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夢のかけらを
夢のかけらを心のどこかに響かせながら、
ただ、黙々と道を歩いた。
そっけなく駆け抜けてゆく風の音、
月明かりの下で沈黙を守る黒い岩、
そして、もはや地上に降り立とうとしない天使たち。
そんな荒野で、けれどぼくは
星々から降ってくる真音の滴を受け止め、
この世界が存在するわけを問いかけた。
すると、不思議な韻律の勤行の声が
菩薩たちから発せられ、
世界を創造した神々の意思が、
この大地の上に照らし出されたように思えた。
でも、夢のかけらはぼくの心の中で
小さく響いているに過ぎない。
その響きはきっと宇宙の轟音の前に掻き消され、
そしてぼくは、
この世界の中での消え入らんばかりの小さな声を
ただ石たちに向かって発するだけなのだ。
存在にひびの入った世界の上で、
神々だけが静かな哄笑とともに
この世界を醒めた目で見つめている。
そして、世界の内から世界の外を見つめる求道者たちが
ただ、その真理を見抜いているのだ。
夢のかけらはただの瓦礫に過ぎない。
(2015.9.22 / 改訂2019.3.26)
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向殿充浩 / 第6詩集『石に刻まれた小さな夢』