シュウメイギクの花が次々に

 一昨年までは、通勤の道すがら、よそのお家の庭の白花のシュウメイギクが咲いて
いるのを眺めては眼を楽しませて戴き、是非とも家の植物の仲間に入れなくてはと思
い、2年前に一株を庭に植えたものが増えて咲き始めました。 秋のさきがけの花、
キクの名がついているもののアネモネやフクジュソウとおなじ仲間のキンポウゲ科の
植物、そのため花茎のつき方もキクとは違い、対生する葉の基部から花茎を数多く伸
ばしその頂点に一輪づつの花を咲かせます。

 中国が原産といわれていますが、学名ではアネモネ・ヤポニカと日本原産のように
なっていますし、またヨーロッパへと運ばれてかの地ではジャパニーズ・アネモネと
も呼ばれているようです。 シュウメイギクは秋明菊で、別名貴船菊とも呼ばれてい
ます。

 ものの本では、貴船菊は「昔、京の人が、9月重陽のときに、貴船の御輿を拝もう
と鞍馬の奥に入り、貴船神社の後ろでこれをみつけ、それから貴船菊と呼ばれるよう
になった」とあり、庭園の植物として愛好され、野外に逃げ出したともあります。 
しかし、越前地方ではエチゼンギク、加賀地方ではカガギクの名で呼ばれているとの
資料を見ると、日本の各地に自生したものとも思われます。 単弁の白のシュウメイ
ギクは姿も良く、秋のさきがけの花として素敵なものです。 白のシュウメイギクに
加えて、今年からは薄紅色系の種類も仲間に入ってきました。 キクとは違った味わ
いがあり、しっとりと落ち着いた風情が感じられます。

       菊のある時に咲けども貴船菊     一水

 毎年眼を楽しませていただいたよそのお庭のシュウメイギクは、今年の乾燥が原因
で白絹病が根を侵したのでしょうか、花の時期まえに病気になり、花茎を伸ばした蕾
が首を垂れたり、葉の方が虫に喰われたりで淋しくなったりで、哀れな姿を見せてい
ます。 多年性の植物だけに一度植えてあげるとほっておいても毎年のように花を咲
かせてくれるからとて、安心していると思わぬところで被害を受けてしまうものです。

                             うめだ よしはる

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