モバイルギター四号機(これが最終版?)
     
2014/07/31
 
         
  アンプ内蔵の手作りギターを作り続けて四本目。一号はただ音が出るだけというお粗末なものでした。二号はライブでも使えるもっとパワーのあるものを、という事で作成。さらにそれをを改造して出力15ワットの本格的モバイルギターにバージョンアップしました。しかしパワーの代わりに重さと大きさが予想外になり、モバイルギターという原点から離れてしまいました。
二号の失点を取り返そうとして作った三号ミニはペグ固定部分のヘッドをカットしてペグを裏側に回し、ネックも短くしたので確かに小さくなりました。しかし今度は構造的に欠陥が多く音的に使えないものになりました。三号で得たノウハウを使って、今度こそ実用的なモバイルギターにしよう、という決意で四号機作成に取り組みました。
 
         
 
 

6月9日、ケイヨーD2へ車のバッテリを買いに行くついでに16号のディスカウントショップに寄った。そこで見つけたミニアンプMAVIS GA-1を購入。500円だった。元が2000円くらいの安いアンプだからこのくらいでも不思議ではない。

うちに帰って弾いてみる。・・・しょぼい。バッテリがへばっている分を差し引いても微妙な音量だった。ま、500円だし。潜在的なパワーはマーシャルミニアンプよりもあるかもしれない。

 
         
  買ったばかりのミニアンプを解体する。いいんだよ、どうせ五百円だから。
で、ガッチリした筐体だからいい音になってるが、アンプとスピーカーだけにしてしまうとダメかもしれないなあ、と期待しないで裸で音出ししてみたらそれなりにいい音だった。
よし、4号機に搭載するアンプはこれにしよう!・・・ってなった。
アンプ部分の解体とギター本体への接合とか、いくつかハードルはあるけどなんとかなるだろう、と経験的に判断して見切り発車する。
 
 
         
 
 

6月20日、再度16号のリサイクルショップに出かけ、三本目のクラプトンモデル「ブラッキー」ストラトを購入。1980円。パーツ取り用だからこれで充分。

でも最初の軽量化作戦用が7000円、二番目のモバイル2号用が5000円と安くなってついにこの値段・・・いくらなんでも安いと思うが、2、3千円のギターがずらっと並んでいるのだからびっくり。そういう時代なのだと言うしかない。

 
         
 

ストラトを解体した。作業しているうちにこいつがどうして安いのかわかってきた。あちこち錆ついていて弦が抜けない。仕方なく背面を開けてテンショナーを外し、ブリッジを解体して抜いた。

ボディとネックの接合部分に隙間がある。各パーツの組立もずさんだ。ピックアップは斜めに歪んでいる。ネックのスターマークはペラペラのシールでしかも直線に並んでいない。これでは元の値段も5000円くらいなのではないか?

 
 
         
 
 

当面使うのはネックとブリッジだけだ。ネックはさらにペグを外す。

ペグはフルメタルタイプで重い。ガッチリしているように見えるが回してみると精度に難があるように感じた。まあ、このくらいは仕方がない。

 
         
 

ネックからさらにヘッドを切断。もう後戻りできない。

ペグを後方に付けるためだが、これがうまく行くかはギャンブル。高さがあるのでそのまま付けたのではうまく弦を巻き取れない恐れがある。それで変則的なペグ取り付けを考えている。

 
 
         
 
 

6月22日、変則取り付けをあれこれ考える。三方向に巻き取り軸を差し込む方式を考えたが、さらに何度もカット方法を変更した。

穴開け部分・カット部分を鉛筆で描き込み、設計変更のたびにそれを書き直す。三度描いてやっと決定。

 
         
 

二号機の残りの板からボディを切り出す。少しサイズが足らない。でもこのくらいは大目に見る。

三号機から導入したカンナはここでも活躍した。角丸め、歪み調節、角度変更など役に立つ。

 
 
         
 
  ボディと表板に引いたラインにそってドリルで穴を開け、糸鋸で切っていく。今回も百円ショップで購入した細くて使いやすい鋸を使った。こういう作業は道具の良しあしが物をいう。  
         
 

表板に開けたドリルの穴に沿って糸鋸で切っていく。スピーカ部分の丸い穴とピックアップ部分の細長い穴。これで何回目になるんだろう?

 
 
         
 
  材料の切り出しを終えた。ボディ、表板のほかに側板二個、ブリッジを載せる板が必要だ。  
         
 

ボディと天板にあけた穴を、鋸と彫刻刀と棒ヤスリで削って整形。とりあえず形は出来た。

ペグを付けてみる。2本が横、4本が縦という変形ペグ。縦ペグは外れにくいように傾けている。細かい傷は多いが計算通りに出来たらしい。こちらは裏から見たところ。

 
 
         
 
  こちらは表側。こうしてみると横に差し込んだペグが不思議な形になる。1弦・6弦を巻くペグだが、ブリッジからの距離が近いため、この形にしないと巻き取れないのだ。  
         
 

6月23日、先月乗った水陸両用バス「スカイダック」に続き、今日はオープントップの鳩バスに乗る予定。

出かける前にモバイルギターのボディを塗装した。本体をつるし、天板・ブリッジ板と側板を濡れ縁に並べる。手塗りで5分とかからない作業。3号機ミニと同じ赤じゃ面白くない?でも勿体ないし・・・

 
 
         
 
  塗装したボディとネックを繋いでみる。適当に計測してねじ止めしたらかなり傾いた。再度穴を開け直してやっと直列になった。  
         
 

ボディにペグを取り付けたところ。(表)

狭い部分にバランス良く、しかも相互に干渉しないように考えたもの。3号機作成で得たノウハウが生かされている。

 
 
         
 
 

ペグ取り付け部分(裏)。

縦に付けたペグは外側に傾けてある。ペグ穴を開ける時にボディを傾けて角度を付けた。最初逆方向に開けようとして直前に気が付いた。

 
         
 

ボディに側板・ブリッジ板・表板を組み込んでみる。

これでボディ部分は完成。メカ部分よりボディが先に出来上がったのは初めて。

 
 
         
 
 

メカ部分といっても本体は出来あいのものなので周囲を切り取る作業があるだけだった。とはいえ、ピックアップを直接基盤につなぐ作業は難しい。

最初は常識的に左写真のように繋いだが音が出なかった。

 
         
 
このアンプ基盤は構造としてマーシャルの基盤回路に似ているので、もしかすると似たような場所に繋ぐのかもしれない、と思って過去の写真を参考にして繋いでみた。すると見事に音が出た。(右)
 
 
         
 
 

微調整しつつボディにメカを詰め込む。

難しいところはないがやはり全体的に少しずれている。だましだまし各パーツを狭い場所に押し込んでいく。

 
         
 

アンプ基盤を側板上部にネジ止めして組み込み終了。

スピーカの磁石部分とバッテリーの穴にはストラトの背面カバーを付ける予定。

 
 
         
 
  スピーカホールにマーシャルのネットを付けて見栄えをよくする。ここまで来たらもう完成したも同然。あとはブリッジを載せて弦を張るだけだ。・・・しかしその前にいやな作業が待っている。  
         
 

このままでは弦高が高すぎるのでブリッジが乗る部分を削る。

彫刻刀で表板を削り取る。なかなかうんざりする作業だ。でもこれが最後だから辛抱して黙々と彫刻刀をふるう。

 
 
         
 
 

裏面のアンプの基盤がむき出しなのはまずいのでカバーを考える。最初は板でつくる予定だったが、それだと重量やデザイン的にヘビーになるので、代用案として百円ショップの書類ケースを使ってみた。

案外具合がいい。空間が出来たのでここを物入れに使えそう。

 
         
 

モバイルエレキギター四号機が完成。

重さは1.5キロでちょっと重い。でも二号機ほどではない。音はかなりいい。長さは首がない分短く感じる。ペグの具合もまあまあ。自分としてはこれが自作モバイルギターの一つの完成形だと思う。

 
 
         
 
 

三号ミニ(下)と並べてみる。

兄弟だからよく似ている。しかし三号は実用にならない技術的見本かつ美術工芸品という立ち位置になる。できれば実用化したいが高くつきそうで二の足を踏んでいる。

 
         
 

自作モバイルギター四台。

左から4号、3号ミニ、2号、1号。(右は比較のための生ギター)

1号で我慢すればいいのに欲張った2号がヘビーに、さらに欲張ったミニはカッコだけ。4号でようやく落ち着きそう。(でももう5号のアイデア考えてる)

 
 
         
 
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