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天の底で

 

天の底で

砂粒たちのかすかなつぶやき、

遠い星たちの消え入らんばかりの光。

 

ぼくの描いた線は

錯綜した時間の中に飲み込まれ、

乾いた土の上には

小さな風たちがうずくまっている。

 

何ものもみずから輝きはしない。

ただ、幻影として、

存在の表面に浮かび上がっているだけなのだ。

 

虫たちの鼓動が語りかける

ちっぽけな世界、

夢に見ることはできないけれど。

 

2012.7.2

 


 

[付記]

 この詩は、神話『ブルーポール』に使われています。第5巻で、主人公のナユタが地上を去るときに、友人のマティアスに手紙を残す場面です。


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向殿充浩 (こうでんみつひろ) / 第4詩集『土塊を蹴り』