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ダルマが涸れた日

 

それから無数の石が砕けた。

ちっぽけな遊星の表面で、

神ですら数えることができないほどの石が砕けた。

それからクリシュナの姿をした神がやって来て

ダルマが涸れ尽きたと言った。

 

夜の森では、ラクシャーサたちが

人間の肉をむさぼり食っているし、

赤茶けた大地の上では、

魑魅魍魎たちが飛び跳ねている。

 

ぼくは体の震えが止まらない。

けれど、神は独りぼっちで踊り続けているのだ。

 

だから、地に這いつくばって震えている小さな生き物たちよ、

白髪の導師の唱える経文の前で

ただただ土を掘り返すがいい。

そして、干からびたダルマが

空無の時間の中に融解するまで

ちっぽけな大地の上から空を見上げ続けるがいい。

 

神の踊りはまだ続いているのだ。

 

1995.2.7 / 最新改訂2016.6.6


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向殿充浩 (こうでんみつひろ) / 第4詩集『土塊を蹴り』