カイ・ニールセン
Kay Nielsen
(1886 - 1957)

デュラック、ラッカムが正統派の王者だとすると、カイ・ニールセンは異端派のエースといえるかもしれない。その産み出す映像は北欧的な幻想に満ち、異国的でしかも端正である。当然ながらファンも多い。若い女性の人気は断トツなのではなかろうか。残した絵本はたった6冊だが、それだけで光り輝く名前を絵本の歴史に刻んでいる。
デンマークの主都コペンハーゲンに生まれた。父は有名な俳優で、ニールセンにも生涯舞台と演劇がつきまとっている。教育はパリのジュリアン王立美大で受けた。1911年から5年間ロンドンに住み、レスター・ギャラリーに出展した。
この間に「おしろいとペティコート」「太陽の東・月の西」の2冊を出版しこれが大評判となり、絵本作家としての名声を得た。
1917年にはアメリカに渡り絵画展に出品したがこちらは大した評判にはならなかった。翌年にはコペンハーゲンに帰り、王立劇場の舞台装置作りを担当した。1922年再びアメリカに渡り国籍を取得、カリフォルニアに住んでハリウッドで俳優・デザイナーとして活動した。この間にも「アンデルセン童話集」(1924)「グリム童話集」(1925)「赤い魔法」(1930)の3冊を出版している。晩年は不遇で、貧窮の中に死んだといわれる。(ニールセンの足跡はウィリー・ポガニーによく似ているが、結末が違っている)
ニールセンは私が独立の絵画も含めてすべての作品を見たいと思う一人だ。

P.C.アスビョルンセン&J.I.モー「太陽の東月の西」挿絵(1914)

キラー・コーチ編著
「おしろいとペチコーート」
挿絵
(1913)

「おしろいとペチコート」口絵(1913)

「アンデルセン童話集」挿絵(1924)

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