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カシスで、石や魚たち・Ⅱ
風が消え、
魔法の文字に彩られた道が消え、
昨日の雨の中での夢が
静かな池の波紋に消えた。
白いキャンバスの上の
その小さな領土の上の
奔放な跳躍の中に
無数の瞑想が消えた。
神の領域に踏み込み、
果てしない韻律を繰り返す呪術師たち。
荒々しい神々の足音を耳にし、
絶望の淵で燐光を放つ透明な魚たち。
そして、宇宙と時間の魔法を
もう一度この小さな土の上に再現するぼくの試み。
けれど、宇宙の円環に沿って張り巡らされた吉兆を
もう一度キャンバスの上に描くのは誰なのか？
未知なるものへの密やかな夢を
もう一度無意識の原野へと解き放つのは誰なのか？
石を刻み込む試み、
石を積み重ねる試み、
たった一つの夢を石の上で砕く試み。
（ヴォルスに捧げる）
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向殿充浩 (こうでんみつひろ) / 第７詩集『架空世界の底で』