向殿充浩のホームページ


トップ  お知らせ・トピックス  自己紹介・経歴  作品  技術者として活動・経歴  写真集  お問い合わせ先  その他


 

ヒンドゥーの神々に

 

美しい足音を響かせて

神々が列をなして進む。

舞台の上では

今日もシヴァ神が創造と破壊とを踊っている。

 

けれどこの世界は、

四三億二千万年のマハーユガの終わりに一切が融没し、

絶対者へと帰滅する世界。

そして、その後に同じ長さのブラフマーの夜が続く世界。

そのブラフマーの百年の後に、ブラフマーの一生が終わり、

乳海にまどろむヴィシュヌの夢見る蓮華の花に、

次のブラフマーが現れる世界。

 

その世界で、

神々ですら、ただその役割を演じ、

数々の定めと呪いにまとわりつかれている世界で、

宇宙の暗闇にぽっかり浮かぶ遊星の上では

ゲームに酔った生き物たちの騒ぎが

熱く熟した時間の上に渦を巻いている。

 

神々が美しい足音を響かせて

列をなして進む。

神々が列をなして、

荘厳な寺院の中に吸い込まれてゆく。

ダルマに従うことを嘉する神々だけのわざが

風化した石と古文書に刻み込まれている。

 

ヤージニャヴァルキャよ、

聖典の言葉をもって、

宇宙の暗闇にぽっかりと浮かぶ小さな星の上に、

神々の夢見るような無関心さを

もう一度投影してみるがいい。

時間のただ中の今日という一点を

白日の下にさらすために。

そして、空虚を嘉する神々たちの声を

大気の中に融没させるために。

 

 

戻る

 


トップ  お知らせ・トピックス  自己紹介・経歴  作品  技術者として活動・経歴  写真集  お問い合わせ先  その他


 

Copyright © 2019-2024 Mitsuhiro Koden. All Rights Reserved. 無断転載を禁じます。

向殿充浩 (こうでんみつひろ) / 第7詩集『架空世界の底で』