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このOWLのモデル理論セマンティクスは、RDFセマンティクス[RDF Semantics]で定義されているセマンティクスの拡張で、RDFのOWLセマンティック拡張を定義します。
注:この項で定義されているOWL DLのセマンティクスと、3項で定義されている直接モデル理論セマンティクスの間には強い対応性があります(5.4項の定理1および定理2を参照)。しかし、これらの2つの形式の間に矛盾が発じた場合は、直接モデル理論セマンティクスが優先します。
すべてのOWLの語彙は、「OWL宇宙(OWL universe)」上で定義され、RDF宇宙の一部を3つの部分(つまり、OWLの個体、クラス、プロパティー)に分割したものです。owl:Thingのクラス拡張は、OWL宇宙の個体を含みます。owl:Classのクラス拡張は、OWL宇宙のクラスを含みます。owl:ObjectProperty、owl:DatatypeProperty、owl:AnnotationProperty、およびowl:OntologyProperty のクラス拡張の和集合は、OWL宇宙のプロパティーを含みます。
OWLには2つの異なる形式の使い方があります。OWL Fullと呼ばれる、もっと自由な形式では、OWL宇宙の3つの部分は、それらのRDFの相当物(すなわち、rdfs:Resource、rdfs:Class、およびrdf:Propertyのクラス拡張)と同一視されます。OWL Fullでは、RDFと同様に、OWL宇宙の要素は、個体にもクラスにもなりえ、事実においては、個体、クラス、およびプロパティーにさえなりえます。ここでOWL DLと呼ぶ、より限定的な形式では、この3つの部分は、それらのRDFの相当物とは異なっており、さらに、対で互いに素です。より限定的なOWL DLの形式では、含意の決定可能性を得るために多少の表現力を犠牲にします。OWLのこの2つの形式は、DAML+OILモデル理論セマンティクスのRDFセマンティクスへの単純な翻訳に欠けている含意を提供します。
2つの形式の実際上の主な違いは、現実にURI参照がOWL宇宙の適切な部分になっていることを保証するために必要なケアにあります。OWL Fullでは、ケアは必要ありません。OWL DLでは、ローカライズの情報は、使用されるURI参照の多くに提供されなければなりません。OWL Fullでは、これらのローカライズの仮定はすべて自明的に真であり、OWL抽象構文を使用する場合には無視することもでき、これはOWL DLと緊密な対応関係にあります。しかし、トリプルでOWL DLを書く場合は、語彙のどの要素がOWL宇宙のどの部分に属しているかに細心の注意を払われなければなりません。
この項の全体にわたって、OWL語彙は、OWLで許されていない語彙に加え、組み込みクラス、組み込み注釈プロパティー、および組み込みオントロジー・プロパティーです。
OWL DLとOWL Fullのセマンティクスは、非常に類似しています。したがって、これらのセマンティックスの共通部分を最初に紹介し、違いについては後で紹介します。
RDFセマンティクス[RDF Semantics]から、RDFとRDFSの語彙およびデータ型マップDを含んでいるURI参照とリテラルの集合Vに対し、VのD解釈は、I = < RI, PI, EXTI, SI, LI, LVI >のタプルです。RIは、議論領域あるいは宇宙、つまり、URI参照およびVにおけるリテラルの外延を含んでいる非空の集合です。 PIは、RI(Iのプロパティー)のサブセットです。EXTIは、プロパティーに意味を与えるために使用され、PIからP(RI × RI)へのマッピングです。SIは、VにおけるURI参照から、RIにおけるそれらの外延へのマッピングです。LIは、Vにおける型付きリテラルから、RIにおけるそれらの外延へのマッピングです。LVIは、Dに少なくともUnicode文字列集合、Unicode文字列と言語タグの対の集合、およびDにおける各データ型の値空間を含んでいる、RIのサブセットです。クラスCIの集合は、CI = { x ∈RI | <x,SI(rdfs:Class)> ∈ EXTI(SI(rdf:type)) }と定義され、CIからP(RI)へのCEXTIのマッピングは、CEXTI(c) = { x∈RI | <x,c>∈EXTI(SI(rdf:type)) }と定義されます。 RDFセマンティクスで詳述されているように、D解釈は、他のいくつかの条件を満たさなければなりません。例えば、EXTI(SI(rdfs:subClassOf))は、推移的な関係でなければならず、すべてのデータ型のクラス拡張はLVIのサブクラスでなければなりません。
定義:Dをrdf:XMLLiteral、xsd:integer、およびxsd:stringに対するデータ型を含むデータ型マップとします。VがRDFとRDFSの語彙およびOWL語彙を含んでいる場合、語彙VのOWL解釈、I = < RI, PI, EXTI, SI, LI, LVI >は、この項のすべての制約を満たすVのD解釈です。
注:抽象構文において記述を構築するOWL語彙の要素は、(他の)セマンティックの関係に相当するOWL語彙の要素とは異なる処理を与えられます。前者はonly-ifセマンティック条件および内包原理(comprehension principles)を持ち、後者はif-and-only-ifセマンティック条件を持っています。前者のonly-ifセマンティック条件は、セマンティックの逆説およびセマンティクスに関する他の問題を防ぐために必要です。前者の内包原理、および後者のif-and-only-ifセマンティック条件は、有用な含意が有効であるために必要です。
OWL宇宙および構文カテゴリーの部分に関する条件
OWL組み込み構文クラスおよびプロパティー
I(owl:FunctionalProperty)、I(owl:InverseFunctionalProperty)、I(owl:SymmetricProperty)、I(owl:TransitiveProperty)、I(owl:DeprecatedClass)、およびI(owl:DeprecatedProperty) は、CIにあります。
I(owl:equivalentClass)、I(owl:disjointWith)、I(owl:equivalentProperty)、 I(owl:inverseOf)、I(owl:sameAs)、I(owl:differentFrom), I(owl:complementOf)、I(owl:unionOf), I(owl:intersectionOf)、I(owl:oneOf), I(owl:allValuesFrom)、I(owl:onProperty), I(owl:someValuesFrom)、I(owl:hasValue), I(owl:minCardinality)、I(owl:maxCardinality)、I(owl:cardinality)、およびI(owl:distinctMembers)は、すべてPIにあります。
I(owl:versionInfo)、I(rdfs:label)、I(rdfs:comment)、I(rdfs:seeAlso)、およびI(rdfs:isDefinedBy)は、すべてIOAPにあります。I(owl:imports)、I(owl:priorVersion)、I(owl:backwardCompatibleWith)、およびI(owl:incompatibleWith)は、すべてIOXPにあります。
OWLクラス、データ型、およびプロパティーの特性
rdfs:subClassOf、rdfs:subPropertyOf、rdfs:domain、およびrdfs:rangeに対するIf-and-only-if条件
同等に関連するOWL語彙の特性
ブール組合せおよび集合に関連するOWL語彙の条件
以下のような、n=0 and l1=SI(rdf:nil) or n>0 and l1∈IL and ∃ l2, …, ln ∈ ILの場合に限り、l1がCの上のy1,…,ynの数列であると言えるでしょう。
<l1,y1>∈EXTI(SI(rdf:first)), y1∈C,
<l1,l2>∈EXTI(SI(rdf:rest)), …,
<ln,yn>∈EXTI(SI(rdf:first)), yn∈C, and
<ln,SI(rdf:nil)>∈EXTI(SI(rdf:rest))。
If E is | then <x,y>∈EXTI(SI(E)) iff |
---|---|
owl:complementOf | x,y∈ IOC and CEXTI(x)=IOT-CEXTI(y) |
owl:unionOf | x∈IOC and y is a sequence of y1,…yn over IOC and CEXTI(x) = CEXTI(y1)∪…∪CEXTI(yn) |
owl:intersectionOf | x∈IOC and y is a sequence of y1,…yn over IOC and CEXTI(x) = CEXTI(y1)∩…∩CEXTI(yn) |
owl:oneOf | x∈CI and y is a sequence of y1,…yn over IOT or over LVI and CEXTI(x) = {y1,..., yn} |
owl:oneOfのさらなる条件
If E is | and | then if <x,l>∈EXTI(SI(E)) then |
---|---|---|
owl:oneOf | l is a sequence of y1,…yn over LVI | x∈IDC |
owl:oneOf | l is a sequence of y1,…yn over IOT | x∈IOC |
OWL制限の条件
最初の2つの内包条件は、いくつかのOWLの構成子で使用される有限数列の存在を要求します。3番目の内包条件は、owl:AllDifferentのインスタンスの存在を要求します。残りの内包条件は、適切なOWL記述およびデータ値域の存在を要求します。
OWL Fullでは、OWL宇宙の一部がRDFの類似物と同じであることを強いるという条件が、共通の条件に加わります。これらの新しい条件は、共通の条件と強い相互作用があります。例えば、OWL Fullでは、IOTはすべてのRDF議論領域であるため、リストの2番目の内包条件は、リストのリストを含む、あらゆる種類のリストを生成します。
定義: 語彙VのOWL Full解釈は、以下の条件を満たすOWL解釈です(OWL解釈がデータ型マップと関連があることを思い出してください)。
IOT = RI |
IOOP = PI |
IOC = CI |
定義: KをRDFグラフのコレクションとします。x owl:imports u形式の任意のKの要素におけるすべてのトリプルである場合に限り、Kは閉じたインポートであり、このとき、Kは、uにおいてRDFグラフへのアクセスが可能なRDF/XMLドキュメント(もしあれば)のRDF解析の結果であるグラフを含んでいます。RDFグラフのコレクションのインポート閉包は、そのグラフを含んでいるRDFグラフの最小の閉じたインポートのコレクションです。
定義: KおよびQをRDFグラフのコレクションとし、Dをデータ型マップとします。このとき、KにおいてすべてのRDFグラフを満たす(RDFとRDFS語彙およびOWL語彙を含む任意の語彙Vの)Dに関するすべてのOWL Ful解釈が、QにおいてすべてのRDFグラフも満たす場合に限り、Dに関してKはQをOWL Full含意します。KにおいてすべてのRDFグラフを満たす、あるOWL Full解釈が存在する場合に限り、KはOWL Fullで整合性があります。
OWL DLでは、議論領域をいくつかの互いに素である部分へ分離して、5.2項の条件が加わります。この分離には、2つの結果があります。最初に、議論領域のOWL部分は、述語(クラスとプロパティー)および個体が互いに素である、標準の第1階述語論理になります。次に、OWL DL解釈のOWL部分は、特定の表現力のある記述論理に対する記述論理解釈として見ることができます。
定義: 語彙VのOWL DL解釈は、下記の条件(OWL解釈がデータ型マップに関連があることを思い出してください)を満たすOWL解釈です。
LVI、IOT、IOC、IDC、IOOP、IODP、IOAP、IOXP、IL、およびIXはすべて対で互いに素。 |
許されていない語彙(4.2項)のvに対し、SI(v) ∈ RI - (LVI∪IOT∪IOC∪IDC∪IOOP∪IODP∪IOAP∪IOXP∪IL∪IX)。 |
OWL DLの含意は、OWL Fullの含意と同様に定義されます。
定義: KおよびQをRDFグラフのコレクションとし、Dをデータ型マップとします。このとき、KにおいてすべてのRDFグラフを満たす(RDFとRDFS語彙およびOWL語彙を含む任意の語彙Vの)Dに関するすべてのOWL DL解釈が、QにおいてすべてのRDFグラフも満たす場合に限り、Dに関してKはQをOWL DL含意します。KにおいてすべてのRDFグラフを満たす、あるOWL DL解釈が存在する場合に限り、KはOWL DLで整合性があります。
直接モデル理論セマンティクスとOWL DLセマンティクスの間には、強い対応性があります(しかし、何らかの矛盾が生じた場合には、直接モデル理論セマンティクスが優先します—5項の冒頭の注を参照してください)。基本的に、抽象構文で書くことができるオントロジーは、それが別のものを直接セマンティクスで含意する場合に限り、別のものをOWL DL含意します。この基礎的な話には、例えば、概念、プロパティーおよび個体が干渉せず、インポートが同じように機能するように配置するための、語彙の分割に関連する多くの問題があります。
対応が有効であるためには、特定の名前を持つ抽象構文のオントロジーと、そのURIのウェブで入手可能なドキュメントとの間に何らかの関係がなければなりません。この関係は、ここのセマンティックスの範囲外であり、したがって、別途準備しなければなりません。ウェブの一時的で移動的な側面を無視しているため、この関係もウェブの理想にすぎません。
定義: Tを、抽象構文から4.1項のRDFグラフへのマッピングとします。Oを、抽象構文形式のOWL DLオントロジーのコレクションおよび公理と事実とします。Oの任意のオントロジーのインポート命令における、任意のURI、uに対し、uのウェブ上でアクセス可能なドキュメントのRDF解析がT(K)に帰着する場合に限り、Oは閉じたインポートと呼ばれ、ここでKは名前uを持つOにおけるオントロジーです。
定理1:OおよびO'を、その和集合が分離された語彙(4.2項)を持つような、閉じたインポートである抽象構文形式のOWL DLオントロジーのコレクションおよび公理と事実とします。xsd:stringおよびxsd:integerを適切なXMLスキーマ・データ型へマッピングし、rdf:XMLLiteralに対するRDFマッピングを含む、データ型マップDを与えられたとすれば、Oの翻訳(4.1項)がDに関してO'の翻訳をOWL DL含意する場合に限り、OはDに関してO'を含意します。
証明は、付録A.1に含まれています。
これの単純な結果としては、xsd:stringおよびxsd:integerを適切なXMLスキーマ・データ型へマッピングし、rdf:XMLLiteralに対するRDFマッピングを含む、データ型マップDを与えられたとすれば、Oの翻訳がDに関して整合性がある場合に限り、OはDに関して整合性があります。
OWL DL含意とOWL Full含意の間にも対応性があります。
定理2: OおよびO'を、その和集合が分離された語彙(4.2項)を持つような、閉じたインポートである抽象構文形式のOWL DLオントロジーのコレクションおよび公理と事実とします。xsd:stringおよびxsd:integerを適切なXMLスキーマ・データ型へマッピングし、rdf:XMLLiteralに対するRDFマッピングを含む、データ型マップDを与えられたとすれば、Oの翻訳がDに関してO'の翻訳をOWL DL含意する場合、Oの翻訳はDに関してO'の翻訳をOWL Full含意します。証明のスケッチは、付録A.2に含まれています。