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宇宙的な日に

 

恐ろしいまでに銀河的な世界、

蜃気楼の中で描かれた一枚のタブロー、

その常軌を逸した超世界で

預言者たちが繰り返し弔鐘を打ち鳴らしている。

 

狂気であり、崇高である

無意識が光であるような世界、

その世界の深淵に錨を降ろし

他界のかなたへと自己を溶解する

唯一者であり、破壊者であるひとりの神、

その神から溶け出てくる音の波紋を

あなたは孤独な行者のようにすりつぶす。

 

有限地平からの踏破を夢み、

宇宙の帰滅に参加した

時の征服者たるカーリーよ、

静止した瞬間を積み重ねた音楽を

葬送の原野で刈り取る

翼を失った霊鳥たちよ、

夢が食い荒らされるこの宇宙的な日に、

無量の光明を停止させる魔法陣を

嘲笑の渦巻くこの領土の上に、

赤い血とともに焼き付けるがいい。

 

閉ざされていた神話が天界から降り注ぐ日、

あなたは石によって預言し、

ぼくは銅鐸を打ち鳴らして鬼神たちと踊るだろう。

第三の目をもった神が欲望を解き放ち、

すべてが大地を駆け巡るカルキの足元に融没する

この宇宙的な日に。

 

1995.3.11

 

[付記]

 この作品は、神話『ブルーポールズ』(第4巻-C)に使われています。

 ブルーポールの発光を受けて、ユビュがルガルバンダとの戦いに立ち上がる決意をする際に詩を朗誦する場面です。


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向殿充浩 (こうでんみつひろ) / 第3詩集『求道者たちの祭儀』