冬の情熱の花か、シモバシラの氷の花

 12月の朝の冷え込みは庭のシモバシラに氷の花を咲かせてくれます。 一昨年は
2株の枯れた茎に咲いた花ですが、昨年は4株に殖えて氷の花はそれぞれの形で茎を
囲んで咲いてくれました。

               シモバシラの花

 93年、シモバシラの氷の花が咲いたのは12月19日、94年は18日、昨年は
3日はほんのちょっぴりでしたが、本格的には6日で約10日以上も早い開花です。
シモバシラの氷の花が咲く朝は、庭一面が霜で白くなると共に、ヒマラヤユキノシタ
の大きな葉も表面を霜に覆われ垂れて下がります。 また、シャクナゲの葉は全部筒
状に丸まって寒さをじっとこらえているかのようです。

昨年(12月6日)の読売新聞の夕刊に、東京の郊外の高尾山に群生するシモバシ
ラの氷の花を追って8年、厳寒気の12月から1月にかけて、夜明けから早朝にかけ
て、冬の妖精ともいわれる氷の芸術をカメラに撮り続け「シモバシラ(幻想の美)」・
「高尾山氷花繚乱」の書名で写真詩集を自費出版された元中学の先生の記事が載って
いました。 想像しただけでも、素晴らしいものだろうと思います。

 ものの本では、この草の原産地は暖かい地域で北上するに従って越冬の方法の準備
が他の植物とちがって十分でなかったためか、葉が落ちても根からの水分の吸収が行
われていて、水分が冬の寒さで茎の中で凍り、茎を押し破り、なおも吸収され茎の裂
け目から溢れ出た水が氷結し、その連続的な現象が幻想的な霜柱に似た氷の花を作り
出すので、シモバシラの名があるとあります。

 秩父おろしの冷たい風が吹くこの辺では、秩父の夜祭りが終ると本格的な冬に入る
と言われています。 12月2、3日がその夜祭りですので、武蔵野の内陸にシモバ
シラの氷の花と共に本格的な冬が訪れて来ます。

                            うめだ よしはる

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    晩秋から冬の花へ