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呪術師たちの末裔

 

ぽっかりと浮かぶ丸い月の下で、

ビルディングが光り輝く都市の幻影。

けれど、そのきらめく明かりの下で、

世界は今なおきしみ続けているし、

ひび割れた夢は大地に堆積し続けている。

 

そんな世界の底で、

ぼくはただの囚われ人でしかなく、

惨めな気持ちで生きている。

この遊星は青春のしなやかさを失い、

喧噪と憎悪とひずんだ感情が

電子空間の中で渦を巻いている。

 

でも、かつて呪術師たちは

夢の閉じ込められた世界の殻を打ち砕き、

世界の裏側にあるかもしれない

妖艶であり、狂気でもあるような錯乱の中から

真理へ通じる響きを紡ぎ出してきたのだ。

 

その呪術師たちの末裔たるぼくは、

だから、この世界の底に立って

光り輝くビルディングを見上げ、

新たな軋みと怒りが押し寄せ、

あらゆるものが砕けるこの遊星の浜辺で、

もう一度石を積み重ね、

もう一度石を打ち鳴らす。

 

踏みしだかれたぼくの夢と

創造の意味の反照しないのっぺらぼうの大地。

顔をこわばらせて空を見上げる石たちの声を

でもぼくは道端に置き去りにしている。

 

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向殿充浩 (こうでんみつひろ) / 第7詩集『架空世界の底で』