モバイルギター第3号(ミニ)
     
2014/5/23
 
   
         
 

アンプ内蔵の手作りギター2本を製作(またそれぞれを改造)して、ある程度のノウハウは獲得しました。(と思う・・・)
そこでよりカスタマイズ度の高いミニギターを制作することにしました。

 
         
 
  メモ帳にラフなスケッチをします。
短いネックにしてスピーカはボディに直停め、アンプは裏側に取り付けます。
ペグはスピーカの裏側に付けることにして段差を設けます。ナットやブリッジは手作り。そんなアイデアを書き留めました。私の場合、これ以上の精密な設計図を作っても無駄なので書きません。あとは現場で実物を見ながらその都度考えます。
ネックの反りを防止するためにネックの裏に鉄芯を入れることも考えていましたが、これは杉材が硬いので必要なさそうです。
 
         
 

ネットで980円(送料込み)のペグセットが買えたので制作スタートです。

いつもの本棚用セーファ材の残り物に鉛筆でボディのラインとスピーカ用・ペグ用の穴の位置を描きます。

 
 
         
 
  ボディを切りだし、ドリルで穴を開けます。ペグ用の6個の穴はドリルだけでOKですが、スピーカ用はそうはいきません。円状に開けた穴を糸鋸で切っていきます。
糸鋸は今回百均で新規購入した細いやつで、切りやすいのですがストッパが付いていないのですぐ外れてしまいます。コツをつかむまでが大変でした。
 
         
 

ネックは改造二号のボディに使った杉材の残りから切り出します。

縦に切るのはなかなか大変で、折から陽射しがきつくなってきて、麦わら帽子をかぶりながらの作業。何度も休みながら切りました。

 
 
         
 
  切り出したネックをカンナで削ります。厳密に細いネックにしてしまうと強度が落ちてしまいます。適度に周囲を削って丸味を付けるだけにします。
塗装に関しても軽くニスを塗るつもりでしたが、ニスが切れていたのでやめました。それよりも指板をどうするか、フレットをどうするかを考えなければなりません。
 
         
  とりあえずボディとネックは揃いました。
これにナット・ブリッジ・ペグなどのパーツを取り付けることになります。
いつもならここまで来ればもう安心、なのですが今回はまだそんなのんきなことは言っていられません。初めてのことが多いのです。
 
 
         
 
  そうは言いつつ、穴を開けたボディにパーツを置いてみると仕上がりが想像できる形になります。「なかなかいいなあ」「すげー小さいなあ」とニヤニヤしてしまいます。スピーカはアイワのラジカセから取ったもので、ステー部分が金属製です。強度があるので直付けでもOKなのです。
これからは時間をかけた勝負です。焦らずに少しずつ進むしかありません。
 
         
  スピーカがすっきり収まるようにボディの穴を整形します。次にペグが回しやすいように取り付け位置に段差を付けます。特にスピーカと重なる3弦・4弦のペグの位置は低くしました。
ピックアップの位置は高くなりそうなのでかなり掘りました。ほとんどは彫刻刀での仕事です。これだけ削るのに半日かかりました。
 
 
         
 
 

ここで一旦ボディとネックを繋ぎます。取り付け用の穴を開けるためです。
まっすぐに取り付けるためには計測が必要です。大雑把な私でもさすがに慎重になりました。両方に中央線を引いて合わせ、ガムテープで仮止めし、四つの穴を開けます。

 
         
  木ネジでネックとボディを繋ぎます。
38ミリ木ネジがぴったりで、うまく繋げたようです。ちゃんと中心線が出ていることを確認し、再び取り外します。
 
 
         
 
  ボディとブリッジ用の木材(サドル)を塗装しました。
いつもはスプレーですが今回は手塗り。四時間で乾くと書いてあるのに8時間たってもなんだかベタベタしています。百均のペンキだからしょうがないですね。
 
         
 

ペンキはベタベタだけど無視してペグ・スピーカ・ピックアップをねじ止めしました。なかなか綺麗に収まりました。ボディ部分はあとはサドルが残っているだけです。

しかしこの翌日から佐賀帰省でネック作りは帰宅してからになりました。

 
 
         
 
 

この前週、柏の山野楽器でナットとサドルを購入しました。
ネットで売ってるのはともに2000円くらいのものばかりでしたが、これは両方とも150円。いつもとは逆のケースでした。

しかしこの後、両方とも合わないという事が判明。手作りすることになって無駄に終わりました。

 
         
  いよいよネック作りにかかります。
これ以前に20本セットで二千円という金属フレットを見つけていて心が動いたのですが、取り付けに専用ノコギリ(高い)が必要だというので断念しました。
とりあえずフレット位置にノコギリで刻み目を付けます。
 
 
         
 
  ナットを付けるための溝を掘ります。高さがあるので深くなりました。これ以上は削れないのでナットの方を削りますがこれが硬い・・・棒ヤスリで一時間くらいこすっても一ミリも削れませんでした。
結局、長さも合わない(短身ネック用ではないので小さい)ので既製品のナットは諦めることにします。掘りすぎた溝は木材屑を詰めて埋めました。
 
         
  サドル部分も苦戦します。既成サドルが細いので細い溝を掘るのですが、それ用の彫刻刀がないのでうまく行きません。
5ミリ幅くらいの溝を掘って、クサビで固定することにします。でも、いざ弦を張るとサドルが傾いてしまい、役に立たないことが判明。この既成サドルも諦めました。
 
 
         
 
  ナットは竹箸を切って作りました。
昔、中古のエレキギターのナットが割れていたので竹箸で代用品を作り、それがけっこう使えたという経験から、竹くらいの強度があれば使えることを知っていました。
ことのついでにフレットには竹串(竹ひご)を使うことにしました。
 
         
 

ネックの刻み目に幅2ミリ・深さ1ミリの溝を掘り、竹串を削ってフレットにして接着します。一本一本気を付けて掘り、竹を挟みますが、もともとがいい加減な目分量で付けた刻み目なので平行ではありません。それでも16本埋めました。

 
 
         
 
 

それから3時間、ボンドが乾くのを待って仕上げです。竹串の両端を削ったり、はみ出した部分を削ります。深く掘りすぎた溝を埋めたところが逆に高くなりすぎたり、浮き上がったりしていてこれを調整するのが大変です。

こうしてみると計測が適当なので音痴なギターになりそうです。

 
         
  ネックが一応出来上がったのでボディとくっつけます。
本当はフレットの高さ調整などしなければならないのですが、ノウハウがないので直接弦をいじってやることにします。それにはとにかくサドルを載せて弦を張らなければなりません。
 
 
         
 
 

サドルを載せてみます。

ねじ止めするか考えたのですが、この部分は大幅な調整が必要な場合がありそうなので簡単にボンドで接着するだけにしました。
見た感じでは高さや位置に不具合がありそうな印象があります。

 
         
  テール部分にアルミ缶を切った板を張り付けます。
これは弦を張った時に木材部分に弦が食い込むことを防ぐためです。でもアルミの強度が足らず、結局あまり役に立ちませんでした。これも一旦完成後に調整することにします。
 
 
         
 
  まず3弦を付けて全体のバランスを見ます。なんとかいけそうなので他の弦も追加します。するとサドルが傾いて、なんだか怪しくなりました。
特に1弦が下がりすぎてフレットやスピーカに接触してしまいます。これでは楽器になりません。再度全部の弦を緩め、既成サドルを取り外し、ナットと同じく竹箸を削った代用サドルを取り付けて解決しました。
 
         
  一応本体部分が出来たのでアンプを取り付けます。
デジタルアンプはVOX AC30(ヘッドフォンアンプ)、アナログアンプは百均の 『ボリュームアンプ』 これは100円とは思えない優れもの。だいたいの位置決めしてラインの配置を考えます。二つのアンプともに電池式なのでバッテリケースが開けられないと困ります。
 
 
         
 
  2本のケーブルを繋ぎます。。
1本はスピーカからのケーブルで、差し込みプラグに繋ぎます。1本はピックアップからのケーブルで、これをVOX AC30に繋ぎます。
細かいハンダ付けなので台が必要ですが、適当なものがないので座椅子で代用します。今回の作業用にハンダ専用ピンセット(押さえると離れ、離すと挟む:これも百均)を導入したので作業はスムーズに進みました。
 
         
 

VOX AC30は前に1号機に取り付けた穴がある表板をネジ止め。ボリュームアンプは新たに表板に穴を開けてネジ止めします。
それから基盤・電池フォルダ・裏板の順にはめ込みます。
それから電池を入れてアンプ取り付け終了。

実はボリュームアンプは取り付け角度がうまくいかず、90度・180度と回転することになりました。正方形なので穴の位置がずれなくてよかった。

 
 
         
 
  アンプにケーブルを繋ぎます。
AC30の出力端子(イヤホンプラグ)へボリュームアンプの入力ケーブルを刺し、ボリュームアンプの出力端子へスピーカのプラグを刺し込みます。
とりあえず音出し・・・ハウリング。ひどい音です。
1号機と同じくヒスノイズが出まくります。
 
         
 

その他にもさまざまな不具合があります。

チューニングが揃わない。ペグを巻いても音程が上がるのにタイムラグがあり過ぎる。これはサドルから二回も曲がっていて抵抗が大きいからでしょう。
また、フレットの高低があってあちこちで接触し、ガシャガシャと騒々しい音がします。そして特に高音部がキンキンとした金属音になるようです。

 
 
         
 
 

ここで一応三号機のスペックを。

全長52センチ、全幅11センチ、重量860グラム。スピーカ出力は8ワットです。
リュックなら軽く入るサイズ。ショルダーバッグでも大きめの物なら入るでしょう。これで音さえちゃんと出れば理想的なモバイルギターになるはずです。

 
         
 

まずヒスノイズの低減のためにピックアップをアルミ箔で包みます。その他にも可能なところは絶縁シールドします。

それから 一音一音確かめながらフレット(竹串)を削ります。ビビり音がしたら、その次のフレットをカッターで削るのです。ほとんど全部の音域でその作業が必要です。いやんなります。指先がささくれだってしまいました。

 
 
         
 
 

テール部分への弦の食い込みを防止するために、百均からミニサイズの蝶番を買ってきました。(理想は滑車なのですが、そんなに都合よく6セット揃ったミニ滑車はありません)5つのうち4つをテールにネジ止めしました。

この蝶番は折りたたんだ角に適度な丸みがあり、鉄製なので食い込まず、ペグの反応も格段によくなりました。

 
         
 

「あきらめない」毎日の努力のおかげで3号機はだんだんまともな音が出るようになりました。しかしまだまだです。
これからもフレットを削り、シールドを張り、アンプを調整して「正しいモバイルギター」に育てたいと思います。

 
         
 
もどる/トップに戻る