5 第六感 

 すこし前の映画だが「シックス・センス」を見た。(DVDでは最新作!)
第六感が利きすぎて死者が見えてしまう少年の苦悩と、彼を救おうとする小児精神科医の話なのだが、後半ちょっと中だるむなあとか、話題作にしては案外地味な映画だなあとか思いながら見ていたら、最後の落ちにはびっくり。山岸涼子さんの漫画か、コルタサルの小説のようで、鳥肌が立ってしまった。まだ見ていない人のために詳しくは触れられないのがつらいが。

 私も派手に車の事故を起こした後、何度かこの主人公と同じような奇妙な心配に捕らわれたことがある。衝突して車が全壊したというのに、自分自身は無傷なんて少し妙だなと思いつつ、そのまま長々生きてそこそこ成功して、死ぬときにふと気づいたら例の事故現場、20〜30年生きたと思ったのは、実は事故死する前の一瞬の幻想だった、なんてことになるのではないか・・。正直いうと今でも少し心配なのだが、幻想小説の読み過ぎだろうか。

 それはともかく、もともと霊感など全くなかった私が、事故にあってすこし勘が鋭くなったのはたしかだ。たとえばその後ペットが2匹死んだが、実家で飼っていた犬が死んだときは、何十キロも離れた場所にいたにもかかわらず、息を引き取った瞬間はっきりわかったし、自宅で飼っていたハムスターが死んだ時は、朝4時に(寝たばかりだったのに)きっぱり目が覚めて、いまから彼が死ぬから看取ってやらなければ、と思ったのだった。
 今のところ、幸いなことにまだ霊とか死人は見えないが、私はひとりでスリラーを見ることもできない臆病者なので、これ以上勘が鋭くなるのは遠慮したい。

2000.7.20