Q. 「あけぼの」に関してアドバイスを。

 島崎藤村作詩の「あけぼの」を練習していますが、聞いたことも、歌ったこともないような和音が次々と現れて戸惑っています。詩集に載っていた詩の解説を皆で読みましたが、自分達の心にスーっと入るような現代語ではなく、音程の難しさに苦しみ、毎年、我が合唱団の売りであった言葉の表現もまだ納得しきれぬ状態です。木下さんは、どのような解釈で曲を付けられたのですか?また、曲の前半と最後にあるha〜の部分が、入るのに恐れてしまうのですが良い方法はありますか?そのほかにもぜひ、アドバイスをお願いします。(C・O)

A. 「あけぼの」の詩はたしかに文語体なので最初に拒絶反応が出てしまったんでしょうが、内容はもう書いてあるまんま、明け方の情景をうたった感覚的な美しい詩です。「解釈する」必要なんてありません。日が徐々にのぼってくるに従って、色や光のグラデーションがつきますね。自然(池か湖のほとりなら尚good)の中で、日の出をずっと眺めたことありますか。うっとりするほど美しいですよ。この詩の感覚が肌でわかるはずです。
ピッチははっきり言ってむずかしいです。
これはもう慣れていただくしかありません。ご参考までに収録CDを上げておきます。

fontec「邪宗門秘曲」FOCD3483

上のCDに収録されている「島崎藤村の詩による二つの女声合唱曲」の第一曲が「あけぼの」です。(あまり題が長いので出版時に「春二題」と改題しました。)ハーモニーを決めたいときは、パート練習だけでは決して上達しません。パート練習のあと必ず全員で聴きあうこと。それも一曲全部通して歌っては意味がありません。なるべくポイントを絞って、一カ所を何度も何度も聞き合いながら響きを作っていく作業が必要です。一曲の中で1〜2箇所でもぴしっと決まるコードがあれば曲の安定がとてもよくなります。耳のいい人がいつもチェックするといいでししょう。ただし調性感の至って希薄な曲なので、音取りは12平均率できっちりとることをお勧めします。

 最初の出だしが恐る恐るになるのはピッチが不安だから。最初と最後は特にひとつずつ縦にハーモニーを聴きあう練習をしてみてください。

2004.11.17