でライブやってもいいよ」と言ってくれた方があって、では、
『札幌ブルースライブ&オフ会』
をやろうか、という話になって急遽準備したのでした。

part1札幌ライブ
27日、10時20分にギターをかかえて駅に向かいました。
品川で京急羽田行きに乗り、空港へ着いたのは12時過ぎでした。品川で買った駅弁で昼食をすませ、1時15分の定刻にJAS便は札幌へ向かいます。
 
                左:雨の中の羽田      右:シートに縛り付けられたギター

この機の内装はわりあい新しいもののようで、液晶ディスプレイが付いています。内側の席だったので外の景色は貝えないのですが、機体のカメラに進行方向画面や地上図が映るので圧迫感がありません。

 液晶に映る前方映像

飛行時間は1時間30分、午後の札幌に着きました。東京に比べて、はるかに空気がおいしい。大量のオゾンを感じます。
荷物がなければ歩くのですが、ギターを背負っているので地下鉄でススキノに向かいます。地上に出てみると、陽光がはじけるようです。陽射しは暑いのですが、空気が乾燥しているので日陰は涼しく、快適に感じます。

 ススキノ中央部

ひとまずホテルへ歩きました。路面電車の線路沿いに200mほど行くとススキノグリーンホテル2です。チェックインすると、最上階(9階)のキーをもらいました。奥のエレベータで登って部屋に入ると、四畳半をタテにのばしたくらいのせまさでしたが、展望はなかなかです。

  
          左:ホテル         右:窓からの眺め

風呂が洋式ではなく、日本式の床にお湯が流せるタイプなのが気に入りました。ひとまず荷物を整理して、今日のライブ会場の「ナイトフライ」に電話します。しかし誰も出ません。
(ここまでザウルスで作成)

それから30分おきに電話しましたが、やっぱり誰も出てきませんでした。私は空腹になったのでギターとマイクなど小道具をかかえて、夕食に出ました。
月寒通りの、すすきの駅に着く手前の左側にラーメン屋があったのでそこで初めての札幌ラーメンを食べました。固めの麺、ドロドロの油っこいスープ、癖があります。でも味は悪くなく値段も600円とリーズナブルで、まあまあと思いました。具が冷たくスープが生ぬるかったのが難点でした。油の生臭みが残ってしまうのですね。

それから、「ナイトフライ」を探します。番地で「このへんかな?」と考えた地域をしらみつぶしに探すのですが見つかりません。だいたい、番地など書いていないのでよく分からないのです。そうしているうちに時間は7時近くになってしまい、焦り出しました。こういう時に、携帯を持っていないのはなかなか不便だと感じます。
何度目かの公衆電話の呼び出しで、やっと返事が返ってきました。「迎えに来る」というので、交差点近くに立っていると、長髪で髭を生やした小柄な(しかし横に大きな)若い男性が近づいてきて「かもさんですか」と聞かれました。「ひがしさん?」と聞き返して、やっと一安心です。「麻原ショウコウに似ている」という前評判よりは優しい感じの青年でした。
「ナイトフライ」は、なんとススキノのど真ん中のビルの地下にあったのでした。

 
         左:AORナイトフライ          右:ヒガシさんのシルエット(本物はお店へどうぞ)

AORナイトフライ」は想像していたよりもひと回り大きいスペースでした。壁が鏡になっているので、実際よりも広く見えるということもあります。縦横は四畳半くらいのサイズですが、壁面が大きく出っ張ってL字空間しか残っていません。その壁は黒く塗られ、アダルトな空間を演出しています。CDやLPレコードが両隅に積み上げられているので、自由になる空間が限られている感じです。

挨拶もそこそこに、ギターやマイクを出してセッティングに入ります。マイクスタンドはストレートタイプ、アタッチメントは付いていません。私のマイクの付属アタッチメントを出しますが、うまく合いません。これはあとでテープで縛る事にします。アンプは電池式のやつです。ACアダプターは付いていませんでした。とにかくギターを繋いで音を調節します。そしてウォーキングベースを鳴らしている時にしる猫☆ミさんと美穂さんが入ってきました。早速で悪いのですが、アンプ用の電池(単T)六本と、ガムテープを買ってきてもらうことにしました。

 美穂さんとしる猫☆ミさん

ある程度音を調整して電池を交換し、マイクをガムテで縛り、ギターとマイクの音量を調節します。小さなアンプですが入力端子が二つ付いていて、なかなか迫力のある音が出ています。街頭ライブ用に欲しくなりました。(9800円で売っていたと思う)

それから20分ほどリハーサルします。フラットピックを使う、サムピックを使う、の2パターンをやり、ほぼ全曲を試しました。他の三人はもう飲み始めていて、私も声を出して喉が乾いたのでビールを頼みました。しばらく椅子に座って四人で話しました。主にひがし店長が話題をリードします。それも移転のいきさつや「いかに金がないか」という話で、貧乏自慢のようにも聞こえます。笑いつつもちょっとほろ苦いのでした。

他にも客が来る予定はあったようですが誰も来ず、7時半になったので演奏を始めます。L字のコーナーで椅子に座りながらの演奏です。知り合いなので余計なMCは入れずに(照れくさいので)淡々と曲をこなします。
Early Morning Blues」で始まり、「ICan't be Satisfy」で締めました。30分もかからなかったようです。
アンコールで「ランブリン・オン・マイ・マインド」をやりましたが、気が抜けていたので「スィートホーム・シカゴ」とごっちゃになってしまいました。(笑)

 ガムテでしばったマイク

全体の調子は今ひとつだったと思います。でも、さすがにみんな友達なので「よかったよ」と言ってくれました。演奏終了が8時頃で、しる猫☆ミさんと美穂さんはそれから20分ほどで帰りました。ちょっと心残りですがお互いの都合もあるので仕方ありません。私はそれから12時までひがし店長につきあいました。

すぐ常連客のSさんが来ました。音楽の話で盛り上がります。この人にも弾き語りを二曲聞いてもらいました。Sさんが帰ると、かなり遅い時間なのに若い女性客が来ました。「携帯のメールアドレスはNIGHTFLYです」というMさんでした。この人にはちゃんとギターをアンプに繋いで二曲聞いてもらいました。気持ちが楽になっていたので演奏も発声もうまく決まり、今日一番の出来になりました。(笑)
とりあえず今日のライブのお客は5人ということになりました。
Mさんが帰り、日付が変わる直前に私はナイトフライを後にしました。ギターをホテルに置き、寝酒を買いに出ます。コンビニにあった麦焼酎の四合瓶を上着のポケットに忍ばせ、部屋に戻って飲みますが、まったく眠れません。ボクシングなど見ていたら夜が明けてしまいました。
結局、5時から7時の2時間足らずをウトウトしただけでした。


part2室蘭訪問記
6月28日(金)朝になりました。ほとんど眠れなかったものの、朝のニュースを見たり、顔を洗ったり髭をそったりしているうちに目が覚めてきました。
お昼までに室蘭に着くためには、もう出発しないと」と思い、8時前にホテルを出ました。ギターとリュックは重いので置いていきます。

月寒通り(南四条通り)を札幌駅前通りまで歩き、さらに駅まで歩きました。途中で朝食にしようと思いましたが、時間がもったいないのでマクドナルドのモーニングマフィンですませました。あんなものは犬の餌ですが、食べないよりはいいでしょう。(笑)
8時半くらいになったので、もう起きているかと室蘭に電話しようとしました。しかし、ザウルスを起動してみると電話番号が載っていません。確かに出掛けに入れたはずなのに?……と思いますが、どこにも見当たらないのが現実です。やむなく、こっちは載っていた美穂さんの家に電話して、番号を聞きました。ついでだからと美穂さんに室蘭への電話を頼み、私は駅へ向かいました。我ながらズボラです。この時、ちゃんと電話していれば待ち合わせの時間を節約出来たのでした。

札幌駅の地下にあるバスセンターで室蘭行きの往復切符を買います。バスの時刻を聞くと、「さっき8:45の道南バスがでたばっかりで、次は中央バスの9:30」だと言われました。がっかりしてしまいます。
45分の待ち時間、半分はザウルスでテキストを作り、半分はゲームやって遊びました。ザウルスの手書き文字認識はかなり高度ですが、それでもキーボードのようには行きません。絶対的なスピードが半分以下という感じで、長文入力は諦めました。

 室蘭行きのバス

やがてバスが来たので乗り込みます。座席は飛行機並みで、音楽放送もやっています。私は行きの飛行機と同じに「最新国産ポップス」を聞きます。けっこう面白かったです。特にゆずの「恋の歌謡日」という歌が笑えました。

バスはひたすら高速道路を走ります。周囲はどこまでも続く森で、あらためて北海道の広さを感じます。途中、千歳を過ぎ苫小牧を過ぎ、登別で高速を降りました。登別温泉を経由してからは一般道を走ります。もう太平洋が左手に見えています。
乗客はほとんどが東室蘭で降りてしまいます。私も「たしかしる猫屋敷″を地図で見たときは東室蘭だったような?」と思いますが、室蘭港を見てみたかったので先に進みます。港側に、新日鉄のサイロや煙突が並んでいます。沢山の鉄工所(の廃墟)があります。そして「室蘭駅前」とアナウンスされた場所に降りますが、目の前は長崎屋でした。反対側に空き地のように見える空間が駅構内で、倉庫のように見えるのが駅だったようです。
時間は12時少し前。2時間半で着いたことになり、けっこう早かったと思いました。長崎屋の店頭にあった電話でしる猫☆ミさんに電話します。話を聞くとやっぱり東室蘭で降りるのが正解で、迎えの車が到着するのに30分以上待ってしまいました。

しる猫☆ミさんの車は黒のキューブで、ドレスアップしています。本人も黒で決めています。しかし、どちらも愛嬌のあるスタイルなので凄みがありません。(本人が気に入っているのだから周りがとやかく言う筋合いのものではありませんが・・・

 マッチョな顔のキューブ

観光する、食事にする?」と聞かれましたが、時間が12時半だったので「腹はへってるけど、今は混んでる時間だから」と応えます。「ぢゃあ、観光地に行くね」と素直なしる猫☆ミさんです。
キューブの助手席に座って、シートベルトを締めます。しかし、私はいつも運転席なので、うまく締められません。左のベルトを右に持ってきて刺す、という作業には違和感がありました。しる猫☆ミさんにそう言うと、「そういうもんだよ」と笑われました。
無理やりにベルトを締め、車は南の山側に登ります。けっこう険しい山道で、車は苦しそうです。キューブの重量にオートマは厳しいのでしょう。(重いのが二人乗ってるからだという話もあるけど)
右手にちらちらと海が見えます。しかしかなりガスが出ていて、青い海面というわけにはいかないようです。ガスは左側(東)から出ていて、そちら側はもっと真っ白で何も見えないようです。やがて駐車場に着きました。「地球岬」という所です。晴れていれば地球の丸さが分かると言う場所なのです。
「ありゃあ……」
しる猫☆ミさんが悲鳴をあげました。周囲は海から湧き出すガスで真っ白です。地球の視界は限りなくゼロなのでした。
唯一の観光地なのに、これぢゃあなあ……」としる猫☆ミさん。

 地球岬の展望

とりあえず展望台に登りますが、西側にかすかな青みが映っているだけです。デジカメで一枚撮って、アリバイだけ作りました。それから、駐車場の売店で「つぶ貝」の焼き物を買って頬ばりました。
「そのへんの食堂でラーメンでもいいけど、白鳥橋の方に屋台村があって、そこならもっと
いい店があるよ。土産物も売ってるし」としる猫☆ミさん。
「ではそこに行こう」と私。

キューブは再び西へ向かい、室蘭駅を通り過ぎ、室蘭港を縦断する『白鳥大橋』に向かいました。橋が見え、その手前に「道の駅みたら室蘭」があったのでそこに駐車しました。その向かい側が室蘭水族館で、しる猫☆ミさんは子どもの時によく来たそうです。

 白鳥大橋

ちょっと「道の駅」に入ってみます。がらんとしていて、活気がありません。そして、その先に観光用の「屋台村」があったはずですが……
「ずいぶんさびれたなあ……」としる猫☆ミさん。
屋台といってもプレハブなのですが、こちらもあまり活気がありません。焼き鳥、ラーメン、焼き鳥、ラーメンという感じで、土産物屋もありません。
一番奥に大きな「バーベキュー・ハウス」がありました。「食べ放題980円」の文字が魅力的です。しかし書き入れ時の午後1時に一人の客も見えません。大丈夫かどうか(笑)、しばらく悩みましたが、これもいい経験だと思って入ることにしました。
調理場の暖簾を開いて声をかけます。「営業してますか?」夫婦らしい二人が「ハイ」と返事。「バーベキューお願いします」「ハイ」
注文した後もやっぱり不安です。炭火の火鉢と鉄板が運ばれてきます。凍ったままのラム肉がどさっと置かれました。野菜の一つもつかないようです。仕方がないので、片端から焼いていきます。生ビールも頼み、焼けたそばからどんどん味噌ダレで食べていきます。

 どんどん食べる

臭みもなく、柔らかい肉でけっこううまかったです。しかし、ひたすら肉だけというのはやっぱり飽きてしまいました。私たちは、二人分の一皿を食べ終わったところでおしまいにして、店を出ました。

しる猫☆ミさんは「お土産に焼き鳥を買ってあげる、ホテルで酒のつまみにするといいよ」と言います。そして焼き鳥屋に入ります。メニューは「鳥串」に「豚串」となっています。私は、「ふつう、焼き鳥と焼きトンだよ?!」と言うと、「ほんと?」とビックリされました。

 豚串を焼くおかみさん

豚串が焼きあがるまで時間があったので、しる猫☆ミさんは灰皿を求めて店内に入りました。そしておかみさんやオヤジさんと話しています。やがて豚串を受け取り、私にくれました。そして
「あのバーベキュー店、二度つぶれたんだって」
と、焼き鳥屋で聞いた話をそう教えてくれました。不況の町では飲食店の経営も大変なようです。キューブは白鳥大橋を通ってしる猫☆ミ屋敷に向かいました。途中、酒屋に寄って、最近出た私の好きな発泡酒サッポロ「樽生仕立」を買いました。

ビールを買ってしる猫☆ミ屋敷にやって来ました。かなり高台のほうで、景色はいいのですが歩いて町まで行くのはしんどそうです。家は二階建て。玄関前に花壇があるのですが、ミントの林になっています。
裏は畑。一階にリビングや台所、両親の部屋などがあって、二階の二部屋をぶちぬいてしる猫☆ミさんの部屋になっています。かなり広いですが、二台のセパレート・ステレオなど物があふれているので広く感じません。
部屋の真ん中に机があって、パソコンが載っています。バイオPCVシリーズのミニタワーですが、機種はなんだかよく分かりません。でも派手です。5インチベイの大きさの液晶が付いていて、べかべか光っています。ただし、デスクトップには何もありません。タスクバーすら置いてありません。3D画像の壁紙があるだけです。

 ヴァイオの怪しい画面

ごちゃごちゃ置くのは好きぢゃないから」としる猫☆ミさん。部屋にはごちゃごちゃ置いていても、デスクトップはすっきりなんですね。(笑)

二台ある換気扇の一台を回し、二人でビールを飲みながらしる猫☆ミさんはバカバカタバコを吸います。そしてとりとめのない話を続けました。やっぱりパソコンの話が多かったです。
3Dレンダリング用の専用機が欲しいなあ
「音声とかいらないから、メモリーとビデオRAMだけ奮発して、シンプルなマシンを作りたいなあ」しる猫☆ミさんはそう言って遠くを見つめました。
「128メガのビデオボードあるよね、高いよ〜、CPUより高いよ!」
私がそう応えました。CPUにも色々あるんですが、アスロンの1,8ギガくらいなら1万円台ですからね。

それからまた色んな話をしました。でも覚えていません。途中で私は眠くなってきました。夕べ二時間足らずしか眠っていないので、ビールがもろに効いてきたのです。しかし眠ってしまうことはありません。ごろんと横になって、漫然としる猫☆ミさんの話を聞きながら、夢うつつで相槌を打っていました。
それからしる猫☆ミさんの持ってきたボトル入りの水をがぶがぶ飲みました。しる猫☆ミさんも飲んで、酔いを覚まします。日が傾いたところで東室蘭の駅まで送ってもらいました。

東室蘭駅の「サッポロ行き」バス停は駅構舎内にあります。冬の寒いときなんかは助かりそうです。すでに数人の男女が並んで待っています。やがて来たバスは背の高い、スキー用のバスみたいでした。乗り込んで出発します。室蘭の夕日はもう噴火湾の向こうに沈んでいました。
長いような、短いような一日だったなあ)と考えていると、停まるバス停ごとに次々と若者たちが乗ってきます。一つのグループなどは山登りの帰りらしく、バスのボディトランクを開けて大きなリュックを積み込み始めました。それやこれやでバスは大幅に遅れて札幌へ向かいました。札幌に近づくと、今度は道が混雑し始め、なかなか先に進みません。結局、帰りは3時間以上かかってしまい、駅についたときには9時を過ぎていました。

腹ぺこだったので、ススキノへ下る途中の中華料理屋でラーメンとギョーザを食べました。ここのラーメンはしょっぱかったです。しかしギョーザは大きかったので全部食べると食いすぎかな、と思って「ナイトフライ」へのお土産にしました。
ナイトフライへ入ったのは10時ころ。ヒガシさんは、
今日は客もこないし、かもさんも来ないし、まいっちゃったよー」とこぼします。
私がお土産のギョーザと焼き鳥を出すと、喜んで食べてくれました。「客の差し入れが主食」と言った言葉は嘘ではなかったようです。
ギョーザについては、「この店はいつも混んでて入れないんですよ」
焼き鳥(豚串)については、「室蘭は焼き鳥で町おこしを考えているみたいですよ」
だそうでした。ついでに「ギョーザは宇都宮って言いますけど、根拠ないんでしょ?」と聞きます。私は、「それは宇都宮連隊が満州に派兵されて・・・」という一下りを講釈しました。

11時過ぎ、お客が来ました。ヒガシさんの先輩という人で女性を連れています。なんだかギクシャクしたアベックで、こちらから話し掛けてもあんまり乗ってきません。それでもヒガシさんは一生懸命サービス会話に勤めます。意外とサービス業があっているのかなあ??
それでもアベックはウィスキー一杯だけで帰ります。ついでに私も帰って寝ることにします。
今日は眠れるだろうなあ・・・
と思ってホテルのベッドに潜り込んだのですが、これまた朝になるまで眠れませんでした。つくづく不眠体質ですね。(T_T)・・・

part3札幌場外市場への道
6月29日になりました。やっぱり午前5時になっても眠れず、6時頃にやっとうとうとしました。でも、この日は予定がないので、チェックアウトの10時までのんびりしていられます。3時間ほど眠って、シャワーを浴びました。
10時ぎりぎりにチェックアウト。しかし飛行機は最終便の10時30分です。まだ丸12時間もあります。ゆるゆる散歩がてら、お土産を買いに場外市場へ行くことにします。お目当ては花咲蟹コマイです。その前に喫茶店のモーニングセットで腹ごしらえしました。けっこうぶ厚いトーストとゆで卵で、優れもののモーニングでした。市電すすきの駅の近くにある、年増のお姉さん一人でやっている店です。

散歩によく、しかも最短距離ということで北大経由で歩くことにしました。地下鉄で札幌駅まで行き、荷物をロッカーに預けます。南北線札幌駅の大型ロッカーにリュックとギターを放り込み、カメラだけを持って出発します。
札幌駅南口前から、まず京王プラザホテルを目指します。ホテルの向かいのホワイトビルに、札幌でただ一つ生き残っているパソコンショップ、「DOS-Vパラダイス」があるのです。
店の前にくると、まだ開店前のような雰囲気です。しかし狭い店内にはもう濃いい感じの客たちが数人いました。
ざっと店内を回ります。品揃えはまあまあです。値段もそれほど秋葉原と違いはないようでした。しる猫☆ミさんの希望しているシステムを考えて、品物を見てみます。

 札幌ドスパラ

アスロン用のマザーボード、アスロンXP1800、ビデオボード・・・SYSの128メガメモリーを積んだボードが7000円台でありました。性能は今ひとつだと思いますが、この値段は嬉しいです。レンダリングだけなら、これで充分かも・・・

狭い店なのであまり長居も出来ず、ドスパラを出て北に向かいます。
JRのガードをくぐり、信号を渡り、狭い塀の横をくぐりぬけると、北大生協の前に出ました。ちょっと覗いて「レンタサイクルありませんか?」と尋ねますが、ないという答えでした。しかたなく、また歩きます。

 北大構内の「有事法制反対」のタテカン

クラーク会館の前を通って、クラーク胸像の前に来ます。観光客が写真を撮っています。私は誰も撮るべき人がいないので、それらの人々を撮影しました。胸像の後ろは芝生の空間になっていて、緑が爽やかでした。草の上に寝転がって、木漏れ日を楽しみました。昼寝できないかなあ、と思って目をつぶってみるのですがやっぱり駄目でした。

 
           左:クラーク胸像     右:その後ろの広場

そうしているうちに11時を回りました。急ぐ旅ではないものの、昼飯前に一仕事済ませたいので先に進むことにします。
旧校舎を右手に見ながら農学部校舎を迂回し、農機実験室の前を過ぎます。そこに細い陸橋がかかっていますが、これは突き当たりになるようです。しかたなく陸橋の下にもぐりますが、もう正規の道ではなく踏み分け道のようです。陸橋の下には大きな鳥小屋がいくつかあって、その一番奥の小屋の中には蝦夷リスがいました。

 蝦夷リスのカゴ

そして小屋の向こうには塀があり、道はそこで行き止まりになっています。私はやむを得ず、塀を乗り越えました。幸いにも材木が置いてあるので簡単に越えられました。しかし這い登る時に左手首をすりむいてしまいました。

塀の向こう側は定山渓国道に続く大きな道です。押しボタン式の信号を渡って、次に市立病院の構内を抜けます。駐車場を横断し、タクシー乗り場の方へ出ました。すると桑園(そうえん)駅が見えました。真っ黒で大きなビルです。JR北海道の施設になっているようでした。

 
                左:札幌市立病院      右:桑園駅

桑園駅の手前のガードを潜り、南側に出て線路にそった道を進みます。陽射しが厳しく、帽子のひさしを深く下ろして歩きます。途中に「鉄道会館」があって、「生ビール一杯目250円」の文字が見えました。これは見逃せません。昼食はここに決めました。

 無視できない表示

ここは「国労北海道」の宣伝カーが停めてあるくらいで、もしかすると国労会館だったのかもしれません。
どの道で曲がるか悩んでいて、少し歩きすぎたらしく、地図と合わない景色になりました。道路工事中の現場で、警備員のおじさんに「場外市場はどっちですか」と聞くと、ていねいに教えてくれました。やはり曲がるのが一本遅かったようです。

 
              左:漁連新鮮市場         右:その内側
市場に近づくと、まず「ぎょれん新鮮市場」がありました。ちょっと入ってみます。品揃えは豊富でしたが、値段が定価どおりという感じです。ここでの買い物はやめました。

 
           左:カンカイ(丸干しコマイ)      右:正統派の一夜干コマイ
 (注)丸干しのコマイを「カンカイ」と言い、ヒラキのコマイを「ヒラキコマイ」と言います

そこから百メートルくらいで場外市場に着きました。

 場外市場

とりあえず、端から入ってみます。カニとコマイの値段を調べますが、品物がそれぞれ違い、量と値段がまちまちなので、どれが安いのか簡単には計算できません。「なに探してんの」「兄さん、まけちゃうよ」と老若男女から声をかけられます。いちいち応えていられませんが、それでも時々は「コマイだけど、ムシリコマイってのがあって・・・」と聞いてみます。どこでも「それはないなあ」との返事で、やはりムシリコマイは謎の食べ物でした。
 注:ムシリコマイとは、ヒラキコマイの皮をむいて小さく切ったようなもの
一周して比較的お買い得な品物は見当がつきました。歩きつかれたので休業中の郵便局のソファでサイダーを飲みつつ休みます。

休憩の後、ヒラキコマイを仕入れ、花咲蟹を前回(99年)と同じ共栄水産で仕入れました。(今もそのヒラキコマイを食べています。もう半分になったから大事にしないと・・・)
カニのほうは、「ケガニ付けて、送料混みで5000円でいけない?」などと無理な注文をつけていました。でも、結局「ゼニにはかえられねえ」というわけで、手荷物にしました。これで帰りは両手に荷物です。あーあ・・・
前回の旅行記を見ると、かなりの大物を1500円でゲットしています。今回は倍額でした。でも、世紀も変わったし仕方ないでしょう。<メモリ量不足なやつ

カニを背負ってしまった私は、もうカニ同然に横ばいして歩くしかありません。桑園駅方面へ歩き、「札幌鉄道会館」(の中の『邦交(なこう)会館』)でランチにします。
ここのウェイトレスさんは美人でグラマーでした。アルバイトだと思いますが、もったいないくらいです。それはともかく、ランチの「鳥からの南蛮漬け定食」と生ビールを頼みました。ビールはすぐ出てきて、待たされると思っていた食事もあっという間に出てきました。・・・それもそのはず・・・みんな冷たいのです。

 
             左:邦交(なこう)会館          右:その内部

メインの「鳥からの南蛮漬け弁当」は鳥カラに甘酸っぱいとろみをからめたもので、作り置いたものです。付け合せも「ハムとザーサイのサラダ」みたいなもので、冷蔵庫に貯めておいたものでしょう。暖かいのは味噌汁だけです。でも、腹が減っているとそれでも満足してしまうのが怖いですね。(笑)

 手前の弁当とお土産の箱

生ビールこみ千円足らずで勘定が済んで、なんだかホッとしたようなガッカリしたような妙な感じです。あんまり人にはすすめられないかも・・・(苦笑)。
歩いて札幌まで戻るのはかったるいので、桑園駅から電車で帰りました。

札幌に戻ったところでまだ3時前です。時間がありすぎ。
バス停のあるエスタそごうのロッカーに蟹の箱を入れ、駅前観光に歩きました。エスタの二階は電気店になっていて、パソコンのコーナーもあります。意外にモバイル製品が豊富なのにびっくりしました。バイザー(アメリカ製の電子手帳)が1万2千円で売っています。思わず欲しくなりました。しかし札幌でバイザーを買うのもなあ……(笑)

それから通りを挟んだ向かいの西武へ入りました。こちらは何もありません。とっとと出て、ホクレンの方に歩くとマンガ喫茶がありました。そこに入って1時間『寄生獣』の後半を読みました。それでやっと5時です。まだ早いけど千歳空港に行くことにします。
二つのロッカーから荷物を出し、バスセンターで「次の空港行きは?」と聞きます。すると、「空港行きは5時までしかないよ」と言われました。ありゃりゃ……
こういう時間感覚も北海道ならではです。
仕方なく駅に歩き、切符を買います。ベンチで荷物を整理し、不要なものは捨てました。荷物が重いと旅は苦しいだけです。
空港行き快速は1時間で私を新千歳空港へ運びました。まだ早いけどチェックインします。すると、「訓練生」のバッヂを付けたまだ少女っぽい職員が、
二便早い飛行機がご利用出来ます」と言ってくれました。そばかす顔が天使に見えました。
最終便より2時間も早い、20時30分発JAS118便で私はかろうじて6月29日の日付が変わらないうちに帰宅出来ました。

空港の手荷物検査で、女性職員が
ハサミやナイフなどお持ちになっていませんか?」と聞くので、私は花咲蟹の箱を見せ、「こいつは蟹だからハサミは持ってるけどね」と言いました。すると女性職員はケラケラと笑ったのでした。(おしまい)

 お土産の花咲蟹を食べる宴会の図
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