ギュスターブ・モロー展(2005/9/23)
   
 
     
  朝から出かける予定が、かみさんの都合で午後に。
2時に出発、東急ブンカムラにはPM3時、それから2時間くらい館内をぐるぐる回ったので、ブンカムラを出たのは5時に近かったのです。
それで秋葉原はちょこっと寄っただけになりました。

モロー展ですが、まあまあだったようです。
目玉は「ユニコーン」(チラシの画像)だけですが、膨大なデッサンの一部とか、パリに行かないと見られない、感じられないモロー美術館の雰囲気を味わえたので満足というところです。100年目のモロー美術館が大幅な改修作業をやるので、その間に日本へ
貸し出された作品たちなのですね。

高いカタログも買いました。作品は知っていても、モロー本人のことはまったく分かりません。社交的でも開放的でもない、世捨て人みたいな人だったようです。
それでも親密につきあっていた女性もいたんですね。
そうした本人のプロフィルが分かるので、ファンとしては嬉しいところです。

     
  ▼エウロペ
わりと小さめの油絵。牛ののど袋が長すぎると批判されたそうです。でもこれが神話に忠実なんだそう。神話の中ではさらわれるエウロペは恐れおののいているはずですが、これはまんざらでもなさそうな表情なのはどうしてでしょう?
そもそも、ゼウスがさらうエウロペは「ローマが侵略するヨーロッパ」の象徴のはずです。こんな題材を好んで描く画家たちって、自虐的?
     
 
▼死せる詩人とケンタウロス
モローらしい豪華絢爛な水彩。なんとなく、モロー自身の同性愛趣味を感じさせます。「スフィンクスとオイディプス」や「ヒュドラとヘラクレス」を見ると、モローの描く女性よりも男性の方がよりエロティックに感じます。
     
  ▼ヒュドラとヘラクレス
写真ではわかりませんが実物はかなり大きく、ヒュドラが細密にリアルに描かれていてぞっとします。ヒュドラの頭がそれぞれ違う種類の蛇で、ぎらぎらと光る生々しさで描かれています。周囲で死んでいる男たちも不必要に全裸で、なにかエクスタシーを感じながら眠っているようです。
垂直に屹立する蛇が男性のシンボルならば、全裸のヘラクレスが伸ばしている手の形を考えても、これはオナニーを表しているのでしょう。あるいは性欲でもない、思春期の暴力的なペニスの支配力を象徴しているのかも。……ちなみにペニスを立てているヘラクレスのデッサンもあります。
     
 
▼出現
わりと小さめの油絵。モローはこの画題をいくつもいくつも描いています。サロメのデッサンなども数え切れないくらい描いているようです。
上のヘラクレスと共通する構図ですが、ヒュドラがペニスなら、ヨハネの首も同じでしょう。サロメはペニスを切断する女性として存在するわけです。この「男の子の男性性を失わせる女性」サロメは、つまりはモローが生涯縛られた母親を象徴しているのでしょう。
     
  ▼旅する詩人
モロー晩年の作品。デッサンの段階ではごつい男性だった作品だが、この油絵では女性のような顔になっている。ペガサスは「乗せてやる」と言っているのに、詩人は迷っている。あるいは「男になれ」と言っている馬に、「なりたいけど、なれないんだ」と優柔不断ぶりを見せているところかもしれません。
     
 
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