1 作曲家のシュールな日常

 このところいつもぼんやりしている。朝なのか夜なのか、起きているのか寝ているのか、面白いんだかつまらないんだか、よくわからない毎日である。
 どうも、体内時計がこわれてしまったようだ。

 私は、自慢じゃないが朝が苦手で、仕事はどうしても深夜にずれ込む。作曲だけしている分には問題ないのだが、審査員や、講習会の講師を務めることも多く、その場合は、朝7〜8時には、家を出発しなくてはならない。いつもは午前5時就寝の人間が、朝7〜8時に気持ちよく出発するにはどうするか。それはもう寝ないで出かけるしかない。
 徹夜明けは意外にナチュラル・ハイだから、熱いシャワーをあびて、コーヒーをのんで、ついでに、栄養ドリンクを飲んで出かければなんとか一日持ってしまう。そうして仕事を終えて帰宅するやいなやベッドへ直行。翌朝は、めずらしく早朝に目覚めてはりきるのだが、午後の睡魔に耐えきれず、ついついお昼寝をして気づいたら夜、あっという間に夜型に逆もどりである。こういったことを何度も繰り返していると、これはもう、日本に居ながら、万年時差ぼけ状態だ。そうしてある日体内時計がポンと音をたてて、それきり、動かなくなってしまうんですね。あとはもう、朝なのか夜なのか、起きているのか寝ているのかわからない日々を漂って行くばかり。

 最近私は、山手線の内回りと外回りを乗り間違えてしばらく気づかなかったり、電車を乗り換えようとして、人混みのプラットホームをぐるぐる歩いた挙げ句、一度降りた電車にまた乗ってしまったりして、大変危ない状態だ。こういうとき、ホームページまで始めてしまって、ほんとうに大丈夫だろうか。

2000.5.29