東ティモールニュース

1999年3月後半


3月16日
Indonesian Observer, Jakarta
シャナナは釈放されない

 ムラディ法相は15日、シャナナは東ティモールの地位が最終的に確定されるまで釈放されないと述べた。
 またムラディ法相は、7月の選挙の投票ブースを東ティモールにも設置すべきかどうか、選挙委員会が検討しているところだと述べた。
 法相としては、「その地位はまだ27番目の州であるから、委員会がブースの設置を行うことを希望する」と述べている。

3月16日
Lusa, Jakarta
アナ・ゴメス、緊急援助を提案

 金曜日にマカオで会う大統領と外相に、アナ・ゴメスは食糧、医療、教育の分野での緊急援助を提案するつもりだ。

3月16日
Lusa, Dili
インドネシア派武装集団、修道会を包囲

 カリタスディリ事務所所長のフランシスコ・バレト氏は、紅白鉄隊がマウバラのカルメル修道会を15日(月)の夜包囲し、火曜日もそのままいすわっていると語った。彼らは、修道会の修道女たちが抵抗派を手助けしているとして彼らを殺すと脅している。
 バレト氏は、修道女たちは皮膚の色、イデオロギー、宗教に関係なく困っている人を助けるのだと説明している。

3月16日
Lusa, Jakarta
雇われた反シャナナデモ

 17日(水)にシャナナが軟禁されている民家の前でインドネシア支持のデモを行うため、200人以上の東ティモール人が50-100ユーロに相当する金を支払われた、とシャナナに近い筋が火曜日ルサに語った。その筋によれば、自治を支持する東ティモール人青年のデモが翌日に用意されており、それはインドネシアの諜報部が資金を出しているとのことだ。雇われたのは、1991-1995年の期間に政府の仕事契約がうまくいかず宙に浮いてしまったティモール人だということだ。[注:意味がわかりません。原文は、Demonstrators have been recruited from among East Timorese left hanging since government work contracts offered during the period 1991 to 1995 did not work out as promised, the source said.]

3月16日
Lusa, Jakarta
木材会社、ビケケでの操業を停止

 ボブ・ハサンが大半の株を所有しているフェンディ・フタニ・レスタリ社(PT Fendi Hutani Lestari)は、ビケケに4万ヘクタールの森林の伐採権をもつが、情勢が危険になってきたため操業を停止することになった。
 森林省の役人によれば、過去2、3ヶ月の間に2人の会社社員が殺され、他の社員も東ティモールでは仕事を続けたくないと言っているという。

3月17日
Lusa, Jakarta
コパスス、国境から大量に侵入

 数千人の特殊部隊(コパスス)が、西ティモールから国境を越えて東ティモールに何度も侵入していたことが、オーストラリアの新聞「エイジ」によって報道された。目撃証言者によると、彼らは武器をインドネシア派武装集団に手渡すと西ティモールに帰っていったという。
 新聞によると、この情報は東ティモール抵抗勢力およびオーストラリア軍の諜報部のものによる。

3月17日
Lusa, Lisbon
ポルトガル語圏諸国、事実調査団を派遣

 ブラジルのポルトガル語圏諸国会議へのラウル・カンポス・エ・カストロ代表は、 16日(火)リスボンで行われた会議の共同行動委員会で、来週事実調査団を東ティモールに派遣することをインドネシア政府に申し入れると語った。実現するかどうかはインドネシア側の意思による。

3月17日
Lusa, Jakarta
シャナナ:司教の仲介ならOK

 シャナナは、二人の東ティモール人司教が仲介するなら和解のための会合に参加する用意があると語った。シャナナはティモール人平和協会(Sons of Timor for Peace Association)が資金要請を(インドネシアに)したということを非難した。

3月17日
Lusa, Jakarta
シャナナ:我慢の限界だ

 17日(水)シャナナは抵抗勢力の忍耐もほとんど限界だと、2月に民家に移送されて以後もっとも手厳しい批判をインドネシアに対して行った。インドネシアは「植民地主義者」的態度をとっており、統合派を資金的にも武器によっても支援していると非難した。

3月18日
Lusa, Dili
修道会の包囲、とかれる

 17日(水)、マウバラのカルメル修道会を包囲していた統合派武装集団は包囲を解いたと、ディリにいた修道女が伝えた。「軍に協力を頼み、事件は終わった」と語った。

3月18日
Lusa, Penafiel (Portugal)
UDT党首:ポルトガルのプレゼンスが必要

 17日(水)、ポルトガルに滞在中のUDTのジョアォン・カラスカラォン党首は、将来の平和維持軍の半分はポルトガルでなければならない、東ティモールは非植民地化を実行するためにポルトガルにいったんは復帰する必要があると語った。また450年間にわたって東ティモール人にアイデンティティを与えてきたポルトガルの価値を再活性化するために強いポルトガルのプレゼンスが必要だとも語った。

3月18日
Lusa, Dili
南アが国際警察軍に参加か?

 南アのインドネシア大使バファナ・シドニー・クーベタ氏は4日間の東ティモール訪問の最後、16日(火)ディリで、「私は南アはそうした要請を前向きに検討するだろうと思う」と語った。

3月18日
BBC Summary of World Broadcasts
[Diario de Noticias website, 16 March]
東ティモール人和解・平和会議の参加者リスト

 ポルトガルの通信社ルサが入手した参加者リストによれば、次の人々があがっている。
 インドネシア軍からトノ・スラトマン(東ティモール司令官)、ティンブル・シラエン(東ティモール警察署長)。
 ロペス・ダ・クルス(移動大使)、クレメンティノ・ドス・レイス・アマラル(人権委員会)、マリオ・カラスカラォン(元州知事)、アビリオ・オゾリオ・ソアレス(現州知事)。
 さらにドミンゴス・ソアレスとドミンゴス・ポリカルポ(統一・民主主義・正義・平和フォーラム)、その副議長(アントニオ・フレイタス・パラダ?かルイ・エミリアノ・ロペス?)、元UDTリーダー(ジョゼ・カタリノ?)、さらにアポデティから誰か。
 外国からはアビリオ・アラウジョのみ。マリ・アルカティリとジョゼ・ラモス・ホルタが次回会合から出席できる可能性もある。
 抵抗勢力の代表としてはシャビエル・ド・アマラル(フレテリン初代党首)、ダビド・シメネス(CNRTディリ事務所長)、レアンドロ・イサアク、マフヌ(CNRT)。
 その他、ヘンリケ・コルテ・レアル(UDT)、アニセト・グテレス(ヤヤサン・ハック)、フランシスコ・バスコンセロス(ドミンゴス・ソウサ?)、シャナナの義理の兄弟(誰?)、フロレンティノ・サルメント(人権委員会ディリ事務所)。

3月22日
East Timor Int'l Support Center (Darwin) Media Release
4人の民間人が殺される

 ジャカルタのCNRT事務所が出した声明によると、3月20日、マリアナ県リタボウ村で20人の武装集団が発砲し、4人の民間人が殺され、5人が重傷を負った。
 死亡したのはPedro Assamali (30), Domingus Manomau (25), Joao Ruben Barros (11), Fonseca Gomes (11)の4人。
 作戦は30分続き、覆面をした男の何人かはインドネシア軍の制服を着ていた。負傷者は最初マリアナの総合病院に連れて行かれたが、のちに教区の診療所に移された。
 マリアナを拠点とするハリリンタル(指導者はタバレス)が事件に関与していると考えられており、彼らがインドネシア軍と軍諜報部(SGI)と共同で作戦を行ったもようだ。
 CNRTによれば、インドネシア政府はこの発砲には何の反応も示しておらず、東ティモール駐留インドネシア軍が事件をファリンティルのせいにするつもりだとの噂がシャナナのもとに届いている。
 東ティモールからの情報によれば、マリアナに通じる道路はハリリンタルが警察、軍と一緒になってブロックしている。ハリリンタルによる検問がアタベ・マリアナ線、カイラク・マリアナ線で行われている。マリアナから出ることも許されていない。 またマウバラでもエウリコ・グテレス率いるガダパクシが道路封鎖を行っているもようだ。

3月24日
Darah Merah
Letter to Joao Tavares

[以下の手紙は、従来の統合派の「穏健な」やり方に満足しない極右的な統合主義者たちが新たに武装組織を結成し、タバレスに血判状のようなかたちで抵抗派一掃を要求したもの。これによって統合派の武装闘争はエスカレートするかも知れない。]

右翼統合武装集団
ダラ・メラ(赤い血)[これが新たな武装組織の名前]

3月24日

統合派戦争司令官
ジョアォン・タバレス殿

 われわれは統合派戦争司令官たるジョアォン・タバレス殿に、「赤い血」コマンド部隊は「世界一掃作戦」(Operasi Sapu Jagad: Clean the World Operation)を行うことを通告する。以下の考量に基づく。

 1 東ティモール問題の解決があまりにもだらだらとしており、これでは問題のルーツが解決されない。
 2 CNRT, GRPRTT, Falintil, Ojetilなどといった反統合派諸集団に参加している者たちが一掃されない限り、問題は解決しない。
 3 Halilintar, Besi Merah Putih, Sakunar, Alfa, Sera, Saka, Makikitなどの統合派諸集団のやり方はあまりにも手ぬるい。

  したがって、われわれはこの東ティモールの地から反統合派の連中を一掃する作戦をディリを皮切りに行う。したがって同志たちには4月30日をもって期限とし、以下のことを行ってもらいたい。われわれは5月1日0時から作戦をディリ全域で行う。

 1 ディリおよび周辺地域から統合賛成派の住民をボボナロの第7基地に避難させること。そしてそれぞれの地域で警戒態勢をしくこと。
 2 その際、住民の選別には細心の注意を払うこと。統合賛成派の住民のみを避難させること。
 3 それぞれの地域での避難民に最大限の物資などの支援を行うこと。

 この期限以後、ディリにいる者は、老若男女をとわず反統合派とみなし、抹殺すべき者とみなす。
 またインドネシア軍に対しては、この間それぞれの司令部、駐屯基地を警備すること以外、いっさいの行動をおこさないようお願いする。
 以上、お知らせすると同時に、近く到来するディリにおける火の雨の見せ物をお楽しみあれ。

3月22日
IPS, Dili
ウィラント:兵士を教師の代わりに送る

 ウィラント総司令官は、東ティモールから教師たちが引き上げている穴埋めに、インドネシア軍兵士を学校に送る考えであると語った。

3月22日
Indonesia Observer, Jakarta
ウィビソノ、インドネシア派東ティモール人に会う

 インドネシア政府のマカリム・ウィビソノ国連大使は東ティモールを訪問中、20日(土)、ディリで「統一・民主主義・正義フォーラム」の指導者たちと会見し、自治案について住民によく説明するよう求めた。
 フォーラムの代表、ドミンゴス・ソアレスは自治案についての情報が足らないと言いながら、東ティモール問題は国連がインドネシアとポルトガルとの交渉において解決すべき問題であって東ティモールの住民による投票には反対だ、もし国連が自治が最善と判断すれば、東ティモール人と協議することなく実施すべきだ、などと語った。

3月19日
Lusa, Dili
タバレス、闘争を改めて表明

 18日(木)ジョアォン・タバレスはディリでポルトガル人記者たちに対し、東ティモール人が自治を拒否した場合、自分はその結果を受け入れないと改めて表明した。彼は現在2400人の支持者をかかえていると言う。

3月22日
Lusa, Macau
アナ・ゴメス、プロセスは後戻りしない

 マカオで大統領らと話し合ったのち、アナ・ゴメスは「私は楽観的だ。(自治の)プロセスは後戻りできないものだと思われる。インドネシアはもはや撤退できない重要な約束をしたからだ」と語った。

3月22日
Lusa, Jakarta
東ティモールで死者

 先週末、東ティモールでは2つの村が襲撃され死傷者が出た。 ひとつは19日(金)、マリウブ村で20人のインドネシア派武装集団が発砲し、4人が死亡(うち子どもが2人)、5人が負傷した。シャナナが発表した。
 また教会筋によると、20日(土)インドネシア軍がディロル村で民間人に向かって発砲し、5人が負傷、62人が逮捕された。

3月22日
Lusa, Dili
正義と平和委員会、調査団を派遣

 ディリ教区の正義と平和委員会は、先週末のスアイ、ビケケ、マリアナでおきた暴力事件について調査団を派遣した。スアイでは、ズマライ村の近くでインドネシア派武装集団によって少なくとも8人の東ティモール人が21/22日(日月)に拘束され、行方不明になっている。ビケケではディロル村でインドネシア軍の作戦中5人が負傷、68人が拘束された。マリアナ県(西ティモールとの国境)では19日(金)以来、インドネシア軍によって封鎖されており、2人の子どもを含む4人が死亡した。

3月18日
South China Morning Post
武装統合派、修道女たちに死の脅迫

 マウバラの修道会の指導者、シスター・イダリア・タバレス(ドミニカ共和国出身で18年間東ティモールにいる)は、「彼ら(紅白鉄隊)は私たちとドライバーを殺すと言っている」と語った。また彼女によれば、武装集団は夜になると村々を徘徊して若者をリクルートしているという。そして抵抗すれば、ゲリラを支持していると非難される。
 夜には武装集団は伝統的な刀をもって、紅白のはちまきをしてマウバラ周辺の道路を見張っている。
 修道会の裏の家が1軒2週間前に焼かれた。ビビケナという村の10代の若者たちはみな武装組織に強制的に入らされるのを恐れてディリに逃げた。
 ビビケナ村の村長ジョゼ・ソアレス・アフォンソは彼の村の2300人の住民の内1000人ぐらいが逃げたと言っている。空き家になった家を武装集団が略奪していると言う。
 「インドネシア軍は資金を与えていないかも知れないが、やめさせようともしない」とアフォンソは言う。彼は妻と一緒に修道会にすでに3泊している。
 マウバラの古いポルトガル時代からの要塞では、数百人の難民がとうもろこしを揚げ、川から集めてきたほうれん草を洗っていた。この要塞をガードしている武装集団によれば、彼らは独立派のゲリラに追われて逃げてきたという。しかし難民が外部の人に話すのを許さなかった。
 ハリリンタルのメンバーは、75000ルピアと18キロの米を月々地方の公務員をしている人物からもらったと認めている。

3月18日
ロイター、香港
ホルタ、インドネシア軍撤退を要求

 ホルタは、7月に住民の意思確認の投票が行われる前に、インドネシア軍の少なくとも国連の警察軍に比例するほど程度までの部分的な撤退が行われなければならないと語った。「もし国連がインドネシア軍がいるままで投票を行うことになれば、私はそれを公に非難することになるだろう」と語った。
 また戦争裁判も南ア方式の真実和解委員会についても反対だと語った。理由は真に責任を有する者はすでに東ティモールからおらず、小者だけを裁くことになるからだ、ということだ。

3月18日
ロイター、ジャカルタ
インドネシア兵2人、遺体で発見

 2週間前に誘拐されたインドネシア兵2人の遺体が発見されたとアンタラ通信社が報道した。軍は、シャナナが指導者をつとめるCNRTに属する青年たちが拷問死させた、と言っている。東ティモール司令官のトノ・スラトマン大佐は「3人の青年の行為は指導者たるシャナナの責任と無関係ではない。こうしたことは何度も起きている」と語った。
 兵士の遺体は3人の青年がつかまり、ブコリという町に埋めたと自白したところから18日(木)に発見された。
 シャナナの法律顧問アントニノは「事件は純粋な犯罪であり、シャナナは誘拐、殺害を指示したことはない」と言っている。

3月18日
Lusa, Lisbon
インドネシア軍またディリで発砲

 ジョアォン・カラスカラォンは、インドネシア軍と統合派武装集団が18日(木)ディリ市内で民家に向かって発砲し、少なくとも7人を負傷させたと語った。

3月18日
Lusa, Lisbon
ディリでの発砲

 CNRTのマヌエル・カラスカラォンによれば、18日(木)のディリでの発砲は、おそらくインドネシア兵の誘拐事件の報復としてなされたもので、9人が負傷したと語った。

3月18日
Lusa, Jakarta
シャナナ、統合派と面会

 18日(木)シャナナは「平和のための東ティモール人協会」(KOTB)のジル・アルベスと州知事のアビリオ・オゾリオ・ソアレスと面会した。シャナナはジル・アルベスに対して、「協会」が自治案推進を行っていることからCNRTはそことの関係をすべて断つとの決定を行ったことを確認したという。
 シャナナは平和のための会合が、2人の司教の仲介によらなければ参加しないと条件をつけた。

3月18日
Lusa, Dili
イ国連大使、東ティモールを訪問

 インドネシアの国連大使マカリム・ウィビソノは18日(木)、3日間の予定で東ティモールを訪問した。国連交渉の結果を説明するためだ。 ウィビソノによると、国連が行う直接投票は、海外にいる2万人の東ティモール人も参加するということで住民投票とは呼ばない、また自治の拒否はただちに独立を意味せず1976年の状態、すなわち政府のない状態に戻るのだと説明した。

3月19日
ロイター、ジャカルタ
シャナナ、和解会議出席を拒否

 19日(金)、シャナナは統合派が主催する週末の和解会議を「汚いマニピュレーション(意図的操作)」だとして出席を拒否した。またアビリオ・ソアレス州知事たち「ソアレス・ファミリー」がスポンサーとなるいかなる会議にも出席しないと語った。

3月20日
Sydnye Morning Herald, Atambua (West Timor)
国境の町、統合派が検問

 西ティモールから東ティモールへ入るところで統合派民間武装集団がバスの乗客のチェックをしていた。学生だとわかった場合、わきに連れ出され尋問され、持ち物を路上に捨てられ、蹴られたりしている。
 尋問を行っている竹でできた小屋の床には髪の毛がいっぱいおちていた。「髪の毛を切ってるんだ。長いとファリンティルのように見えるから」と民間武装集団のメンバーが笑いながら、はさみをしごきながら(磨きながら)言った。
 これらインドネシア当局によって金を払われてやっている民間武装集団は東ティモールからの陸路の検問にあたっている。彼らはディリからやってくる学生たちは彼らの生活を破壊し東ティモールに戦争を起こす「共産主義者」だと言われている。
 「東ティモール人は働くのがいやなんだ。インドネシア人と戦争がしたいんだよ。彼らはわれわれと違って、われわれのようにオフィスで仕事などできない。インドネシア人が教えてやろうとしてるのに、戦争をしようとしてるんだ。ジャワやバリへ行って勉強し、ただで家をもらい、学費をもらってる、われわれ以上にだよ。それでも他の人たち(インドネシア人の)と交わろうとしない。東ティモールで問題が起きたらここにも波及する」とアタンブアの学生で民間武装集団のメンバーとなったベ・ウヌは言った。
 クパンにある大学で講師をしているある人物によると、アタンブアはかつて国境近くで不安定な情勢を作り出すため西ティモール人をインドネシア軍が訓練するのに使ったところだと言う。彼は2月にディリの学生たちにあてた警告の手紙の中で、インドネシア軍がアタンブアでフランシスコ・タバレス(ジョアォン・タバレスの息子)に500丁の武器を与えたことを伝えた。

3月19日
BBC Summary of World Broadcasts
RTP Internacional TV, Lisbon, 17 March
シャナナ、忍耐の限界だ

[シャナナ]アビリオ・オゾリオの内務相、外相、国防相に対する手紙を手に入れた。それによると第一の目的はKOTBのメンバーを使って自治案を防衛することだと言う。つまり亜kれらはわれわれを自治の方向へ引きずっていこうとしており、私は自治案の方へ引きずられたくはない。和解と平和についての会議については、二人の司教だけがそれをやる権利、正当性、東ティモール人からの信頼というものをもっている。
 今までの罪をすべて忘れるということでやってきたが、いつでもそれは思い出すことができるものだ。インドネシアのメンツなどわれわれはもはや気にせず、インドネシアがわれわれを植民地にしたと言うこともできる。私はかつて、過去を忘れよう、それを歴史的な過ちだったということにしようと言ったことがある。しかし彼らはわれわれとまだゲームを演じている。したがって、われわれは、あなたがたはわれわれを植民地にした、東ティモールを軍事的に占領した、ただそれだけだ、戦争を続けたいかね、それとも問題を解決したいのかね、と言おう。
 ゲリラは強大なインドネシアを相手に何年も生き延びてきた。インドネシア軍の方こそこれから生き延びられるのかわからない。

3月19日
Antara, Dili
ポルトガルの約束は単なる「甘言」

 統合派のリーダーのひとり、フランシスコ・カルバリョは、アナ・ゴメスがポルトガルは医薬品などの援助を提供すると言ったことを受けて、「非人間的な植民地主義から天使のような援助者」へと変わったポルトガルに注意するよう東ティモール人に呼びかけた。ポルトガルはアンゴラ、モザンビークなどが絶望的な状況にあるのに、東ティモールを支援するのに必要な資金をもたない、などと語った。

3月19日
BBC Summary of World Broadcasts
Antara, 17 March
東ティモールの総選挙キャンペーンは「閉じられた区域」で

 東ティモール司令官トノ・スタトマン大佐は、17日(水)、総選挙キャンペーンは国営テレビ・ラジオを通じてか、「閉じられた区域」の中で大衆を動員することなく行うということで治安が維持できると語った。

3月20日
BBC Summary of World Broadcasts
Kompas, 19 March
コンパス紙:インドネシアの財産を撤収せよ

 インドネシアのコンパス紙によると、東ティモール地方長官(インドネシア人)ラジャカリナ・ブラフマナは17日(水)、ディリの彼の事務所で、もしインドネシアが撤収するとなったら公用車、銀行、郵便局、電話施設、発電施設などインドネシアの財産となるものはすべて撤収しろとの指示はまだ来ていない、と語った。しかし、東ティモールにおけるインドネシアの財産は計算して国連に考察を求めるよう提出することになるだろうと語った。また移民については、東ティモールの地位が変わっても彼らの家などに関する所有権は保持されるという。
 一方、地方長官は東ティモールが飢餓状態にあるとの報道を否定した。食糧調達庁はまだ8000トンの米のストックをもっている。とはいえ、援助はありがたい。

3月19日
AAP, Sydney
オーストラリアから医薬品コンテナ

 オーストラリアの医療・宗教関係者、東ティモール人難民たちが一緒になって、東ティモールにコンテナ一杯の医薬品などを送る計画だ。船は来週にもダーウィンを出発する予定だが、北部準州が妨害する可能性もある。オーストラリア海運労働組合ダーウィン支部が無料で搬入を今日行った。

3月19日
AP, Dili
4人が殺される

  CNRTおよび神父によると、19日(金)夜、銃で武装しマスクをかぶった一団が東ティモールのある村を攻撃し3軒の民家に対し発砲し、その結果、4人の民間人を死亡させ、5人を負傷させた。攻撃されたのはディリから90マイル離れたリタボウという村で、犯人たちはハリリンタルに属していたとのことだ。

4月6日
ETISC (East Timor Ireland Solidarity Campaign)
東ティモールの教会に手榴弾、40人が死亡か?

 事実が確認されない情報として、統合派が東ティモールの教会に手榴弾を投げ入れ、避難していた2000人のうちの45名程度を死亡させたとのニュースが流れている。
 ニュースはジャカルタのマリオ・カラスカラォン(現在大統領顧問)がベロ司教から聞いた話として、リスボンのロイターが流しているほか、ラジオでも同様のニュースを放送している。


3月22日
AP, Jakarta
アラタス、住民投票に自信

 アラタス外相は東ティモール人を前に、国連が行う投票においては東ティモール人は自治を選ぶだろう、そうすれば95%の東ティモール人は独立を選ぶだろうと言ったラモス・ホルタが「世界を何年も欺いていた」ことが明らかになるだろうと語った。
 「もし東ティモール人が統合を選べば、ラモス・ホルタの仮面もはがされる」などと語った。
 またインドネシアが内戦を助長していることについて、「ナンセンスだ。われわれは彼らの和解をすすめている」と語った。

[アンタラ通信によれば、この会合はインドネシア国際情勢協会(ICWA)によって主催され、東ティモール人、インドネシア人外交官などが出席。アビリオ・アラウジョも出席していた。]

3月23日
東ティモール学生評議会(Student Council)のメールマリアナで3人殺害、ビケケで2人殺害

 3月20日(土)ビケケ県のラクルタで2人の青年がマキキット(民間武装組織)によって射殺された。2人はJeronimo Amaaral (18), Jose de Andrade dos Santos (?)。マキキットはすでになくなったのかと思われていたが、ここにきて再浮上した。
 また、マリアナでは、4人をすでに殺害した後、3月23日、インドネシア軍はさらに3人を射殺。今多くの人々がマリアナの教会へ逃げている。避難民の数はすでに 800人。インドネシア軍と準軍組織は家宅捜索を行っており、若い者の中には発砲後失踪した者もいる。

3月23日
Suara Timor Timur(「東ティモールの声」ディリの新聞)マリアナ情勢、急速に悪化

 3月19日(金)マリアナでは、夜7時半ごろ覆面をした人物による発砲で4人の民間人が死亡したが、22日(月)には4人がまた死亡した。 昨日は朝からマリアナの町はインドネシア軍が警戒にあたっているが、それはボボナロ県(1636軍小分区司令部)司令官、シハギアン中佐が指揮している。その結果、現地社会の活動が麻痺し、県や州を結ぶ交通が遮断されてしまった。 マリアナでは住民は恐怖のために自宅から出ないようにしているが、一部はマリアナの司祭館に逃げ込んでいる。
 昨夜マリアナから本紙に届いた情報によると、マリアナでは若者が数人逮捕され、軍はハリリンタル(準軍組織)に援護されて厳しい警備を行っているという。 コントラス(被害者救済人権団体)のディリ支部のコーディネーターであるイザベル・ペレイラによると、すでにチームをマリアナに派遣したとのこと。
 死亡した4人の葬儀は3月21日に行われた。 4人の名前は、Pedro Asa Mali (30), Joao Ruben Barros (11), Fonseca Gomes (12), Domingos Manu Mau (25)。負傷者の名前もわかっている。 現地住民は発砲はハリリンタルが行ったと言っている。一方、ボボナロ県軍小分区司令官、ブルハヌディン・シアギアン中佐は、証拠にしたがえば発砲したのはファリンティルだとの確信をもっていると言う。

3月23日
South China Morning Post
国連プレゼンスは来月までダメ

 アラタス外相は、来月まで国連のプレゼンスを認めないと発言した。また軍撤退の計画もないと発言した。
 直接投票については、自治案の「社会化」(宣伝)期間として2ヶ月が必要だ、国際社会が直接投票を要求したのだから安全で公正な投票を行うかどうかは国連次第だ、もし投票の結果に疑念があれば、それは国連の恥となると述べた。

3月23日
AFP, Sydney
インドネシア、豪医療団を拒否

 3月23日(火)、ダウナー外相は、インドネシアがオーストラリア政府の医療団派遣を拒否したことを明らかにした。
 オーストラリアの援助団(AusAID)の調査によれば、東ティモールには外科医が一人もいない、5000人が戦闘をさけて避難している。しかし6日間の調査の結果、大規模な人道的危機といった事態にはいたっていないことがわかった。
 23日に発表された上記の調査報告によれば、1998年末の段階で政府系病院などで働く医者は109人で、現在では81人にまで減っている。公的病院に外科医がいない状態が1年続いている。
 インドネシアはオーストラリア政府の申し出を拒否したが、自ら対応することを約束したと言う。
 ちなみにオーストラリア政府は5000人の難民に対して50万ドル(31万5000ドル)を提供する。

3月22日
TVRI(インドネシア国営放送)
西ティモール、難民受け入れ準備

 東ヌサ・トゥンガラ州のピート・タロ知事は、東ティモール人難民の流入に対して3つの県(ベル、アロール、東フローレス)で準備をすすめていることを明らかにした。

3月23日
Lusa, Jakarta
シャナナ自制を求める

 3月19日(金)に4人の東ティモール人が殺害された事件を受けて、シャナナは自制を求めるメッセージを発した。テトゥン語のラジオで放送されることになっている。

3月23日
Lusa, Jakarta
シャナナ国連職員と会見

 22日(月)シャナナはジャカルタを訪問中のフランシスク・ベンドレルとタムラト・サムエルと会見し、東ティモール人の意見聴取の方法について討議した。

3月23日
Lusa, Jakarta
統合派武装集団、浄化作戦を予告

 「ダラ・メラ」(赤い血)という統合派集団が5月2日にディリ市で独立派を掃討する浄化作戦を実行すると予告した。手紙はラファエク・サブライという司令官の名前で出されている。

3月23日
Lusa, Dili
新たな人権委員会設立

 22日(月)、ディリで新たな「独立人権委員会」が発足した。委員会はすべての軍事行動、準軍組織の行動を停止することを目的とし、インドネシア軍、ファリンティルともに停戦に合意すべきだと主張している。

3月23日
Lusa, Dili
国連職員の東ティモール行き、フライト・キャンセル

 国連の東ティモール担当職員フランシスク・ベンドレルとタムラト・サムエルが東ティモールに行く予定だったムルパティ航空のフライトが、23日(火)、明らかにされない理由でキャンセルになった。

3月23日
Lusa, Sydney
インドネシア政府、医療団を拒否

 23日(火)ダウナー豪外相は、インドネシア政府が豪政府が申し入れていた外科医チームの派遣を拒否したと発表した。外相によれば、東ティモールには一人の外科医もおらず、インドネシア人医師の避難によって東ティモールの医療システムは崩壊の淵にある。インドネシア政府はこの問題に自分で対応するということだ。

3月23日
Lusa, Dili
ビケケの目撃証言者

 ビケケでの暴力的事件についての2人の目撃証言者がディリに到着し、ルサのインタビューを受けた。
 パンタレアオ・アマラル・ピレス(33)は、20日(土)ディロル村で抵抗勢力の地域の代表者メンバーフィルミノ・ダ・クルスの家を約50人の統合派武装集団とインドネシア軍兵士が一緒になって襲撃し、ダ・クルスを含む少なくとも63人が拘束され、近くのアヒック村、ラリネ村に連行されたと語った。兵士たちが家に向かって発砲したとき5人が負傷したという。
 抵抗勢力筋によれば拘束された人々はビケケの郊外にあるラクルネのインドネシア軍基地にいるという。

3月23日
Indonesian Observer
社説:シャナナを釈放せよ

 インドネシアの英字紙インドネシアン・オブザーバーが社説でシャナナの釈放を求めた。和平への貢献を行うには彼が自由に活動できることが重要だとしている。一方で、ラモス・ホルタがインドネシアのイメージ低下を行ってきたのに対し、シャナナならインドネシアのことをより理解するだろう、などとも書いている。

3月24日
Lusa, Jakarta
シャナナ、和解会議に合意

 23日(火)ジャカルタの抵抗勢力筋が明らかにしたところによると、シャナナは、二人の司教が仲介する和解会議をディリで行うとの提案に合意した。
 第一回会議は復活祭後に行われそうだという。ただしシャナナがそれに参加を許されるかどうかはわからない。

3月24日
Lusa, Dili
国連職員東ティモールに到着

 火曜日にフライトをキャンセルされた2人の国連職員は、24日(水)ディリに到着した。

3月23日
AFP, Canberra
豪調査団、人道的危機はない

 23日(火)豪調査団は、東ティモールでは何カ所かで食糧不足がありいくつかの主要な医療施設で機能低下がおきているが、人道的危機と呼べるような事態にはいたっていないと発表した。またインドネシア政府が意図的に人道的危機を招いているという証拠は発見できなかったと述べた。
 調査団は1週間東ティモールに行っていた。 しかしながら、オーストラリア援助局(AusAID)は、最近のできごとで5000人が避難を余儀なくされていることは認めた。

3月24日
Lusa, Lisbon
ホルタ:スハルトが黒幕だ

 23日(火)ポルトガル議会の東ティモール委員会で演説したラモス・ホルタは、現在の東ティモールの不安定化キャンペーンの背後にはスハルトがいると批判した。そして統合派武装集団の資金がバリのウダヤナ司令官シンボロンを通じて流されていると述べた。さらにインドネシア外務省についても、最近ディリのホテルでジョアォン・タベラスと会い武装集団に金を与えたと非難した。

3月24日
AAP, Canberra
元ウィットラム内閣閣僚、東ティモールに謝罪

 侵略時ウィットラム内閣の保健大臣をつとめていたドウグ・エベリンガム(Doug Everingham)は、「ジ・オーストレイリアン」紙上で、「東ティモール人に謝罪する。インドネシアの侵攻を非難せず、国際社会にさからって、首相が併合を認めてしまったオーストラリアの最初の内閣に属していたことを恥じている」と謝罪した。
 エベリンガムは、東ティモール併合の承認はオーストラリアの長期的利益を損なったが、当時はティモール・ギャップの石油を確保することが意図されていた、とABCラジオ放送に語っている。

3月24日
ソリダモル、プレス・リリース
東ティモールでの総選挙は停止、または延期すべきだ

 ソリダモルはルディニ選挙管理委員会委員長と面会し、東ティモールにおける総選挙の実施を停止、または少なくとも延期すべきだと申し入れた。 
これに対し、ルディニ委員長は、選挙の実施地域については大統領が権限をもっており、申し入れは委員会で検討し政府に提示するかどうか決めると回答した。

3月24日
AAP, Dili
統合派武装集団と民族解放軍の銃撃戦

 カトリック教会筋によると、ハリリンタルがファリンティルの秘密会議を襲撃したことで銃撃戦となった。ハリリンタルは少なくとも50人がおり、数千人が伝統的な武器を持って地域で活動している。
 銃撃戦はマリアナで4人の民間人が死亡した(2人は子ども)事件のあとおきたものだ。
 教会筋によると、インドネシア軍(とくにSGI)が武装集団に情報を提供していると言う。
 また同筋によると、22日(月)、マリアナの近くで、ジョセ・アンドラデ・レクルスという人物がファリンティルメンバーを山に運んでいると非難され、武装したインドネシア軍兵士に自宅から連行されて以来行方不明になっている。

3月26日
AFP, Dili
兵士の発砲で3人が死亡

 バウカウ県警察署長、マルパウン少佐(警)は、インドネシア軍がファリアという名前の殺人容疑者を追いかけているときに、バウカウ県ガリワイ村で発砲し、3人を射殺してしまったことを発表した。射殺されたのはファリアとイルデンフォソ(30)と40才の女性で、その場で死亡したという。
 遺体はバウカウの病院に運ばれた。
 ファリアは軍兵士が見つけたとき、バス(ミニバン)にのって移動しているところだった。ファリアはバスをおりて逃げ出したため、兵士が発砲した。

3月26日
Lusa, Dili
バウカウ射殺事件

 教会筋によると、バウカウの射殺事件では、イルデフォンソ・ファリアという青年がバウカウ行きの乗り物を待っているときに撃たれたという。また残りの二人は女性で、彼を助けにきたところを射殺されたと言う。

3月26日
Lusa, Dili
ベロ司教、食糧難報道は誇張

 報道されている食糧難、医薬品不足について「とくにディリでは、若干の誇張があったと思う」と語った。しかし東ティモール人が独立の準備ができていないことを示すためのインドネシア軍の戦略としての米不足という問題は存在すると付け加えた。今、深刻な問題は教師不足だと語った。

3月26日
Lusa, Lisbon
東ティモールへの奨学金運動

 東ティモールの自決権のためのポルトガル系アメリカ人運動(Movemento Luso-Americano para a Autodeterminacao de Timor-Leste)は東ティモールの主に孤児を対象とした奨学金運動をはじめることにした。

3月25日
Lusa, Dili
ベロ司教:投票延期を

 25日(木)、ベロ司教は直接投票は9月か10月に延期されるべきだとルサとのインタビューで語った。「投票は自治になるせよ独立になるにせよ、東ティモールの将来にとってきわめて重要だ。いかなる結果にせよ満足せず、武器をとろうという者がいる。和解のイニシャティブが必要で、双方が勝とうが負けようが結果を受け入れることが必要だ」と語った。

3月26日
Lusa, Dili
マヌエル・カラスカラォン:投票はすぐにでも

 25日(木)ディリのマヌエル・カラスカラォンは、投票を延期するというベロ司教の考えには賛成できない、むしろできるだけ早く行うべきだと語った。

3月26日
Lusa, Geneva
ポルトガル、自決権を確認

 26日、ジュネーブでの国連人権委員会でゴンサロ・サンタ・クララ大使は、自決権の行使が東ティモール問題の恒久的解決の唯一の方法だというポルトガルの立場を再表明した。また一方で、インドネシアが投票を許したことを歓迎した。

3月11日
Antara, Lisbon
ポルトガルはその暗黒の歴史のページを認めなければならない

 アムネスティ・インターナショナルのメンバーでもあり現在インディペンデンテ大学(リスボン)のコミュニケーション学を担当しているヌノ・ロシャ教授は、ポルトガルが1974年の革命後、東ティモールに関心をなくし、インドネシア側からの再三の問い合わせを無視したことを認めなければならないと語った。
 1974-1988年雑誌テンポの編集長をしていたヌノ・ロシャ教授は、革命後実権をにぎったスピノラ将軍はポルトガルの世界中での主権を維持しようとしたが、革命後初の大統領となったコスタ・ゴメス将軍は、東ティモール担当の総督に相当する役職を任命しなかったりするなど、東ティモールに対する軍事的関心をなくしていたと主張する。また当時、インドネシア軍とアダム・マリク(外相)はさかんにポルトガル側に接触してきたが、ポルトガル政府はそれを無視したと言う。
 1975年11月1-2日のローマ会談にしても、インドネシア側はポルトガル側の態度をはっきりさせようといろいろ試みたが、当時のメロ・アントゥネス外相は東ティモールをもはやポルトガルの財産とは考えていなかったので非常に受け身だった。
 「これらの歴史的事実はマスコミによっても十分に書かれてきたことだ。ポルトガル政府はそれを公に認めるべきだ」と語った。

3月25日
South China Morning Post
East Timor's big coffee break
コーヒー・ブレイク

 アメリカの非営利組織National Co-operatives Business Association (NCBA)のトニー・マーシュはディリにいて東ティモール各地からのコーヒー豆のサンプルをかじっている。
 「コーヒーはビジネス。政治的に何が起ころうと、農民たちは収穫物を市場にもって行きたいのだ。われわれはできるかぎりのことをしてそれが可能になるようにつとめている」と彼は言う。
 NCBAはアメリカ政府の支援を受けた非営利の企業だが、1994年から700人の農民とはじめた事業が今では7万人になり、有機栽培コーヒーを扱っている。7万人というのはコーヒー栽培農家の8割をカバーし、4万ヘクタールある東ティモールの全コーヒー栽培地の4分の1をしめる。
 NCBAはデノック社とサラザル社という軍系企業による独占をうちやぶり、今では年間3千万ドルをかせぎだす東ティモールきってのモデル産業に育て上げた。
 CNRT(東ティモール民族抵抗評議会)がつくった独立東ティモールの経済計画という報告書によれば、インドネシアの中央政府からの5千万ドルの資金援助がなくても東ティモールはやっていけると述べているが、年間1億5千万ドルの赤字をかかえ外国からの援助に依存するだろうとも述べている。さらに教師、医者、技術者不足も深刻だ。
 一方、2万人のインドネシア人移民が帰国することについて、ディリには奇妙な興奮すら感じられる。売りの不動産が市場に殺到し、すでに800台の車が輸出されたと言う。現地の人々はむしろこれをビジネス・チャンスと見ており、15万人のものぼるインドネシア人移民が残した穴を埋めることができると思っている。
 華人コミュニティーもインドネシア人移民の帰国をうれしく思っている。
 「われわれ中国人は東ティモール人に近いのです。私たちはここで生まれましたから。またこれから再出発して貿易をのばすことができます」と語るのは、27才のレイ・シウ・チャンだ。彼はテトゥン語を流ちょうに話す。彼の利益はハビビの独立容認発言以来1日175ドルから12ドルまで減ってしまった。
 ほとんどの華人はダーウィンに避難し、店はスラバヤ出身の華人たちに貸し出している。
 東ティモール人によれば、地方開発銀行のクレジットはブギス人、パダン人(スマトラ)、ジャワ人に行っているため、自分たちは借りることができない。しかし援助ワーカーであるジルマン・エスポジト・ド・サントスは、東ティモール人はクレジットに関しては過去の実績が悪い、新しい東ティモールでは責任ある貸与という慣習をつくらなければならないと指摘する。
 「銀行のマネージャーは東ティモール人を信用しないのです。ビジネスに真剣でない人たちがいるから。私は東ティモール人ですが、東ティモール人がローンを返済しないことには恥ずかしい思いでいます」とドス・サントスは語る。彼が所長をつとめるEast Timor Aid and Developmentは、カナダ政府が部分的に援助している。
 ドス・サントスは草の根の小規模ビジネスをすすめる。もっとも成功したのはかつてのゲリラのリーダー、マフヌの大理石ビジネスだろう。彼はディリから12キロはなれたヘラで、「大理石株式会社」(PT Marmer)をやっている。
 これはかつてはスハルトの娘、ティティック・プラボウォが独占していたが2年前に倒産した。マフヌは「東ティモール人にとってバイアブルなビジネスだということを証明するためにやっている」と語る。
 スハルト家のトミーのさとう工場は中止となり、セメント工場計画も棚上げとなっている。
 不動産会社「スリック・マス・ロロサエ社」の社長、オスカル・リマは家が売れないので商売をコーヒーに切り替えようとしている。
 ホテル・トゥーリズモのオーナー、アレックス・サマラは部屋を50室増やし、プールとディスコを建設する予定だ。彼の姪がホンコンから支援にやってくる。
 最近、マカオのカジノの責任者であるスタンリー・ホは、かつて東ティモールでホテル、タクシーなどのビジネスをやっていた人物だが、ラモス・ホルタと会った。
 ディリのビジネスサークルでは、ホルタがキリスト像の近くのパシル・プティ地域にカジノを開きたいと考えていると言われている。 ドス・サントスは「カジノ・モデルの開発は危険だ。東ティモール人はただすわってギャンプルをしている。もしカジノなんかできたら問題だ」と言う。 東ティモールのもっとも豊かな資源は、おそらく海外にいる亡命者たちかも知れない。彼らが東ティモールにもどれば、未来も明るいものになるだろう。

3月24日
Lusa, Dili
マリアナで銃撃戦が発生

 24日(水)、東ティモール民族解放軍とインドネシア軍がマリアナ近くで銃撃戦をするという事件がおきた。
 教区の司祭フランシスコ・タバレス神父によると、インドネシア軍(SGI)がハリリンタルに、東ティモール解放軍(ファリンティル)がマリアナ郊外のラホメアに集まっていると伝えたため、ハリリンタルが現場に向かった。地元住民がファリンティルに警告を送ったが、間に合わず、2時間以上にわたる銃撃戦となった。神父は(ファリンティルの発砲は)「自己防衛が目的だった」と語った。 

3月24日
Lusa, Maputo (Mozambique)
アラタス:シャナナはジャカルタだけ

 24日(水)マプトに到着したアラタス外相は、シャナナは和解会議のため東ティモールに行くことは許されず、ジャカルタでのみ会合を許されると語った。

3月25日
Lusa, Jakarta
タバレス、マリアナ殺害関与を否定

 24日(水)統合派武装集団ハリリンタルのリーダー、ジョアォン・タバレス(68才)は、彼の準軍組織がマリアナでの民間人4人殺害事件に関与していることを否定した。逆に独立派組織の犯行だと語った。
 彼は教会の和解努力を受け入れるとも語った。ハリリンタルは彼が1974年につくった準軍組織で、彼は2月以来東ティモールでのすべてのインドネシア派武装組織の指揮をとっている。

3月25日
Business Times (Singapore)
グス・ドゥル:シャナナを外相に

 シンガポールの防衛戦略研究所(IDSS)に招待された民族覚醒党のアブドゥルラフマン・ワヒド(=グス・ドゥル)は、メガワティとの連合を構想する中で、シャナナを外相にしてもいい考えだと発言した。また東ティモールの独立は経済的に自立できないとしてむずかしいと述べた。

3月27日
CNRT/Jakarta
バウカウで3人射殺

 26日(金)、バウカウ県ガリウアイでインドネシア軍が民間人に発砲し、3人を死亡させた。死んだのは以下の通り。

 Estefania Freitas (45), Bahamori村(ガリウアイ郡)
 Ildefonso Faria Pereira (28), Venilale
 Nazare Freitas (25), Bahamori村(ガリウアイ郡)

 Estefaniaは畑で仕事中に射殺され、Nazareはその後まもなくして分軍支部( koramil)司令部の前で刺し殺された。殺害に責任を有するのは第406大隊(レッドベレー)で、軍分小区(kodim)司令部に配属されており、指揮官はイルワン軍曹。
 また以下の人物がこの数日、バウカウ県で失踪している。

 1) Marcal da Silva
 2) Angelo da Costa
 3) Abreu da Costa
 4) Aquilis
 5) Mariano

3月29日
Sydney Morning Herald, Jakarta
東ティモールのレイプ被害者

 ドゥカイの家族は、ビケケに駐屯していたインドネシア人兵士がした結婚の約束を若く美しい彼女が信じたとき、彼女を勘当した。
 兵士は彼女とセックスをしたあとで、結婚を反故にした。そして彼女の性奴隷としての人生が始まった。
 ドゥカイ(39才)は、生き残る唯一の方法は軍兵舎をそうじして食べ物をもらうことだったと語る。しかし兵士たちはかわるがわる彼女を性的に虐待し(セックスを強要し?)、しばしばレイプした。その結果彼女は5人の異なる兵士から5人の子を産んだ。
 「私の子どもたちは戦争の子どもなの」
と彼女は言う。最近発表された国連の調査報告は、インドネシア軍が東ティモール、およびその他のインドネシアの紛争地域、つまりイリアン・ジャヤやアチェで、迫害と拷問の手段として女性に対して暴力をふるいレイプをしてきたと述べている。
 国連人権委員会のラディカ・クマラスワミ特別報告者はまた、昨年5月のジャカルタでの暴動の際レイプされた華人女性たちが口外しないように脅迫されていたとも述べている。彼女がインタビューした52人の性的虐待・レイプ犠牲者のうち誰一人として裁判に訴えた者はいない。
 中には自分がレイプされている写真を送りつけられてきた者もいたが、それにはもし口外すればその写真を広範に配布するとの警告がついていたと、クマラスワミ報告者はジュネーブの国連委員会に提出された報告書で書いている。
 また彼女は、殺人の脅迫と匿名の手紙をもらっていた17才のイタ・マルタディナタという、ある女性の権利に関する活動家の娘がジャカルタの自宅で殺害されたにもかかわらず、インドネシア政府は集団レイプ事件を真剣に取り上げていないと述べている。
 クマラスワミ報告者はインドネシア政府に、証言者の保護プログラムを導入し、女性に対する犯罪者たちを逮捕起訴するよう呼びかけた。
 「そうしなければ、政治と統治の正当なプロセスは、テロをつかって市民社会を支配しようとする陰の勢力によって、常に妨害されることになる」
 クマラスワミ報告者はスハルト大統領を退陣に追い込んだ暴動においてレイプされた人の数を正確にあげることはできないとしながらも、女性の権利の団体は168件のレイプの事例を集めており、一方、政府が任命した事実調査チームは昨年11月、大半が華人の76人の女性が性的な攻撃を受けたとしている。
 「華人社会はこの事件によって威嚇された」とクマラスワミ報告者は述べる。彼女は調査にあたっては、ハビビ政権はオープンで耳を傾けてくれたが、警察や軍の中にはそうでない者たちがいた。
 「(犯罪が)免責されてるとき、こういうことはおきるものだ」と彼女は述べている。
 海外から資金援助をうけている団体、東ティモール女性連絡協議会のスポークスパーソンは、東ティモール人女性に暴力をふるったインドネシア人兵士を裁判にかけるようくりかえし努力したが、インドネシア当局が行動を起こすのを拒否したため、それらは失敗に終わっていると述べた。
 「それらの兵士が誰だかわかっているが、彼らは東ティモールから配属変えになっている。軍は兵士を裁判にかけようとする試みをことごとくつぶしてきた」と彼女は語る。

3月29日
Lusa, Maputo
アラタス、住民が独立を選ぶと認める

 モザンビークを訪問中のアラタス外相は、東ティモール人が自治よりも独立を選ぶだろうと認めた。

3月29日
AAP, Jakarta
東ティモール公務員、思想調査

 ボボナロ県のギリェルミ・ドス・サントス県長は、3月24日、マリアナに住む公務員に東ティモールの独立について意見を書くようもとめたアンケートに回答するよう指示を出した。
 公務員たちはこれを一種の迫害と感じている。
 「彼らは統合を支持させようとしている」 匿名希望の難民の支援ワーカーは言った。 指示によれば公務員は圧力、無理強いといったものもなく選ぶことができるとされているが、調査は匿名では行われず、回答は記名でしかも上司のサインまで必要だ。 「中央政府が東ティモール問題の解決のために二つの選択肢を提示したことによって、ボボナロ県ではどちらを公務員たちが支持しているか一覧にする必要がある」と AAPが入手したコピーには書いてある。
 しかしなぜ県長が、人々が独立支持か併合支持かを知る必要があるかは書いてない。

3月30日
Sydney Morning Herald, Jakarta
スハルトの土地奪還運動

 CNRTの指導者、ダビド・シメネスは、昨日、インドネシアが1975年以来不法に取得した土地は東ティモール人に返されるだろうと語った。
 スハルト一家の土地について聞くと、彼は、そうした土地は東ティモール行政府にもどり、もとの所有者に戻されるだろうと述べた。
 元州知事のマリオ・カラスカラォンは本紙に対し、1980年代の終わり、スハルトの娘であるトゥトゥットの代理をしていた業者が、ディリ郊外にホテルを建設しようとある年老いた東ティモール人の土地所有者をだましたことを暴露した。すでに死んでいると思われるその人物(所有者)は、7千万ルピア(14000ドル)をもらってコモロの土地を売ることになっていたが、実はその10倍の金額を約束されていた。
 「トゥトゥットは、その男が約束された額をもらわなかったことを知っているのか、それとも仲介業者が悪いのか」
 カラスカラォンは語る。
 当時州知事をしていた彼は、仲介業者というのは軍人だったと言う。ディリの政府筋でもスハルトの末っ子トミーをはじめ一家は東ティモールにかなりな土地を所有していると見ているが、ほとんどの場合仲介業者を通してなので、不法取得かどうかを証明するのは難しい。

3月30日
ソリダモル
シャナナ、学生グループと会う

 29日(月)、シャナナは軟禁中の家で、Famred, Forkot, FAPI, Alderaなど20人ぐらいの学生活動家たちと面会した。中にはラトナ・サルンパエットもいた。

3月29日
Lusa, Berlin
EU、直接投票を資金援助

 29日(月)ポルトガルのガマ外相は、EUが7月の直接投票とその後の現地再建について、かなりな資金援助をするであろうと発表した。ガマ外相はベルリンで欧州アジア会議に参加していた。

3月30日
Indonesian Observer, Jakarta
統合派青年、誘拐される

 28日(日)ディリのサント・ヨセフ教会のミサに参加していた数十人の独立派の若者によって、2人の統合派青年がつかまって誘拐されたと自ら語った。
 2人はManuel da Costa, Manuel Fernandes。二人は市場の前でつかまって、CNRTの事務所に連れていかれそうになったと言う。
 「彼らはわれわれの身分証明書を見せろと言って、取り囲み、殺すとおどした。しかし市場の野菜売りがとめてくれた」とダ・コスタはアンタラ通信社に語った。
 市場の物売りたちがもっとやってきて、独立派の若者たちも手が出せなくなったので、彼らは逃げて、統合派の若者たちが拠点にしているところに逃げ込んだ。
 「アイタラック」という統合派集団のリーダー、エウリコ・グテレスは昨日事件を非難し、独立派の若者たちは統合派の若者たち2人の人権を侵害したと語った。
 「われわれはこれと統合派の若者を殺そうとする意図を強く非難する。したがってわれわれは独立派の若者たちに対する攻撃をただちに始めることにする。われわれは統合の裏切り者全員をパージする。彼らは自分の利益しか考えず、草の根の人々の利益を考えない」
 彼とマヒディのリーダー、カンシオ・カルバリョがパージを指揮すると語った。
 グテレスはさらに、統合派の若者グループの多くは広範な自治の提案を拒否するだろうと述べた。彼によれば、「統合派はインドネシアとの統合の維持を望んでいる」。
 「広範な自治は、実際には異なる利害をもつ相手方にとって最大の解決策だ。統合派青年集団にしてみれば、広範な自治の受け入れは後退を意味する」
 もし自治が拒否されても、独立派はインドネシアとの完全な統合を維持するつもりだと彼は語った。
 
3月29日
時事通信(英文)、ベルリン

 ベルリンで欧州アジア会議に参加していた高村外相は、アラタス外相に、東ティモールの平和的解決を支援していると伝えた。

3月31日
Lusa, Canberra
豪、平和維持に参加の意向

 31日(水)ダウナー豪外相は、もし国連から依頼があれば、東ティモールの平和維持軍に参加する用意があることを明らかにした。外相は「東ティモールの移行が平和維持軍がいらないような方法で行われることを望んでいるが、もしそれが必要になったとして、国連がアピールを行えば、おは適切に対応し、私が考えていることを実践に移すことになる」と語った。

4月1日
BBC Summary of World Broadcasts
Radio Australia (Melbourne)
English 0600 gmt 31 Mar
豪外相、インドネシア軍のごろつきを懸念

 ダウナー外相は、インドネシア軍内部の「ごろつき」(rogue elements)が東ティモールの準軍組織に武器を与えている、それはインドネシア政府の政策ではないし、東ティモールの内戦はインドネシアの利益にはかなわないはずだと、キャンベラのナショナルプレス・クラブで語った。

3月31日
Lusa, Lisbon
ホルタ、NATOのコソボ介入を支持

 31日(水)ジョゼ・ラモス・ホルタはNATOのコソボ介入を支持し、ミロセビッチ大統領(ユーゴ)を非難する声明を発表した。「すべての外交努力が圧制者の行動を変えられないとき、武力行使は不可避となる。NATOの介入は、第二次大戦後、人道的理由によって小さな国のために西側の軍事同盟が戦うと決定した数少ない事例だ」と語った。


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