さまざまな生物の老化にも、フリーラジカルが大きく関わっていることが解明されて来ています。 従来、老化を説明する学説は大きく分けると@老化プログラム説とA分子傷害説があります。 @老化プログラム説 生物の老化は、あらかじめ遺伝子にプログラムされていて、その生物の老化を遅ら せることはできない。A分子傷害説
蓄積することにより、生体機能が徐々に低下する。 これまでは、別々のアプローチで老化の解明が行われてきましたが、上の2つは相反するもの ではなく、遺伝因子と環境因子との相互作用によって生じた結果が老化であると考えられる ようになってきました。この2つの因子に大きく影響を与えているのが、フリーラジカルである と言われています。 先回説明した、生体のスカベンジャー機能を超えて、フリーラジカルが生産されると、蛋白質、 脂質、核酸などを変性させます。その長期の傷害の蓄積が老化として現れることになります。 フリーラジカルが原因で老化が起こるとすれば、その消去物質により老化を防ぎ、生物の 寿命も延命することができると考えられますが、種々の動物に抗酸化作用をもつビタミンEや ビタミンCを投与することにより、延命することが実験的に確かめられるようになってきました。 また、人の場合でも年を取るにしたがい、活性酸素除去酵素であるSODの活性度が低くなり カタラーゼ、グルタチオンペルオキシダーゼの減少や、血中、大脳皮質、心筋等でビタミンCの 減少が確認されています。 今後、活性酸素による老化のメカニズムがさらに解明されると、私たちの寿命も飛躍的に 伸びる可能性があると考えられます。 |