質問42 「ギャロップ」Pf連弾曲集『やわらかな雨』より)の演奏法

 男の子同士で連弾するといつも元気良くガンガン弾いてしまいますが「やわらかな雨」の中の曲としてこのままでいいんでしょうか。ギャロップって何という意味なんでしょうか。先生がどんなイメ−ジで作曲されたのか知りたいです。

 りんりん

解答 

 「ギャロップ(gallop)」は特殊な意味で使っているのではなく、辞書などに載っている通りの意味「馬のはやがけ」とか「馬を速く走らせること」から取っています。軽快にスピード感をもって駆け抜けるイメージの曲です。曲集タイトルはたしかに「やわらかな雨」ですが、別にそのイメージで全曲統一している訳ではなくて、10曲中で一番印象的なタイトルを曲集タイトルに使っただけです。ですから「ギャロップ」では元気に弾いていただいて構いません。

 ただ、最初から最後までひとつの曲調、音色で弾いてはどんな曲も単調になってしまいます。イメージだけに頼って弾くのでなく、楽譜をしっかり読むことがまず大切です。楽譜のどこにスラーが入っていて、どこからpになって、どこに複縦線が入っていて、ffは何カ所どこにあるか、それをチェックするだけでも全体の構成が見えてきます。

 まず複縦線が入っているのは16、32、48、64小節です。それだけで曲の構成がだいたい掴めますね。1から16小節までがA、17から32小節までがB、33から48小節までがA、49〜64小節がC、65から最後までがA+コーダとなります。どの曲もこんなにわかりやすい構造をしているわけではありませんが、譜面を読めばわかる事は日頃から見落とさないように気をつけましょう。

 曲の変化をどう付けるかも楽譜をよく見ればわかります。まず強弱の変化をみると、AからBへはデクレッシェンドしておだやかにmpへ移行するのに対して、AからCへの転換は、4手ともフォルテのアクセントでリズムを強調した(47〜48小節)後、Cから急にpになります。

 メロディも、ABでは第一ピアノが両手でオクターブで奏しますが、Cはメロディが単音やオクターブでなく三度の和音で現れます。最初8小節間(49〜56小節一拍めD音まで)はIの右手だけでメロディを弾いた(IIの右手がIのメロディの3度下をたえず弾いていることに注意。このときの音量バランスはIのメロディよりほんの少し抑えめに、でもひとつの和音に聴こえるよう一体感を持って弾くことが大切)あと、第二ピアノの右手にメロディが移り(56小節2拍めC音〜63小節一拍め裏C音まで。三度の和音の連続は難しいので、ばらけないように要練習)、63小節二拍めから再びIがオクターブでメロディを弾く形にもどります。

 つまりこの曲ではAとCの対比をはっきりさせることが大切なわけです(AとBの対比も当然必要ではありますが)。構成はA-B-A-C-Aという、典型的なロンド形式ですが、(A-B-A)+C+(A+コーダ)と考えるとメリハリがついてまとまりやすくなります。Cが始まる時に対比感を出すのはもちろんですが、Aに戻るときも、主題がもどってきたことが聴き手にはっきりわかるよう意識して弾きましょう。

2003.12.14