6 ショッピング

 洋服を買う時は、友人に付き合って貰って、一日かけて探し回ることが多い。最初から予定表に書きいれておいて、作曲の締め切りに少々遅れそうな状態でも出掛けてしまう。仕事をおいても行くほど好きと思われそうだが、実はその逆だ。買い物上手な友人にエスコートしてもらい、丸一日かけて無理矢理何枚か洋服を買うことを義務付けない限り、まずひとりで買いに出掛けることをしない人間なのだ。 

 洋服を買うためには試着が不可欠だが、私はあれがとても苦手だ。モデルという職業にあこがれる人が多いが、気が知れませんね。一日に何度も、着替えて、ヘア・メイクしてポーズをとって微笑むことを繰り返すというのは、ものすごい重労働だと思う。私の場合1回試着するだけでぐったり疲れてしまう。2〜3回試着すると、著しく体力を消耗して思考力が低下するため、それが似合うかどうかもわからなくなる。そういうとき客観的判断を下してくれる人がそばにいないと、店員に押し切られて、似合わない服を買わされる羽目になる。必ずなる。案外気の弱い私はひとりで洋服を買うのがとてもこわい。だからシーズンごとにショッピングの日を決めて、友人の助言のもと、気合いを入れて洋服を選ぶのだ。

 それにしても、日本の服飾業界というのは、どうしてあんなにポリシーなく、流行丸出しになるんですかね。すごく全体主義的。今なんかデパート全館何十店ものブテイックのほとんどで、似たような貧相なシルエット、安っぽい材質、けばけばしい色の服ばかりが並んでいる。なにしろそれが今の流行だから。あんまり気に入らなくても、よっぽど意志が強くない限り、その流行ものの中から購入するしかないのだ。腹が立ちますね。しかもターゲットはいまだに20代限定。それをちょっとはずれると、とんでもない花柄のいわゆる「おばさんワンピース」的テイストになってしまう。こんなに働く女性が増え、大人がお洒落になっているというのに、服飾業界って市場調査ちゃんとやってるのだろうか。
買い物のたびにプンプン怒る私である。

2000.8.1