<ひまわり通信96> 薫風心地よいころ

5月も中旬となりました。
そして、昔は医師国家試験の合格発表は5月でしたので、医師となってからはや37年となりました。
精神科医に限らず、医師として日々診療に携わっていて、何が嬉しいのか?についてぽくぽくと考えてみました。
それは、一番には、患者さんが病気を乗り越えて、あるいは受容して、自分の「楽しい」を見つけてくれることだと思います。
そんな時は、まるで自分のことのように嬉しく感じることが多いものです。
絵が好き、と言っていた方が個展を開けるようになったり、
自分の仕事を頑張っていたり、
お料理に挑戦したり、
花の写真を撮ったり、
家の庭に花や野菜を植え、収穫があったと教えてくれたり、
恋をしたり、
結婚したり、
押し活をしたり。
たとえ病気とともに生きることだとしても、もっともっと自分の人生を大切にしてくれているのが嬉しい。
特に精神的な病気の症状として、自分のことを雑に扱ったり、自分を低く思ったり、あるいは死にたくなってしまったりすることがあります。
それらを何とか踏ん張って乗り越えられた後の心の豊かさは、その人自身にしかわからないのだと思うけど、
それでも、
より多くの人がその命の素晴らしさを感じられますように、と願ってやみません。
良くなられたあと、
「あの時死ななくてよかったです」とおっしゃった患者さんは今でも忘れられません。
どうか「楽しい」と思える瞬間を取り戻してもらいたいと切に思います。
なかなか一人では頑張れません。
必要ならば、薬さえも味方につけて、一緒に乗り越えていきませんか?
そして、次の外来の時に、ぜひ、嬉しかったこと、楽しかったことを教えてください。
「今の私(俺)いいじゃん」と胸を張り、教えてください。守秘義務はきっちり守りますのでなんでも話してもらって大丈夫です。
ところで、「二階から目薬」という本があります。
著者で医師の堀江重郎先生はこのように書かれています。
「医者の毎日に、病気やけがを治している時間というのはわずかしかない。大部分の時間は、次に会うまで達者でいてほしいと祈ることに費やされている。」
本当に祈るような毎日。
その本を読んだ私は、
「その通りです、先生!」とその部分にラインマーカーをべたべた塗りました。
そんな心配と喜びの積み重ねが、私を支えてくれているのだ、と薫風とともに考えていました。
悲しい出来事もあったけど、もう少し頑張ろうかな。
もうすぐ田植えの始まるたんぼのカエルもゲコゲコと応援してくれる気がしました。