東ティモールニュース
1999年1月

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12月28日
LUSA
 ポルトガル法正義協会のアントニオ・マリア・ペレイラ議長は、12月26日(土)、スハルトの引き渡し要求に関する報告書が最高裁の顧問(counselor)であるフィッシャー・ノゲイラ氏によって作成されたとLUSAに語った。この報告書は1月半ばに同協会の承認をへて、クーニャ・ロドリゲス検事総長に1月中に提出されるはこびとのことだ。ペレイラ議長は、ピノチェトをスペインに引き渡すことからすればスハルトをポルトガルに引き渡すことの方が法的には簡単なはずだ、なぜなら彼はポルトガル領土において犯罪をおかしたからだと述べている。

12月28日
LUSA
 東ティモール民族抵抗評議会(CNRT)のリスボン代表であるロケ・ロドリゲスは、スハルトを人道に対する罪で裁くことに賛成だと語った。

12月30日
Reuters, Jakarta
 インドネシア政府のムラディ法相は、「彼(スハルト)を逮捕しポルトガルのような外国で起訴することは難しいだろう。これはピノチェトの場合とはちがっており、まず彼が国際的な犯罪を犯したかどうかが証明されなければならない」と語った。そしてもし彼が何らかの刑法上の犯罪を犯したということであれば、インドネシアで裁かれるべきだと述べた。

1月4日
AFP
 ある筋によると、アイナロの治安監視ポストの民間人武装兵が、3日(日)、住民投票を求める100人の群衆に向かって発砲した結果、2人が死亡、5人が負傷した。
 インドネシア軍によると、住民投票派の住民による自治派に対する迫害・いやがらせがひどく、家を焼くなどしており、自治派住民は軍の支援をえて武装せざるをえなくなった。民間武装グループは最近5つの監視ポストをつくったため、住民投票派をいらだたせていた。

1月5日
LUSA
 東ティモール民族解放軍(ファリンティル)のレレ・アナン・ティムール副司令官が、シャナナが住民投票まで暫定期間をおくことに賛成したことを裏切りと批判したことを、今度は、東ティモール民族抵抗評議会(CNRT)のディリ・コーディネーターであるレアンドロ・イサアクが非難した。
 レレ・アナン・ティムールは手紙の中で批判を書き、その手紙をリスボンにいる「ティモール社会党」(PST)が発表して、内容が明るみに出た。 一方、ジョゼ・ラモス・ホルタはシャナナとファリンティルの間には意見の違いはないはずだとして、この手紙のオーセンティシティ(本当に彼のものかどうか)が疑わしいと述べている。

1月6日
LUSA, Lisbon
 ジャカルタのオランダ大使館に置かれるポルトガルの利益代表部には、1月15日までに、アナ・ゴメスがその代表として派遣される。スタッフは2人でもう一人はアフォンソ・マリェイロ。
 一方、インドネシアの利益代表部も1月15日までに着任の予定。リスボンのタイ大使館に設置され、イシャル・ジェニー、アリス・ハヴァス・ウグロソノの二人が派遣される。

1月6日
AAP Newsfeed, Canberra
 SBS World Newsは、ゲリラの拠点で撮影されたビデオテープにおさめられたアラスでの虐殺事件に関する証言を放送した。ビデオはひそかに持ち出された。
 ある人はSBSに対して「われわれはアラスで虐殺があったのでファヒニアンに向かって逃げた。ファヒニアンで、軍が人々を刺し殺したと聞いた」と語った。この人は身元を明らかにしていない。
 またルイス・デ・ファティマ・ソアレスは、彼の養子と義理の兄弟が殺され、彼自身もインドネシア軍第315大隊の兵士に殴られ蹴られて歩けなくなっていると語った。
 さらにオラナ村のある男性は、何も挑発などしていないのに殴られたと語った。「彼らは私を二度殴った。顔をひっぱたいた。銃の台じりでも殴った」と語った。 SBSはフランシスコ・シャビエルという24才の東ティモール人の拷問され身体を傷つけられた写真を放送した。彼のつめははがされ、舌が切られたという。
 ベロ司教はアラスで40人以上が殺されたと語ったと報道されている。 ジョゼ・ラモス・ホルタは、東ティモール全体で日々起きていると語った
。 先月、オーストラリアの大使館付き武官(ミリタリー・アタッシェ)は東ティモールを訪問したがアラスへは許可されなかった。彼によれば虐殺については肯定するにも否定するにも証拠が不十分だ、しかし数名の村人が殺され、家が焼かれたことはわかったということだ。

1月4日
プブリコ紙(ポルトガルの新聞)
(英訳から)
 ティモール社会党(PST)は昨日、シャナナを裏切り者として非難する内容の東ティモール民族解放軍(ファリンティル)副司令官、レレ・アナン・ティムールの手紙をリスボンで発表した。手紙はシャナナが住民投票をやるまでに10年の暫定自治期間をおくことに賛成した点について、「ファリンティルは司令官によって背後から刺されたと感じる」とのべ、「それはつまり、自治などではなく民族解放のために戦場で死んできた同志たちに対する裏切り行為にあたる」としている。
 ジョゼ・ラモス・ホルタはこの手紙は「おそらくは偽物」であり「無責任な誰かによる趣味の悪い冗談」だと述べた。手紙がPSTに言及していることは「まったく信用を破壊してしまった」、なぜならPSTは東ティモール、インドネシアにおいてまったく代表資格をもたないからだと述べた。
 リスボンのPST代表、アザンコット・デ・メネゼスは、ジョゼ・ラモス・ホルタの非難にこたえ、手紙は本物であり、ホルタ自身がこの司令官を知っているはずだと述べた。

1月4日
AFP, Washington
 米政府は、東ティモール、アチェでの衝突の報道を受けて、インドネシア政府に対し自制を求めた。

1月7日
News Release
Laurie Brereton MP
Shadow Minister for Foreign Affairs, Australia
 本日、豪シャドウ外相のローリー・ブレレトン議員(労働党)は、ハワード政権に対して東ティモールの軍事活動を監視するための国際的な常駐機関を設置することを支持すべきだとの労働党の呼びかけを行った。 昨夜のSBSテレビによるアラスでの事件についての証言によって、効果的な国際的監視の必要性があらためて認識された、とブレレトン議員は語っている。

1月7日
BBC, CNN, Canberra
 オーストラリアのティム・フィッシャー副首相は、アラス事件に関するテレビ報道がSBSによってなされたことを受け、この事件について政府として調査すると述べた。

1月7日
LUSA, Sydney
 マウバラ、マリアナ、ビケケ、アラス、サメなどからインドネシア軍の軍事行動をさけて、約千人の東ティモール人がディリに逃げ込んでいる。ディリから電話でシドニーのLUSAに伝えられた。
 また別な筋からは、600人がビケケの教会に避難しているとの情報もある。統一和解運動のマヌエル・カラスカラォンによると、ディリの彼の家だけでも百人が避難してきたという。

1月7日
LUSA, Lisbon
 東ティモール民族解放軍(ファリンティル)の司令官であるタウル・マタン・ルアクは、別な司令官であるレレ・アナン・ティムールがシャナナを裏切り者として批判したことにふれ、彼はシャナナを支持するとの声明を発表した。

1月7日
ロイター、ジャカルタ
 ジャカルタの匿名希望の人権関係者がロイターに対して、アラスでの出来事は虐殺ではないが、いくつか深刻な事件がおきたのは事実だと語った。この筋によると、6人が殺され、3人が行方不明になっている。その後も軍事行動において2人が殺された。
この筋はまた「危険な状態であり、双方で自制がきかなくなっているとの印象だ」と語っている。

1月7日(木)
The Scotsman
 武器貿易反対キャンペーン(CATT: Campaign Against the Arms Trade)は、昨日、エジンバラ、グラスゴー両大学がもっている20万株以上のGEC (General Electronic Company?)の株を売却するよう呼びかけた。GECはミサイルや通信施設などに利用される広範な種類の危機器を製造しており、ナイジェリア、マレーシア、インドネシアに輸出している。GECはホーク地上攻撃機にthermal imaging equipment(熱造影機?)を供給しているほか、インドネシア空軍に対しコンピューター・モニターと兵器システムをおさめている。
 エジンバラ大学は121,000株、グラスゴー大学は99,000株を所有している。 一方、エジンバラ大学は、資金運用はプロの資金マネージャーに依頼してあり、投資のガイドラインはときどき見直されているが、投資方法についてかえる計画はない、と語っている。
 グラスゴー大学も退職者や学生の利益を守る責任がある、という言い方をしている。 スコットランド学生連合会長のリチャード・ベイカーは、大学は投資と倫理とのバランスをとらなければならないと語っている。

1月8日
AAP, Canberra
 赤十字国際委員会(ICRC)のトニー・ファナー在インドネシア所長は、アラスでは何人かは殺されたが虐殺ではなかったと、今日ABCラジオに語った。 「われわれの知る限りでは、6人がアラス近郊のいくつかの村でいくつかの出来事で殺された。さらに3人が失踪しており、数百人がその地方から避難した。実際何人が死んだのかを言うのはむずかしい」と語った。

1月9日
ジャカルタ・ポスト(インドネシアの英字紙)
 アラタス外相は木曜日、記者たちとの断食明け共食会で、東ティモール自治交渉は4月までに終わることを期待していると語った。また、この第一段階の交渉に続いて「さらにより重要な」段階があり、そこではポルトガルとインドネシアは大きく立場が異なっている、インドネシアは自治を最終解決と見ており住民投票はやらないということだ、と語った。
 記者が自決権について聞くと、アラタス外相は「旧ポルトガル植民地で自決権をもっていたところがどこかあったかね、皆無だ。他のところ(植民地)では誰の目にも明らかなひどいことしかやっていないのに、東ティモールではそれが必要だなんて言っている旧植民地主義国の傲慢さをどうして受け入れなければならないんだ。自決権について言えば、たとえそれは完全ではなかったとしても、東ティモールでは行使された。少なくとも、モザンビークやアンゴラよりはましだった」と感情を爆発させるように答えた。
 外相は、人々は植民地の歴史を忘れてしまっており、インドネシアは悪者にされ、「歴史上最悪の植民地の過去をもつ」ポルトガルは民主主義のチャンピオンに描かれていると嘆いた。
 「君はそれが受け入れられるのかね。私にはできない。受け入れてほしければ別な外務大臣を探すんだね。私はわが民族の歴史的闘争については敏感なんだ、だからわれわれが何に値し、彼らが何に値するかはよくわかっているつもりだ。彼らは何者か。ラモス・ホルタとは何者だ。フリーダム・ファイターなどと自称しているが、実際には自由を求めて闘ったことなどない。植民地主義者に金を払ってもらっているような人間なんて、どういうフリーダム・ファイターなんだ」と激しく非難した。

1月11日(月)
BBC World News
 シャナナが東ティモール人を裏切ったという見解を手紙で書いた東ティモール民族解放軍(ファリンティル)ナンバー2のレレ・アナン・ティムールの発言は個人的なもので、ファリンティルの意見を代表するものではない、とタウル・マタン・ルアク司令官はポルトガルのラジオ放送のインタビューに答えた。 自治移行期間については、タウル・マタン・ルアク司令官は、それはインドネシアとポルトガルの交渉の問題であり、これ以上の発言はしたくない。しかし原則として、私はシャナナの意見に完全に従うものである、と述べた。

1月11日(月)
FORTILOS
 1月10日深夜、FORTILOSは東ティモールのHAK財団(人権団体)からいくつもの事件についての報告を受け取った。バウカウ、アイナロ、ディリ、ボボナロ、リキサなどで起きている事件は類似しており、「戦争のティモール化」が計られていることを示している。
 スアラ・ティモール・ティムール紙において、第9管区司令官は、統合を防衛するためにインドネシア国軍が武装させている統合派グループが行動していることを認めている。

準軍組織、東ティモールの西部で再び活動

 1月10日夕方、30人ほどの負傷した人々(全員男性)がリキサ県のマウバラからディリのCNRT事務所に保護をもとめて避難してきた。彼らは143大隊の支援をうけた準軍組織に襲撃されたと語っている。
 準軍組織は突然村を襲撃し、家屋を破壊し、家畜を略奪し、男性を見つけるとつかまえて拷問した。
 ある避難してきた農民によると、村が襲われたとき、彼は家にいたが、突然集団が家に入ってきて彼をひきずりだし、殴る蹴るの暴行をはたらいた。フレテリンの支援者と非難されたという。
 別な村からの避難民(教師)は、どうして村人が拷問されなければならないのかわけを聞くと、頭を殴られた。さらに143大隊の兵士の前に連れていかれ、今度はチェーンソーで殴られた。
 リキサの町へ逃げて現地の軍司令部に保護を求めた者もいたが、統合に反対すればそういう目にあうことになる、などと相手にされなかった。 治安当局から守ってもらえないとなって、人々はディリのCNRTの事務所に逃げてきた。重傷をおってディリ病院で手当を受けている者もいる。 ある情報によると、襲撃を行ったグループはみなバトゥボロ村の主審だという。この村はレオネト・マルティンスという県長の出身村であり、この村の住民はみなガダパクシという準軍組織のメンバーだった。
 同様の事態はカイラコ、アタバイ、ボボナロなどでも起きており、これらの事件は軍が行っている住民扇動作戦「微笑作戦」の結果にほかならない。バウカウでおきた OjectilとCNRTのあいだのけんか、アイナロ、ディリ、ボボナロ、リキサでのけんかもまたこの作戦によるものである。
 このことはしばらく前に第9管区司令官が、統合を防衛するため統合派の武装グループが動いていることを認めたことによっても、想像できる。

FORTILOS
Forum Solidaritas Untuk Rakyat Timor Timur Jl. Siaga II No.31, Pejaten Barat, Jakarta 12510 Telp. (021)79192763
Fax. (021)79192519
e-mail: fortilos@indo.net.id
 

1月11日
LUSA, Lisbon
 かつてのフレテリンのリーダーで現在リスボン在住のアビリオ・アラウジョは、オーストラリアとインドネシアを訪問し、ダウナー豪外相、ハビビ首相、アラタス外相、ウィラント国防相と今月後半、会見する予定であると語った。インドネシアでは国際戦略研究所のセミナーに参加する予定。
 また彼は民族主義的・社会民主主義的な東ティモールの新政党を結成する用意をしているとも語った。

注:アビリオ・アラウジョはかつてはフレテリンの海外代表部部長(在リスボン)として、ジョゼ・ラモス・ホルタと並ぶ、独立運動の中心的指導者であったが、のちに併合を認めるような発言を続けインドネシア政府と協調することが多くなって、フレテリンを追放された。スハルトなどとも会見し、東ティモールに投資するなど経済的権益を手に入れたと言われている。
 一方で、フレテリンの当初よりの理論的メンバーであり、社会主義の理論家であったとされる。ジョゼ・ラモス・ホルタ、シャナナとは個人的な確執もあってしばしば対立してきた。

1月12日
ABC
 オーストラリアのダウナー外相は、オーストラリア政府は東ティモール問題について政策変更を行い、インドネシア政府に対し、自決権の行使をうながすことにしたと発表した。外相はこの転換を「歴史的」なものと述べた。
 しかし、オーストラリア政府は東ティモールの独立には断固として反対する。
 ジョゼ・ラモス・ホルタはこの転換を歓迎しながらも、オーストラリア政府のいう自決権とはいったい何なのか、さらなる説明が必要だとコメントした。 UDTも歓迎しながらも、独立を許さないというのはきわめてインドネシア的な立場であり、オーストラリア政府はインドネシアの立場に屈したのかどうか、見極める必要があるとの声明を発表した。
 また労働党のシャドー外相であるローリー・ブレレトン議員は、まずハワード政権は自決権で何を意味しているのかはっきりさせるべきである、いずれにせよ東ティモール人が自由にその未来を決定できないとなると自決権の行使とはいえないと述べた。また、ティモール・ギャップについての立場もはっきりさせないといけないと述べた。

1月12日
LUSA, Lisbon
 リスボンのティモール社会党(PST)は、月曜日(11日)、アイナロでのインドネシア軍の作戦において少なくとも4人の東ティモール人民間人が死亡したと発表した。
 そのうちJulieta da Costaは子どもを産んだ直後、1月3日に銃で撃たれた傷がもとで死亡した。他の3人はRenaldo Laktus, Julio, Mauricioである。他にも5人が負傷した。
 同党は犠牲者の写真をもっており、国連、アムネスティ、ポルトガル政府に送るつもりだと述べている。
 また同党は、ポルトガル政府がインドネシアに利益代表部を設置したことを「偽善的」だと非難した。

1月12日
LUSA, Sydney
 11日、ディリの州議会の外で、数十人がアビリオ・ソアレス州知事の解任を求めてデモを行った。彼らはマリオ・カラスカラォンの再就任を求めた。治安当局は2時間のデモのあいだ、介入しなかった。

1月12日
Sydney Morning Herald, Jakarta
 インドネシア軍はディリに避難してきた難民たちを故郷に送還する計画だが、難民たちは軍が武装した統合派住民をおそれて帰ろうとしない。
 国内人権委員会ディリ事務所長は、明日、100人ぐらいを送還すると語った。その際、安全を保証すると。
 しかし同人権委員会の現地代表のひとりであるフロレンティノ・サルメントは、そうした約束が緊張の高まっている現状において通用するかどうか疑問だと述べている。
 またリキサ県から逃れてきた300人はマリオ・カラスカラォン元州知事の家に避難しているが、故郷には帰りたくないと言っている。 民間人を武装させて軍の治安管理を手伝わせるというのはインドネシア国軍の政策となっている。
 サルメントによると、すでに数百人が軍にリクルートされ長い刀(ナイフ)やパチンコといった伝統的武器を与えられている。「軍はこうした準軍組織と住民との間を一種の戦争にしたてて、介入する口実にしようとしている」と彼は言う。 難民のひとりサントスは、村には帰るなと脅されており帰りたくない、自分の村の近くでは8人が負傷したと電話で語った。

1月8日
Radio Renescenca, Lisbon
 「東ティモール民族和解統一運動」のリーダーで、マリオ・カラスカラォン元州知事の実兄でもあるマヌエル・カラスカラォン(元州議会議員)は、インドネシア軍は統合派の住民に12000個の武器を与えて武装させており、これによって内戦の可能性があると指摘した。ふつうの住民は無防備だが、準軍組織の攻撃には抵抗せざるをえないからであると。

1月12日
AAP Newsfeed, Adelaide
 ダウナー外相は自決権行使のあり方について考えを明らかにした。それによると、問題はインドネシア側によって解決がなされるべきであり、インドネシア側が、一定の自治期間をおいたのち、将来のある時点で、何らかの自決権行使の行為を東ティモール人に許すというかたちが望ましいということだ。
 ダウナー外相は、東ティモール人が今のインドネシアの自治提案に反応しないのは、それが最終解決案として出されているからだと述べた。 また外相は、今直ちに自決権行使に移るのは内戦の危険性があり、そこが(今回の提案の)主旨なのだと語った。
 外相はさらに、オーストラリア政府は東ティモールがインドネシア領として残ることを望んでいるが、東ティモール人が自治期間ののちに独立を望んだとしたら、それは支持されなければならないということだと述べた。東ティモールの独立はわれわれの望むところではないけれども、それを決めるのは東ティモール人とインドネシア人だ、と。
 外相は、インドネシア軍の撤退問題については、全面撤退を求めることはないとしながらも、駐留軍は非常に多く、削減すべきだと言い続けてきたと語った。

1月12日
Deutsche Presse-Agentur
 豪政府の東ティモール政策変更の発表を受けて、インドネシア外務省のガファル・ファディル報道官は、今回の政策変更は「実質的な」変更であり、ポルトガル・インドネシア交渉にも影響を与えるとして、深く憂慮しているとのコメントを発表した。 またアクバル・タンジュンゴルカル総裁は独立など議論したことはないと述べ、ムラディ法相もインドネシアが考えているのは「単なるふつうの自治」にすぎないと述べた。

1月13日
Sydney Morning Herald
But still we pander to Jakarta
by Hamish MacDonald

[ヘミシュ・マクドナルドはかつてのジャカルタ特派員で『スハルトのインドネシア』という本を書いて有名になった。本はサイマルから日本語訳が出版されており、東ティモールについての章もある。今回のオーストラリア政府の政策変更についてのかなり辛口の論評を書いている。]

それでもわれわれはインドネシア政府に(阿漕な)ブローカーをしている

 アレキサンダー・ダウナーはインドネシア人と底知れぬダブル・ゲームを演じているのだろうか。東ティモールがインドネシアの中での自治という枠組みを受け入れるだろうとの期待をいだかせつつ、自決権行使を認めるようインドネシア政府を説得しているつもりだろうか。あるいは、こうした煙幕の背後で、オーストラリア政府は、 10万人もの死者をだし、軍の撤退が茶番だったという事態ののちに、ティモール人がインドネシアから離脱するという選択肢を含まない解決策に賛成するはずがないことを理解したのだろうか。
 しばらく考えると、やはり答えはNOである。この段階になってすら、ダウナー氏は、住民投票が自決権行使の唯一の方法ではないなどと言い、インドネシア政府に手続きを裏操作する余地を与えている。
 インドネシアの作戦当局は、オランダ領ニューギニアにおける1969年の自由選択行為、1974-76年の東ティモールの統合過程のマニュアルを見直して、いかに「伝統的な協議と合議」(つまりは圧力と収賄による)によって欲しい結果を手にしてきたかを理解することだろう。
 インドネシア政府になんとかまっとうなことをさせようと画策しているというよりは、外務通商省は、この20年間やってきたように、自ら進んでインドネシア政府の広告会社になっているようである。
 外務通商省の官僚は、退職と同時に、何の苦労もせず、コンサルト会社に再就職し、ビジネスマンをインドネシアの役人たちへとつなぐ仕事をしつづけるだろう。 ある一人の役人は、退職の時にスハルトからゴングを寄贈されている。(省の規則では、現役中は外国の装飾品・勲章を受け取ることを禁じている。)
 外務通商省の最近の行動で「歴史的」な転換といえるようなものは何もない。例えば、バリボ殺害事件についての新情報をトム・シャーマン氏に回送したことも、アラスでの虐殺疑惑に対し大使館付き武官を派遣したことも、ティモールにおける最近の軍事行動に沈黙を保っていることも。
 ダウナー氏のひかえめな目標についてすら、インドネシア政府はもっと強く圧力をかけなければ今の立場から動かないだろう。
 これまでのところ、ハビビ政権は自治を最終解決案として承諾するよう東ティモール人諸派の賛同をとりつけようとしている。 現実は、インドネシア自身における真の意味で歴史的といえるほどの改革がなされない限り、自治の提案は何ものをも意味しない。
 例えば、インドネシア国軍は、それによって政治に口出しできた二重機能を廃止しなければならないだろう。
 独立の可能性をただちに否定するよりも、政策の再考過程も秘密だったし説明されてもいないわけだから、ダウナー氏は彼の省やNational Assessments and Defence Intelligence Organisationの(諜報機関?)に、その考えを議会ないしは国民に対して説明させた方がいいのではないか。
 来月、上院の防衛・外交・通商委員会で始まる東ティモールについてのオーストラリアの政策についての審議は、長く待たれた議論の理想的な場を提供するものとなろう。
 野党ですら、その外務関係スポークスパーソンであるローリー・ブレレトンを通じて、困難に立ち向かい、労働党の過去のティモール政策と一線を画す意思を表明した。
 どうして彼らは、東ティモールを手放すことがインドネシアの解体につながると考えるのだろうか。
 どうして、とりわけ冷戦終結後、オーストラリアはその北の領海線上にもうひとつの貧困な国がうまれたとして、それを気にする必要があるだろうか。そんなのはすでにたくさんあるではないか。
 それにしてもすべての中でもっとも惨めなこと。それはアデレード出身の志操堅固なリベラルであるアレキサンダー・ダウナーが、ウィットラム政権の最大のそしてもっとも悲劇的な政策の失敗を、忠実に強化しているのだろうか、ということだ。//インドネシア・東ティモール//

1月13日
Indonesian Observer
 ジャカルタを訪問した8人の米議員は、ハビビ大統領と会見し、今年の総選挙が成功に終わるように援助をしたい、東ティモールについては国連の枠組みを支持しており、すべての当事者にとって受け入れ可能なものを支援したいと語った。

1月13日
LUSA, Strasbourg
 欧州議会内の「東ティモール人民との連帯のためのグループ間コーディネーター」であるフィンランドの議員、ヘイディ・ハウタラ氏のもとにとどいた1月8日付けのインドネシア政府の書簡は、彼らの希望している東ティモール訪問は交渉に悪影響を与えるかも知れないので歓迎しない、との内容だった。

1月13日
Reuters
 13日(水)、3人の米議員が獄中のシャナナと面会した。Doug Bereuter議員は、シャナナの釈放は人道的見地から重要だと述べた。同議員はネブラスカ選出の共和党議員で、下院のアジア太平洋委員会の委員長をしており、米議会は、東ティモール人、インドネシア、ポルトガルによって決定されるいかなる解決策をも支持すると語った。
 「われわれにはこれといった処方箋はなく、米国の解決策というものはない。ジャムシード・マーカー特使がこれら3者の間の合意を成功裡に達成することを望んでいる」と同議員は語った。

12日の豪政府の政策変更に対する各方面の反応をひろってみました。

東ティモール民族抵抗評議会総裁、シャナナ・グスマォン(獄中)
 これを祝うためにパーティーなどはしないだろう。ハビビ政権にはまったく信頼をおいていない。(政策の)変化は前向きだと考える。しかし歴史的に、オーストラリア政府とオーストラリア国民は東ティモール人に大きな負債をおっている。第二次大戦中、連合軍をたすけたことで多くの、実に多くの人々が死んだ。(政策の)変化はいいことだ。過去のオーストラリアの政権の政治的罪を消すことができるだろう、しかしオーストラリアは、東ティモールについての国際社会の意見をリードしているのではなく、うしろからついていっているだけだ。
 ハビビ政権との間に和平協定が結ばれることについては悲観的だ。何も確実なことはない。5年から15年間の自治期間というものを住民投票の前におくと私は言った。しかしこれだってまだ一個の考えにすぎない。私は自治をまだむしろ疑いの目で見ている。もし自治を勝ち取ってそれでも東ティモール人にとって状況がよくならなければ、独立をえるまで闘い続けるだろう。
 (インドネシア)軍は独立支持者と民間の準軍組織との内戦を作り出そうなどとすべきではない。オーストラリアの政策変更は、独立運動そのものにはほとんど影響を与えないだろう。単なる東ティモールの地位に関する国際社会の態度の流れを反映したもの、と考える。(Sydney Morning Herald, Jan 13, 1999)

東ティモール民族抵抗評議会副総裁、ジョゼ・ラモス・ホルタ
 古いすでに発表された政策を変えるのは、勇気とビジョンと政治家としての力量を必要とする。オーストラリア国民がもつ価値観とも、人間の自由と尊厳という価値ともより一致する新しい政策を決定したハワード首相とダウナー外相に賛辞を送りたい。今や、東ティモール人とオーストラリア政府は、不一致よりも一致点の方を多く共有することとなった。(Press release, Jan 12, 1999) 長年のうちで初めて同じ波長の上にのったとでも言おうか。(International Herald Tribune, Jan 13, 1999)
 
UDT総裁、ジョアォン・カラスカラォン
 オーストラリアの新政策はインドネシアの最近の立場の「カーボンコピー」(まったくの写し)に過ぎない。またしても人権より貿易を優先するという政策だ。(ABC, Jan 13, 1999)

元東ティモール州知事、マリオ・カラスカラォン
 オーストラリアが提案しているようなあらゆる住民投票の提案も歓迎する。ただし東ティモールがインドネシアの一部だということを認めた上でなされなければならない。また住民投票は近い将来に行うべきではない。東ティモール人がインドネシア人に対する憎しみの感情から自由になるのには時間がかかるだろう。インドネシア政府は東ティモール人に対して「インドネシアなしではやっていけないのだ」ということに気づくよう努力すべきだ。(Indonesian Observer, Jan 13, 1999)

(同じく)
オーストラリアの新しい立場は住民投票を求める人々の立場を助け、インドネシアに決定をせまるものとなるだろう。(South China Morning Post, Jan 13, 1999)

(同じく)
オーストラリアのかつての立場は不道徳なものだった。オーストラリアは自決権が行使されなかったことを知っていたが、そうした立場をとっていた。日和見主義的で不道徳な立場だった。(South China Morning Post, Jan 13, 1999)

インドネシア外務省報道官、ガファル・ファディル 今回の政策変更は実質的な変更であり、ポルトガル・インドネシア交渉にも影響を与えるもので、遺憾だ。(Deutsche Presse-Agentur, Jan 12, 1999)

インドネシア政府国家官房長官、アクバル・タンジュン この問題(独立の可能性)を論じるつもりはない。(International Herald Tribune, Jan 13, 1999)

ゴルカル会派副議長、ハサン・シャドジリ
 政策変更は同州の問題をややこしくすることをねらった挑発的な行動で遺憾だ。オーストラリアはむしろ現在進行している国連特使ジャムシード・マーカー氏のアプローチを支援すべきだった。インドネシア・ポルトガル・国連の3者会談による受け入れ可能な解決を模索するというのがそれだ。(Indonesian Observer, Jan 13, 1999)

インドネシア科学院研究員、インドリア・サメゴ
 政策変更はオーストラリア国内のロビーグループの歓心をかうため、彼らに聞かせる目的でなされた。しかし交渉での二国間関係に損害を与えるものであり、私はその影響に楽観的ではない。(South China Morning Post, Jan 13, 1999)

ポルトガル政府(外務省コミュニケ)
 前向きの変化として歓迎する。重要な決定だった。(LUSA, Jan 13, 1999)[12日に発表]

オーストラリア国立大学教授、ハロルド・クロウチ(インドネシア政治)
 それは変更ではあるが、単なる現状追認である。インドネシア人自身が立場を引いているときに、オーストラリアが何も変化がありえないと言うことはばかげている。(Reuters, Jan 12, 1999, Canberra)

マードック大学アジアセンター所長、リチャード・ロビソン(インドネシア経済)
 オーストラリアは東ティモールについてのインドネシアの主張を支持している唯一の西側国だと見られたくないのだ。(Reuters, Jan 12, 1999, Canberra)

オーストラリア政府元東ティモール総領事、ジェームズ・ダン
 大きな転換である。しかし政府部内には東ティモールの独立に強く反対する部分がある。それは政府が自決権を支持するという立場を表明するのと矛盾しており、いやがらせですらある。自決とは、単に何らかの選択を行うことではなくて、何らかの選択を自由に行うということだ。今ではインドネシアのポスト・スハルトの政治家たちも、東ティモールの独立は受け入れられると考えている。彼らは、インドネシア軍の行っていることに対して批判的で、その点は東ティモール人と気持ちをひとつにしている。
 オーストラリアの新政策はオーストラリアが役割を果たせる新たな道を開いたといえる。しかしその道は決して簡単なものではない。東ティモールの状況を沈める重要なポイントは、インドネシア軍の削減と国連の常駐である。(Sydney Morning Herald, Jan 13, 1999)

1月13日
Solid-Net
 ソリダモルはジョゼ・ラモス・ホルタの著作『Funu』の翻訳を発表し、討論会を開いた。スピーカーはかつてのフレテリン党首、フランシスコ・シャビエル・ド・アマラル(インドネシアに捕まった)、オド・レネ・マシュー・マヌフトゥ(外務省)、トリ・アグス(ソリダモル)。約150人が参加した。

1月14日
LUSA
 ポルトガルとインドネシアの利益代表部は1月30日に開かれることになった。

1月14日
Antara, Dili
 地方行政官であるラジャカリナ・ブラフマナは、14日東ティモール州議会で、東ティモール州政府がインドネシアの外交を支援するため若干名の東ティモール人を海外の会議などに派遣したことを明らかにした。

1月11日
Publico(ポルトガルの新聞)
 レレ・アナン・ティムール司令官は、シャナナ批判を撤回する2通目の書簡をリスボンに送ってきた。昨日発表されたその書簡は、「わがファリンティル司令官がハビビの提案する『特別な』自治を愚かにも支援することはないと信ずる」と書いている。さらにレレ司令官は国連が1月7日に行った東ティモール人指導者に対するアンケートにシャナナが答えたものを見て、初めてシャナナの真の考えを知った、シャナナを批判したのはその前のことであると書いている。

1月14日
ソリダモル
[ソリダモルはアラスの女性から要請文を受け取った。要請文には日付がないが、ソリダモルが受け取ったのは14日午後。]
 アラスでの事件ではファリンティルがインドネシア軍を攻撃し、何人かの死者を出した。インドネシア軍は突然やみくもに報復を行い始めた。武器をもたない私たちを襲撃した。男たちはファリンティルと森に逃げたが、逃げ遅れた男たちに対しては、腕を折るなどの拷問をした。それで働けなくなっている。またインドネシア軍は家を焼き、飼っている鶏、馬、豚、作物なども焼いた。
 今では女、子ども、(拷問され)障害者となった男が村に残り、監視されていて、以前のように(農作業などの)仕事もできない。ソリダモルに次のことを要請したい。
 1)インドネシア軍指導部にアラスでのあらゆる暴力行為をやめるよう要請してほしい。
 2)インドネシア政府に対して東ティモール人への武器提供をやめるよう要請してほしい。
 3)国連に対して、アラスに人を派遣し直接に実状をみるよう要請してほしい。すでに安定しているなどと報道されていると聞いているが、実際にはまだインドネシア軍によって生命の危険にさらされている。

アラスの女たちの名において
Etelvina と Vicentina


1月14日
Press Release
 さる1月12日、米カリフォルニア州バークレー市の市会(市参事会?)は、賛成8、反対0、棄権1によって、選択購買投資政策に関する法律の最終文案を承認した。 バークレー市は1998年に、インドネシアと東ティモールに対する選択購買投資を法制化する意図を表明していた。その後、市の司法局が今回採択された「統一選択購買政策」のイニシャティブをとって進めていた。
 今回の統一選択購買政策の採用とともに5つの決議も採択され、その最後に、インドネシアと東ティモールを抑圧がある国家のリストに追加するとの決議がある。 さらに選択購買政策においては、非営利のコミュニティー組織、人道的組織、フェアー・トレード事業などが除外される。

1月15日
LUSA
 1月14日、ストラスブールの欧州議会はインドネシアと東ティモールについての決議を賛成多数で採択した。決議はアラスにおけるインドネシア軍の犯罪についての速やかな調査を国連の傘のもとで行うこと、インドネシア軍の撤退、東ティモール人政治囚の釈放を求めている。

1月15日
LUSA
 赤十字国際委員会会長のcオルネリオ・ソマルガ氏が来月中頃に東ティモールを訪問する。ポルトガルのガマ外相との会見ののちに発表した。

1月15日
LUSA
 アビリオ・ソアレス州知事の解任を求める25人の東ティモールの伝統的指導者の署名が、14日、州議会議長に送付された。グループのひとりゴンサルベス氏は「統一和解運動」のメンバーであり、署名者の中には13人のリウライがいると言っている。請願はマリオ・カラスカラォン氏を新たな州知事として提案している。

1月13日
AAP, Adelaide(オーストラリア)
 「自由東ティモールのためのオーストラリア連合」(市民団体)のスポークスパーソン、アンディ・アロック氏は、自決権のすみやかな行使が内戦を導くとのダウナー外相の発言を批判した。「オーストラリアは(これまでの軍の)犯罪行為に責任のある政府を外交的、軍事的に支援してきた。外相はそれを考えていない」 アロック氏は国連が現地の人権状況をモニターするよう呼びかけた。

1月13日、
AAP, Adelaide
 アデレードの聖公会イアン・ジョージ大司教は、政策変更を歓迎するとの書簡をハワード首相に送った。

1月14日(?)
米国務省記者会見、ワシントン
 オーストラリア・フィナンシャル・タイムズ記者が豪政府の政策変更について米政府の態度を聞いたところ、スタンレー・ロスアジア太平洋担当国務次官補は次のように答えた。

(ロス)オーストラリアの決定はあなたが描いたよりはるかによりニュアンスにとんだものだと私は理解している。つまり、段階に応じて調整していくという性格の決定であり、自治を一定の期間行った後に、それもまだ内容が決まっていないが、インドネシアの領土的一体性を尊敬しながら何らかの自決権行使があるべきだ、というものだ。したがっていろんな問題がまだ複雑にからんでおり、単純な解決になるということではない。
 米国の立場からすれば、われわれは、コフィ・アナンの代理であるマーカー特使のもとで行われている国連が主催する交渉を重視するというものだ。われわれは、いろんな人間があれこれの提案でもって交渉過程に入ってくることは望まない。当事者が納得のいく合意に達するようにすべきであり、その結果はわれわれにも受け入れ可能なものだ。
 したがって現時点では、われわれは交渉過程を注視しているとうことで、今年中にマーカー特使が何らかの合意に達することができることを期待しよう。

1月16日
ジャカルタポスト
 16日付けの英字紙ジャカルタポストが、総選挙についてのインドネシア大学の世論調査を掲載しました。これによると、浮動票が少なくとも4割を占めています。「答えられない」のうち相当な部分も浮動票と見るならば、国民の半数が浮動票ということです。
 人気の党はメガワティの闘争民主党ですが、以前ほど熱い支持がないようです。だからといってアミン・ライスの神託党はゴルカル以下に転落。メガワティと連立を組む可能性が最も高かった覚醒党は相当落ち込みました。 ということは、メガワティの闘争民主党を中心に、信託党、覚醒党をともに巻き込んだ連立でしょうか?それとも闘争民主党とゴルカルの連立? いずれにせよ、行方を決めるのは浮動票のようです。浮動票は闘争民主党か信託党に行くような気がしますが。

Jakarta Post
Saturday, January 16, 1999

What People Say About the 1999 Polls

JAKARTA (JP): The following are tables from an opinion poll jointly conducted by the
School of Social and Political Sciences of the University of Indonesia and the Soegeng Sarjadi Syndicated, to accompany a story which appears on the Front Page.

* If we had an election today, for which party you vote?:
44.38 % -- Don't know
16.02 % -- Can't respond
39.60 % -- Other (see table below)

Total respondents: 4,925
15.83 % -- The party under Megawati
5.11 % -- Golkar
4.34 % -- I would not vote
4.28 % -- The Party under Amien Rais
3.35 % -- The United Development Party
2.57 % -- I would look at their platform first 1.50 % -- The party under the NU banner
0.91 % -- It's confidential
0.58 % -- The Crescent and Star Party
0.32 % -- PDI under Soerjadi
0.30 % -- PUDI under Sri Bintang
0.26 % -- The part representing my religion 0.08 % -- Depends on the party leaders
0.04 % -- The Chinese Party
0.04 % -- I would form my own party
0.02 % -- SUNI Party

* What would be the ideal number of parties contesting the election?
0.97 % -- One party
3.01 % -- Two parties
31.70 % -- Three parties
59.94 % -- 4-10 parties
0.87 % -- Up to the government
0.14 % -- We don't need a party
3.21 % -- I don't know
1.16 % -- I can't answer

* Do you think parties should be barred from using religion as their basis?
71.13 % -- I agree
18.46 % -- I disagree
10.42 % -- I don't know

* What is the main drawing factor in choosing which party to vote for?
17.71 % -- The leadership figure
53.50 % -- The party's program
10.80 % -- The party's ideology
8.35 % -- The widespread support
2.23 % -- The established party
1.12 % -- I'm now drown to any party
0.12 % -- Depends on the situation
0.75 % -- Follows the crowd
0.16 % -- Which ever party I like
3.53 % -- I don't know
1.73 % -- I can't respond

* Could Golkar win the election?
2.09 % -- Very possible
19.15 % -- It's possible
19.25 % -- Doubtful
33.60 % -- Not likely
20.77 % -- I don't know
5.14 % -- I can't respond
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1月16日
Sydney Morning Herald

 東ティモールが独立したらインドネシアはバルカン化する(またはユーゴ化する)という言説は、インドネシアが東ティモールの独立を阻もうとする宣伝であるが、インドネシア人有識者の中にもこれを否定する人は少なくない。
 元駐米大使のハスナン・ハビブ将軍は、「インドネシアはそれほど壊れやすくはない。24年間、東ティモールはわれわれとともにあって、政府は重大な過ちをおかしたようだ。結局、彼らの気持ちをこちらに向けさせることができなかったのだ。東ティモール人がインドネシア人だと感じるのを期待するのは無理だ。そう強制もできない。問題はもし中央政府がひとつの州の独立を認めればそれが拡大するという間違った認識があることだ」と語った。
 ハビブ将軍はかつてはインドネシア政府の東ティモール政策を米政府に説得する役目をもっていた人物である。
 政治学者のアルビ・サニットは「必ずしも(インドネシアの)解体がおこるとは限らない。東ティモールはオランダ領ではなく、かなりあとになって統合された。(東ティモールの独立運動は)かなりな国際的支援があるが、他の州はそれはない」と語った。
 アミン・ライスが住民投票を約束したことは知られているが、メガワティ派のスポークスパーソンは、東ティモールは彼女の「ひとつのインドネシア」のプラットフォーム(政策チーム)から除外されるかも知れないと述べている。曰く、「歴史的に、東ティモールの問題はちがっており、その州では相当な人権侵害があった。したがって24年たった今、憲法の理念(国民的統一)が実現していないと言える」と。
 アチェについては、アチェ人学者であるフムム・ハミッドは「アチェは東ティモールとはちがう。われわれはインドネシアのオランダからの独立のために闘った。われわれはその貢献を誇りに思っている。われわれの関心は正義であって、分離(独立)ではない」と語っている。 

1月14日
ジャカルタ・ポスト[社説]
 ダウナー豪外相が東ティモールに関する政策変更を「歴史的」と評したのはおそらく正しい。
 結局のところ、歴代の豪政権は、インドネシア軍が1975年末にこのポルトガル植民地に上陸したときから、ずっとインドネシアのその地に対する主権を認めてきた。 しかし実際には、今回の豪政府の政策変更はずっと以前より予想されていたものだ。誰にとっても悲しいことに、インドネシアは20年以上にわたって東ティモールにいたが、住民に約束した福祉をもたらすことに失敗した。 政府は統合に反対する現地勢力はほとんどなきに等しくなったと繰り返し述べたが、ジャカルタの新聞には政府軍と反乱軍との衝突が絶えることなく伝えられた。兵士と現地民間人、あるいは現地の人々と移民たちの衝突もたえなかった。
 大きな物質的進歩があったことは否定しえない事実だとしても、これらのことから、われわれは東ティモールでは何かがおかしいという事実にもっと目を向けるべきであっただろう。専門家やウォッチャーたちは長年にわたって、やんわりとした表現ではあるが、政府の注意を喚起しようとこうした問題を提起し続けてきた。 過去2、3年、いわゆる文化的アプローチが多少はなされてきたと思われるが、政府の態度はほとんど変わらなかった。スハルトが5月に引退した後はじめて真の意味ある政策転換が始まったのである。それはこの州に特別な自治を与え、軍を撤退させるということだった。
 一方、外の世界の価値観や思想は変わっていた。国際的な行動規範の変化は、われわれが住むこの世界の動き方、心理に多大な影響を与えた。普遍的な人道的原則がますます受け入れられるようになり、環境、民主主義、人権といった問題が国際社会の良心を動かすようになった。そしてどの政府も団体もそれを無視することはできなくなった。
 悲しいことに、インドネシアはこうした発展に無頓着だった。スハルトが引退し、改革の新たな時代がやってきてはじめて、野蛮な軍事力は、結局、抵抗する地域を治めるのに最も効果的な手段ではないということに気づき始めた。
 現在の情勢でインドネシアが期待できることは、その自覚化が過去の20年間に行きすぎた武力によってもたらされた損害を償うのに遅すぎないことだろう。インドネシアにとっては、明らかに、最善の解決策は東ティモールが統合を受け入れることである。しかしそれは武力で達成されてはならない。ますます多くのグループが住民投票がおそらく永続的平和を達成する唯一の解決策だろうということに気づき始めており、政府は与えた損害の修復に誠実な努力を傾けるのがいいだろう。
 また東ティモール問題は、政府、とりわけ軍に、同様の問題がこの国の別なところでおきた場合、武力ではなく、知恵をこそ使うべきであり、問題をじゅうたんの下に隠したりせず、オープンに解決されるべきだという、よき教訓となるだろう。 

December 1998
Matebian News
[Matebian Newsは、シドニーを拠点とする東ティモール救援協会(ETRA)が出す月刊ニュースレター。東ティモールについての国際的な動向、オーストラリア内での活動紹介が中心。]

ミシェル・ターナー賞
 この賞は『Telling』で東ティモール人が自ら語る東ティモールの思い出や自身の体験を出版した著者ミシェル・ターナー(故人)を記念して今年から始まった。受賞者は次の通り。

 ●青年の部
  ・ノン・フィクション Clare Shea - "The Sorrow of the Silent People: a detailed study of East Timor from Michele Turner's Telling
  ・詩 Clare Shea - "Her East Timor"
 ●一般の部
  ・ノン・フィクション Essays by Wilson
  ・短編 Rowena Lennox - "Going Home"
  ・詩 Judith Steele - "Red Beret"
     Elizabeth Lim Gomes - "Shrine of Remembrance"
 ●特別賞
  ・音楽 1. Hananu Kore A'an and Stephen Taberner - "Freedom"       2. Mary McKillop Singers (Sydney) - "Please Remember East Timor" 
3. Martin Wesley-Smith - "Quito"

  ・ドラマ
  1. Red-Handed Theatre Company - "Stories from the Undergroud"      2. Sidetrack Performing Group and Graham Pitts - "Remembrance Day"

デニス・フレニー東ティモール連帯賞
 この賞はミシェル・ターナーと同じ年になくなったオーストラリア人活動家デニス・フレーニーを記念して創設された。
 ●受賞者 ロブ・ウェスレー・スミス(ダーウィン)

注:
 ウィルソンさんはインドネシアの民主人民党(PRD)の幹部であり、SPRIM(マウベレ人民の闘いに連帯するインドネシア)のリーダーとしてスハルト政権末期、公然と東ティモール人の自決権支持をインドネシア国内でキャンペーンし始めた人です。その後、逮捕され投獄されていましたが、昨年釈放され、今は外で活動しています。彼が獄中からかいたエッセーがインターネットを通じて流れ、多くの人に読まれました。
 音楽部門の1と3についてはCDがあります。1は1500円で、まだ私のところに在庫があります。3はオーストラリアでプロの音楽グループがやっており、海外公演もやっている、ハイレベルな音楽ドラマです。
 ドラマ部門の1は、セノ・グミラ・アジダルマの「証言者」(Saksi Mata)に触発されて作られたものです。「証言者」はすべて東ティモールについての短編からなる短編集で、すでに英訳もでているくらい評価の高い現代インドネシア文学の作品です。ちなみにセノ・グミラ・アジダルマは2月に来日し、19日に東京赤坂の国際交流フォーラムで講演する予定になっています。

1月18日
South China Morning Post
 今週後半、イギリスのテレビ局(チャネル4)が放送する番組で、在ロンドンインドネシア大使館付き武官(ミリタリー・アタッシェ)が、兵士が「時々」拷問をしていると告白しているシーンが放送されることになった。 また武器フェアーに来ているウィジョジョ将軍も「社会の治安を守るために拷問を時々した。それほど広範には行われていないが、時々やらなければならない」などと発言しているのも放送される。
 これらの発言は、マーク・トーマスという記者が広告会社の人間になりすましてインドネシアのイメージ向上をアドバイスするふりをして隠しカメラでとったもの。 インドネシアはこれは詐欺的なやり方でとられたもので、無意味なものだ、軍人たちは広告会社はほとんどゲームに協力してやっているようなもので、何も証明することにはならないとカンカンだ。

Far Eastern Economic Review
1月21日号
Indonesia: Going It Alone
[要点のみ]

 国連交渉の焦点は「特別な地位をともなった自治」の中身だ。この場合、「特別な地位」は東ティモールの自治が州レベルで行われるということだ。議会は東ティモールの政党だけで席を競い、域内の治安は地域で採用した警察が担当する。インドネシア軍は対外的な防衛のために海軍と空軍を残すのみとなる。 これが合意にいたるための鍵は、住民投票の問題をうまくさけながらも、5年から10年の自治ののちに「レビュー」する約束を与えるような言葉使いができるかどうかだ。
 アナリストの間では、現実の動きが国連交渉などというものを吹き飛ばしてしまうかも知れないと見ている。「現地の情勢が決定的になるだろう。われわれは情勢をコントロールできない。仕方がないんだ。東ティモールは2、3年以内に独立するだろう」とあるベテランのインドネシア人外交専門家は言う。
 問題は経済力だ。年間4千億ルピアの東ティモールの予算のうち、地域で調達されているのはたったの80から100億ルピアにすぎない。それだってインドネシアからの投資によってまかなわれている。教師、医者などの専門職はインドネシア人が多く、独立すれば彼らもインドネシアに逃げて帰るだろう。

1月18日
LUSA, Lisbon
 ティモール社会党(PST)は先週リスボンで、インドネシアとの利益代表部相互設置についてポルトガル外務省に問うつもりだと語った。
 同党は、利益代表部設置をインドネシアに対する「許容しがたい譲歩」と見なしている。また、ポルトガル憲法に違反し、インドネシア主権下の東ティモールの自治という計画に向かって一歩進めたもので、ポルトガルはこれによって東ティモールをインドネシアに売り渡そうとしていると非難した。

1月19日
Sydney Morning Herald
Al last, the truth on Timor
by Paul Cleary
 オーストラリア連邦政府は、1974年から76年にかけての東ティモール政策に関する公文書を公開する。この中にはバリボでの記者殺害事件関連のものも含まれる。
 しかし78年のインドネシアの主権正式承認、ティモールギャップ石油関連の文書は公開しない。77−78年はインドネシアの残虐行為が最もひどかった時期でオーストラリアのインテリジェンスは多くの記録をもっていると考えられている。 労働党(野党)の外交スポークスパーソン、ローリー・ブレレトン議員は公文書公開は歓迎だが、フレーザー政権の主権正式承認をチェックできないのは抜け目がなさすぎる、と評した。

1月19日
The Australian
Jakarta to free rebel from jail
by Don Greenlees, Jakarta
 インドネシア政府がシャナナを「自宅軟禁」へと扱いを変える可能性が出てきた。 国連はシャナナを段階的なステップとして自宅軟禁にすることを求めており、ハビビ大統領も「法的な条件が満たされれば」承諾する意向だ。しかしインドネシアにはそうした法律はない。アラタス外相もハビビ大統領との会談の中で自宅軟禁を提案したもよう。
 もし自宅軟禁になれば支援者との連絡がより自由になる。はたしてシャナナがこれを受け入れるかどうかはわかっていない。

1月19日
LUSA, Sydney
 UDT党首、ジョアォン・カラスカラォンによると、シャナナは原則として自宅軟禁を受け入れる考えだということだ。

1月21日
LUSA, Lisbon
 ポルトガルの右派政党「人民党」の青年組織がスハルトの引き渡しを求める署名運動を開始した。署名は検察庁に手渡される予定。

1月21日
Reuters, Jakarta
 インドネシア政府のムラディ法相は、受刑者が刑務所以外で受刑するというのはインドネシアの法律にないとして、シャナナの自宅軟禁への移行を否定した。

1月21日
LUSA, Geneva
 メアリー・ロビンソン国連人権高等弁務官は、人権高等弁務官事務所スタッフのインドネシア派遣がまもなく実現すると語った。現在細かなつめを行っている。「もっとも重要なことはインドネシアの全地域に対してだけではなく、東ティモールについてもアクセスを保証することだ」と彼女は語った。

注:インドネシア政府は国連高等弁務官事務所のスタッフをジャカルタのUNDP事務所に駐在させることで合意している。もともとは東ティモールにスタッフを置きたいというアヤラ・ラッソ元高等弁務官の意向から始まった話だが、インドネシアが抵抗して、ジャカルタに派遣と言うことになった。したがって東ティモールへのアクセスは重要な問題として残されていた。このスタッフは人権状況を監視したりインドネシア政府に勧告したりといった権限はないようで、人権教育、人権行政のアドバイスなどを行うため、多くは期待できないが、インドネシア政府のおひざもとで国際的な人権メカニズムが動き始めるという意義がある。

1月21日
LUSA, Lisbon
 スハルトの人道に対する罪での引き渡しを求める運動を起こしたポルトガルの法と正義協会は、マリオ・ソアレス元大統領を証人として指名すると発表した。もし検察がこれを認めれば、同協会はスハルトの引き渡しを正式に申請する。

注:マリオ・ソアレス(社会党)は大統領の前は外務大臣もつとめており、東ティモール問題との関係も深い。大統領として長くつとめ、国民的大統領と呼ばれた。今はマリオ・ソアレス財団をやっているが、リスボンにある東ティモール資料室(エスパソ・ポル・ティモール)のとなりが事務所。マリオ・ソアレスは独裁政権時代アムネスティの良心の囚人だったこともある。ちなみに、彼の息子は現在リスボン市長。

1月22日
LUSA, Jakarta
 インドネシア外務省ガファル・ファディル報道官は、ハビビ大統領がシャナナを自宅軟禁に移行させる計画であるとの報道を否定した。

1月22日
NOCETI (Norwegian Coordination Council for East Timor and Indonesia) press release
 東ティモール・インドネシアのためのノルウェー調整協議会(支援団体)は、東ティモール人学生活動家、アンテロ・ベネディト・ダ・シルバさんが、学生平和賞を受賞することが決定したと発表した。
 学生平和賞は、設立まもない「トロッドヘイム国際学生フェスティバル」の学生平和賞委員会が決定し、授与する。
 受賞は、彼の東ティモールの独立と民主主義のための非暴力の運動をたたえてのもので、家族を亡くし、また自身への脅迫にも関わらず敢然と闘ってきたとしている。とりわけ、昨年夏に東ティモールで学生たちが推進した「対話集会」運動が高く評価された。アンテロさんはそれをすすめた東ティモール学生協議会のリーダーだった。 推薦者はジョゼ・ラモス・ホルタ、ノーム・チョムスキー、ジョージ・アディチョンドロほか、世界中の多くの東ティモール支援団体。 アンテロさんは3月12日にノルウェーのトロッドヘイムで授賞式に参加する。授賞式には来賓としてシモン・ペレス元イスラエル首相も出席する。 

1月23日
ANTARA/AFP, New York
 ポルトガルとインドネシアの交渉が28日にニューヨークで再開する。

1月23日
The Examiner, Front Page
Terrorist Attack By Hackers Hits Firms
by Caroline O'Doherty
 1月19日夜、Connect Irelandというアイルランドのプロバイダーがハッカーによって攻撃され、3000人の顧客に対するサービスを停止するという被害にあった。 同プロバイダーによれば、同じく約100のアメリカのプロバイダーも同時に狙われており、理由はこれらがみな東ティモールに関するインターネットサービスをしている点にあると見られている。
 ハッカーは少なくとも18人おり、同時に、かつてないほどの洗練された方法で侵入しているという。
 同プロバイダーは、2つのドメインを持っている。通常のアイルランド(.ie)と東ティモールのためのバーチャル・ドメイン(.pt)で、後者はfreedom.ptというサイトで東ティモール関連のサービスを集中的に行っている。このサイトは先週ポルトガルのあるインターネット賞を受賞した。
 同プロバイダーのマグワイアー社長は、ハッカーたちはDanielという名前を使い、痕跡をうまく隠しているが、彼らが大学教育を受け完成された能力をもち、組織的に動き、かつ資金援助を受けていることは明らかだという。


1月25日
LUSA, Lisbon
 1月24日(日)に閉会したリスボンでの東ティモール女性会議は、「抵抗勢力のすべての意思決定にさらなる東ティモール人女性の参加」を呼びかけた。 シャナナは東ティモール人女性の勇気、賢明さ、寛容をほめたたえるメッセージを会に送った。

1月26日
コンパス、ディリ
 東ティモール方面司令部(164/ Wira Dharma)司令官、トノ・スラットマン大佐は、1月25日、計画している1000人からなる人民治安部隊(Keamanan Rakyat: Kamra)に対してすでに250人をリクルートしたと語った。 250人は400人の応募者の中から選ばれた者たちで、2月1日から744大隊のもとで訓練を受け、5月1日から東ティモール内の各地で任務につくことになる。 火器はもたされず、警棒を所持することになる。

1月26日
Republika, Bandung
[Republika紙はICMI(イスラム知識人協会)系の新聞。]
 約250人の東ティモールに赴任している教師が異動を申し出ている。ジャワなど西インドネシア地方出身者ばかりでなく、東西ヌサ・トゥンガラ州、マルクなどの教師も申し出ている。
 インドラ・ジャティ・シディ教育文化省初等中等教育局長は「外来の教師に対する住民の遇し方は本来よくなかった。それで彼らはバカにされたとか侮辱されたとか感じているのだ」と言っている。暴力をふるわれることもあったという。 異動を申し出ている教師の大半は中学校以上で、小学校の教師はすでに東ティモール人が多くなっている。
 インドラ氏は背景に政治的理由があることを認め、教師たちの申し出は理解できるものだと述べている。
 教育文化省としてはより正確な実態を把握し、各方面と検討し、解決策をさがすとしている。

1月25日
AFP, Jakarta
 25日(月)、アラタス外相はシャナナの拘留方法について政府がさまざまな可能性を研究していると述べた。そのうち自宅軟禁は、国連事務総長側から提案されたもので、一個のアイデアにすぎず、まだ具体的なことは何も言えない、とも語った。 ただムラディ法相の弁を引用して、すでに受刑中の者を自宅軟禁にはできないと、外相は語った。
 西側外交筋もアラタス外相が自宅軟禁のことを何度か口にしたことを確認している。

1月26日
AAP, Canberra
 労働党(野党)シャドー外相のブレテトン議員は、東ティモールの訪問を申請していたがインドネシア政府から拒否されたことを明らかにした。 インドネシア政府は時期が都合が悪い、今は住民投票支持派がみさかいのない行動に出ている、などと返事をしているが、ブレレトン議員は、時期が悪いと断られるのは初めてではないとコメントした。
 先日欧州議会の訪問も拒否されている。

1月26日
AAP, Adelaide
 AusAID(オーストラリア援助局)によれば、最近暴力事件があったスアイに派遣されていた2人のスタッフが危険をさけるためディリに戻ることになった。またマリアナにいたスタッフもディリに戻る。
 CNRTによると、スアイでは妊婦をふくむ4人がインドネシア軍が武器を渡した民間人(準軍組織)によって射殺されたという。神父が遺体を埋葬しようとしても彼らが阻止している。
 一方、ディリのヤヤサン・ハック(法・正義協会)によると、現在ディリにいる難民の数は700人にのぼる。
 
1月21日
RDP Antena 1, Radio, Lisbon
 ジャカルタの利益代表部に赴任するポルトガルの外交官、アナ・ゴメス氏のインタビュー。(要点のみ)
[アナ・ゴメス]今回の協定で私たちが絶対に重要だと考え求めたことは、東ティモール人への自由なアクセスだった。東ティモールへは当然のこと、バリやジャカルタにいる東ティモール人コミュニティーに対するアクセスだ。
[レポーター]インドネシア政府はそれを許可したか。
[アナ・ゴメス]着任した後ただちに東ティモールへの訪問を行う予定だ。その後も定期的にそれを行いたい。

1月25日
AAP, London
 ガーディアン紙(本日付)は、ブレア政権はインドネシアに対する64個の新規武器契約を密かに結んでいたと報じた。この事実はジョン・ピルジャーの番組によって報道された。彼によれば1997年8月から1年間で、許可されなかったのはたったの1%にも満たない。
 イギリスの水砲(water cannon)はインドネシアのデモ隊に対して使われている。クック外相は国内の弾圧や対外的な侵略に武器をつかうような政権には武器売約を許可しないと言っているにもかかわらず。

1月27日
The Age
Timor policy change reconciles old allies
 ジョゼ・ラモス・ホルタは最近の豪外務省との会合で、東ティモールの独立がオーストラリアのティモール・ギャップの石油利権を混乱におとしいれることはないだろうと語っていたことを、同紙に語った。彼によればオーストラリア政府側からはこの問題は出されなかったが、彼の方から、オーストラリアの企業はそのままやれると述べた。

1月27日
AFP, Jakarta
 ユヌス・ヨスフィア情報大臣は、ハビビ大統領が議長をつとめる政治・治安分野に関する月例の閣議のあと、「地方自治プラスの提案が東ティモールの多数によって受け入れられなければ、われわれは新しく選ばれる国民協議会に東ティモールの分離を議論するよう提案する」と語った。
 アラタス外相も同じ席で、もし東ティモール人が自治案を受け入れなければ、政府が新しい国民協議会に東ティモールの分離を提案するつもりだと語った。それは公正で、賢明で、民主的で、インドネシアの憲法に合ってもいると。一方、アラタス外相はインドネシアはまだ自治案を最善のものと考えており、住民投票は内戦をもたらすだけだと語った。
 またシャナナについて、ヨスフィア情報相は、自宅軟禁という形式ではないが、特別な「監獄」を検討していると語った。
 ベロ司教はインドネシア政府の提案を歓迎しながらも、やはり住民投票を求めると語った。
 ジョゼ・ラモス・ホルタは、「私は疑っている。インドネシア側は信用できない。彼らは約束したことを実行しない。これは外交上のスタント・プレーであり、国際社会の好意を勝ち取ろうとする一方で、東ティモールではテロを行っている」と語った。

1月26日
ロイター、ジュネーブ
 コフィ・アナン事務総長は記者会見でシャナナの釈放についてインドネシアと討議していることを明らかにした。事務総長は「彼が人々とより多く接触できるようになったことはうれしい。理想的には彼が釈放されることをわれわれは望んでおり、その件に関して当局に話をしている」と語った。 

1月26日
AFP, Dublin
 アイルランドのConnect-Irelandを攻撃したハッカーたちはカナダ、アメリカ、オーストラリア、そして日本のサーバーから攻撃をしかけてきたことを、同プロバイダーのマグワイアー社長は明らかにした。そしてセキュリティーがあやうくなった段階で、緊急用の自己破壊プログラムを作動させたと述べた。またハッカーたちはみなひとつの部屋にいてあちこちのサーバーを経由して攻撃をしかけたとも考えられると語った。
 このプロバイダーは13ヶ月前にwww.freedom.tpというサイトを設置していた。

1月26日
AFP, Jakarta
 東ティモールの元州議会議員マヌエル・カラスカラォンは、26日、ジャカルタからのAFPの電話インタビューに答えて、スアイでは少なくとも4人が殺されたと語った。
 スアイでは軍が住民に武器を与え「マヒディ」という武装グループを作っており、これが4人を殺害したものと住民は考えている。スアイの教会は人々が避難してくるのを受け入れているが食糧が底をつきそうだ。銃撃で負傷した住民を助けようとした医者、看護婦はなぐられている。
 スアイ周辺では過去4週間で22人が殺された。殺したのは軍が訓練した民間人治安部隊でRatihと呼ばれる。またこれにHalilintar(稲妻)というかつてから存在する暴力グループも加わっている。

1月27日
東ティモール人権センター(メルボルン)発表
 1月25日夜10時、インドネシア軍と準軍組織の兵士がガリタス村を攻撃し、住民に発砲した。この襲撃でOlandino Pereira, Angelina de Jesus, Luis Pereiraの3人が死亡した。
 Angelinaは妊娠していた。Luisは15才。
 さらに2人が負傷。6人が事件以後失踪している。 少なくとも200人の住民がスアイの教会に避難して逃げ込んでいる。 24日にはズマライ郡で、Fernando CardosoがRatihという名の準軍組織によって殺されたようである。彼の遺体は手足を切り取られ、頭を地上にさらしたまま道路脇に埋められていたという。

1月28日
各紙・各通信社
 昨日のインドネシア政府による東ティモール分離提案についての各方面の反応をひろってみました。

AFP, Jakarta, Jan. 27
ベロ司教
 もしこれが実行に移されるならばうれしい。しかし私がこの10年間なり15年間に言ってきたことは自治の提案はそれが人々が望んでいることかどうか、住民投票が必要だということだ。

Kompas, Jakarta, Jan. 28
現地の住民の反応
 インドネシアのテレビ放送があってから、東ティモール人の中には子どもをかかえて近所を訪ね手を振り合って喜びを表現するなどする人たちがいた。そしてハビビ大統領をほめたたえた。

AFP, Sydney, Jan. 27
ジョゼ・ラモス・ホルタ(東ティモール民族抵抗評議会副代表)
 まだ疑わしいと思う。インドネシア側を私は信用していない。これは煙幕(本心を覆い隠すためのもの)、ないしは外交的なスタント・プレーにすぎない。国際社会の好意を勝ち取ろうとしているが、一方で東ティモールでテロを行っている。重要なことは東ティモールの現地の現実だ。人々は殺され女性はレイプされ拷問が野放し状態だ。われわれはインドネシア軍の撤退、国際的警察機構への交代、自決権に関する住民投票を求める。

AFP, Lisbon, Jan. 27
ジョルジュ・サンパイオポルトガル大統領
 (インドネシアの)発表はそれ自身は否定的な内容ではない。インドネシア人の中にもいろいろな意見があることを示唆している。このことは物事を進展させるだろう。しかしそれについて議論するにはまだ機が熟していない。

AFP, Lisbon, Jan. 27
ロケ・ロドリゲス(民族抵抗評議会リスボン代表) まだかなり疑っている。インドネシアはこうすると言って別なことをする。ハビビ氏のインドネシア政府には何の信用もない。しかしこの前例のないインドネシアの立場は一歩前進であるが、インドネシア政府はベロ司教に軍の撤退を約束しながら実際には増やしていると述べた。

AFP, Lisbon, Jan. 27
アビリオ・アラジョ(元フレテリン海外代表部長
 インドネシアの撤退にはまだ機が熟していない。東ティモールは自分だけでやっていく準備ができていないからだ。

AFP, Lisbon, Jan. 27
サルバドル・シメネス・ソアレス(インドネシア国民協議会議員
) 私はこのニュースを疑いもって聞いている。この声明の背後にいかなる善意があるのか疑っている。ひとつの障害はインドネシア軍が議会にまだ席をもっていることだ。東ティモールはインドネシアにとってプライドの問題なのだ。
 また東ティモール人の分裂も先鋭化するだろう。われわれは広範な自治という地位や独立について議論し、東ティモール住民にそれぞれどういう結果になるのか、きちんと知らしめることが必要だ。人々が結果も知らずに選択してしまうのではないかと心配している。政治的には自分たちの大統領をもつことはできても、経済的にはインドネシアに依存することになるだろう。

Kompas, Jakarta, Jan. 28
マヌエル・カラスカラォン(民族統一和解運動、CNRT)
 政府の決定はポジティブだ。しかし問題は住民投票によってよりよく解決できる。

Kompas, Jakarta, Jan. 28
アントニオ・カストロ、東ティモール大学政治学部講師
 政府の決定は新たな紛争の種をまくことになるかも知れない。内戦がおこりつつある。(インドネシアとの)合併を支持する人は多い。今は移行期間として自治を選ぶべきときだ。

UN news briefing, Jan. 27
国連事務総長
 インドネシア政府の二つの決定を歓迎する。

1月27日
ロイター、ジャカルタ
 ハビビ大統領のスポークス・パーソンとなっているデウィ・フォルトゥナ・アンワルは刑務所の「支部」としての家に彼を収容することを考えていると述べた。

1月27日
ANTARA, Jakarta
 アラタス外相は記者会見で、先の閣議で決めたことはそういう方向に現実が向かうということを意味するものではない。それは単なるひとつの選択肢に過ぎない。われわれはまず広範な自治について議論する。われわれはそれをもっとも現実的で、公正で、実際的で、もっとも平和を保証するものだとみなしている。 しかし住民投票には反対である。住民投票を5年だか10年だか自治期間の最後に行えばまた権力闘争が激しくなる。
 またハビビ大統領の今回の対応はハワード豪首相の手紙も一因となっている。

1月28日
CAFOD Press Release, London
 カトリックの援助団体CAFODの東ティモール担当スタッフ、スティーブ・アルストンは東ティモール情勢が悪化しており内戦へとすべりこんでいってしまうと警告を発した。
 彼は「インドネシア政府の政策変更は歓迎するが、東ティモールの情勢悪化はそうしたメッセージとはうらはらだ。インドネシア軍は武装グループに武器を供給しており、すでに不安定な事態をさらにエスカレートさせている。残念ながらそれは公正な選挙とか開かれた住民投票を行うことを不可能にしようというインドネシアの意図的な戦略だと思われる。現在のインドネシアの憲法的な枠組みで選挙が行われれば、議員は東ティモール人じゃない人が3分の1をしめる地区から選ばれることになる。これは東ティモール人にとって受け入れられないことだ」と述べた。

1月28日
各方面の反応

アミン・ライス
International Herald Tribune, Jan. 28
 私は住民投票が唯一の解決策だと思う。しかし住民投票はすぐには行えない。そうしないと事態は悪化し内戦になる可能性もある。

米国政府
AFP, Jan. 27

 米国は当事者が支持し平和的で恒久的な解決となるような東ティモールの未来の地位についてのいかなる合意をも歓迎する。新しいインドネシア政府の政策は東ティモール人に彼らの将来について直接的な役割を与えるもののようである。現段階では、われわれはインドネシアがいかなる方法でこの最新の提案を東ティモール人に対して協議にふすのか、詳しい計画は知らない。

注:アメリカのこの高官は趣旨を勘違いしているように思われますが。

マリオ・カラスカラォン(元東ティモール州知事、現在インドネシア最高顧問会議)
Lusa, Macau, Jan. 28
 驚いている。火曜日にハビビ大統領と会って自治案について議論したが、独立の話は出なかった。

マヌエル・カラスカラォン(元東ティモール州議会議員) Lusa, Macau, Jan. 28
 一歩前進だが、インドネシア政府にとってさらなる問題を作り出すものだ。他の州が東ティモールの例にならって独立を求めるようになる。

(同じ)
Reuters, Jakarta, Jan. 28
 東ティモールはすでに独立の準備はできている。内戦を云々するのはナンセンスだ。最近の衝突はインドネシア軍がその駐留を正当化するために挑発していることだ。

アザンコット・メネゼス(東ティモール社会党リスボン代表)
Lusa, Macau, Jan. 28
 政治的策謀であり情報作戦だ。インドネシアは「われわれは撤退する、そして内戦になるだろう」と言っているのだ。

ロイド・アクスワーシー(カナダ外相)
Lusa, Macau, Jan. 28
 各方面に問題の長期的解決をはかるよう要請する。インドネシア政府は問題解決を決意したようだ。

ドゥアォン・バローゾ(元ポルトガル外相、社民党)
Lusa, Macau, Jan. 28
 1999年は東ティモールにいいニュースをもたらす年になるだろう。しかしインドネシアの発表は「暗黙の脅し」も同然だ。

アルミンド・マリアノ(東ティモール州議会議長)
Reuters, Jakarta, Jan. 28
 まちがいなく内戦が起きるだろう。独立への準備はできていない。インドネシアの軍隊や警察がいるにもかかわらず状況は混乱している。東ティモール人は昔から部族衝突がたえなかった。
 しかしインドネシア政府の提案は歓迎する。

クレメンティノ・ドス・レイス・アマラル(インドネシア国内人権委員会委員)
Reuters, Jakarta, Jan. 28
 インドネシア政府はポルトガル政府と同じように東ティモールを放棄しようとしている。人々は準備ができていない。インドネシアは長年テロ、暴力、猜疑などを作り出してきた。独立を語る前に、住民の武装化を停止すべきだ。

ジョン・ドウド(国際法律家協会オーストラリア支部長)
AAP, Canberra, Jan. 28
 現段階でのインドネシア政府の動きはすべて国際世論の沈静化をねらったもので、実際にはインドネシア側は幅広く選択肢を残している。インドネシア政府は国際世論や経済的手段で圧力をかけなければ東ティモールを手放さないだろう。独立過程は国際的な監視、平和維持軍が必要だ。国際的な監視委員会をつくるべきだし、国連は平和監視団を派遣すべきだ。

1月28日
ロイター、ジャカルタ

 インドネシア国軍のウィラント総司令官は「もし状況が東ティモールがインドネシア共和国から名誉ある分離を許すことになったら、国軍もその決定を尊重する」と記者たちに語り、政府の政策変更を支持することを明らかにした。
 総司令官はまた「統合が(当時)最善の解決策だったことは、誰もが認めなければならない。しかしもし東ティモールがインドネシアから分離するとしたら、それはその時点での最善の解決策なのだ」と語った。
 「インドネシア国軍の東ティモールへの介入は、ポルトガルが恣意的に放棄した地域でのさらなる流血を防止するためだった。それは最善の策だったのか。これ以上、お互いを責めるべきではない」
 ウィラント大将によると、東ティモールでなくなったインドネシア兵は1万人以上になるという。
 

1月28日
ロイター、ジャカルタ

 オーストラリア在住のインドネシア人学者アリフ・ブディマン氏(メルボルン大学教授)は「やっていけることはまちがいない。金持ちというふうにはならないだろうし、たいへんなことだと思うが、できるだろう」、「問題は経済ではなく政治的だ。独立派とインドネシア派が対立した過去が理由だ」「もし健全な法律を施行できれば、そして政治的安定を確保できれば、台湾や韓国、オーストラリアから外国企業をひきつけることができるだろう。外国からの援助に相当依存するだろうが、アフリカのいくつかの国々よりはやってける」と語った。 一方、インドネシアの政治学者ムハマド・ヒカム氏は「東ティモールが生存していけるかどうかが心配だ。政治的インフラが独立の用意ができていないため、騒ぎが起きるかもしれない」と語った。
 

1月28日
Sydney Morning Herald, Dili

 カトリックの援助団体であるカリタスは、昨日までに2678人がスアイでの事件の結果、町に逃げてきたと発表した。(町とはスアイのこと?) ディリにはアラス、トゥリスカイ、リキサ、マウバラなどからインドネシア軍、準軍組織の暴力を恐れて1000人以上が難民となってきている。
 ハリリンタル(インドネシア語で「稲妻」)という名前の東ティモール人による武装組織(統合派)が1月14日、村人がマウバラへ帰ろうとしたところ3人を殺害したとされ、ディリにいる難民たちを恐怖におとしいれている。

1月28日
ロイター、ジャカルタ

 政治学者ムハマド・ヒカム氏は「まったくばかげている。もはやそんなことは言えない」「インドネシアのバルカン化はないと思う。さらなる自治要求がどっとおしよせるというのが事実だろう」と述べた。
 ハビビ大統領のブレーンであるデウィ・フォルトゥナ・アンワル氏は「東ティモールが(離れて)行ったら、他も追随すると考えてはいない。しかし、経済危機と軍隊による(人権)侵害が遠心的に作用しているという懸念は、軽んじることはできない。問題の種になっているのは、インドネシアに属するかどうかというのではなく、こうした問題だ。政府は地方自治がもっとないと定着しないことに気づいた」と述べている。
 オーストラリアのインドネシア政治専門家ハルルド・クロウチ氏は「国が解体するというようなことはさしせまった脅威ではない。もし人々が公平に分け前をえていると感じる限り」と述べている。

1月26日
ETAN Press Release

 マサチューセッツ州のフォール・リバー市は26日(火)、東ティモールの自決権を支持する決議を全会一致で採択した。
 決議は、市は国連交渉に東ティモール人を含めることを求める、連邦政府に東ティモールの不法な占領を非難し東ティモール人の自決権と基本的人権を支持するよう求める、マサチューセッツ州がインドネシアと取引関係のある企業に対する選択購買制度をすすめる政策をすすめるよう州出身議員にもとめる、近隣の自治体に対してもこれと同様の決議をプロモートする、などを内容とする。

P1月28日
IPS, Jakarta
[今回の決断の背景にあるアラタスの気持ち。この発言はいくつかのメディアで引用されているようです。]
 「5年から10年インドネシア政府が自治をやって、そして東ティモール人が望み通りに自由になって、一方われわれはそれを資金的に支え続ける、なぜなら彼らには国家的な収入源がないからだ。そして彼らは『ありがとう、さようなら』と言う」。

1月29日
LUSA, Lisbon
 28日木曜日、グテレス首相は、まだはっきりとした立場をとるには早すぎる、インドネシアからは「矛盾した」シグナルが発せられているからだと、インドネシア軍による民間人武装化について言及しつつコメントした。しかしこれが本当であれば、特別にポジティブな進展だとも述べた。
 また首相は、ジャイミ・ガマ外相がアラタス外相とこの件に関して会う用意があると述べた。


1月29日
ロイター、ジャカルタ

 シャナナは金曜日、東ティモールでの停戦を呼びかけた。
 「インドネシア政府は住民の武装化をやめ、軍を削減し、可能ならばわれわれと停戦協定を結ぶべきである」とチピナン刑務所で記者たちに語った。
 またシャナナはインドネシア側のいう事実上の自宅軟禁を受け入れるとも語った。
 独立についてはまだ準備ができていないとし、「(遅くなっても)ないよりはいい」「われわれはこの決定をうれしく思うが、解決は時間と労力がかかる」と述べた。 しかし、もし明日独立したとしてもやっていけるとして、すぐに内戦になるという考えについては拒否した。

1月31日

 28日、赤谷鑑さんがガンのためニューヨークの自宅でなくなった。赤谷さんは「国際東ティモール連盟」の生みの親とも言える人で、東ティモールのために、そして平和問題のために、なくなる直前までがんばり、周囲の人々を励まし続けた。
 1920年上海生まれ。中国でアメリカン・スクールに通い、上智大学に学んだ後、徴兵されて空軍へ。戦後は占領軍にやとわれてミクロネシアの土地所有者の確認作業に従事した。
 その後は外務省につとめ、ガーナ、タイなどへ勤務。若きアラタス外相とバンコク時代に出会っている。1971年から国連広報局につとめ18年間勤務した。
 1991年、東ティモールの国際的な連帯会議に、国連広報局への登録を提案し、翌年それは実現した。赤谷さん自身が国際東ティモール連盟のニューヨーク代表をつとめ、数年後に発作でたおれたのちは、アメリカの支援グループにその仕事を譲った。
 日本のカトリック正義と平和協議会の国連非植民地化特別委員会での陳述を行ったり、日本からの支援グループのメンバー、国会議員の国連訪問時などよく世話された。
 鑑(かん)という名前は、内村鑑三から来ていると教えられた。クリスチャンとして平和と人権のために活動する若い人たちを激励し続けた。

[アメリカのグループのチャーリー・シャイナーさんの記述をかなり参考にして書きました。松野明久]

ディリの人権委員会委員、状況を語る
1月30日
AFP, Jakarta

 国内人権委員会ディリ支部のフロレンティノ・サルメント氏は、最近の東ティモールの情勢について電話で次のように語った。 コバリマ県での襲撃では6人が死亡し2人が負傷。
 スアイへの大量難民の発生は正しく、すでに5100人に達している。
 食糧は問題ないが、地域住民の食糧生産(農業)がおびやかされている。 双方からの攻撃・報復が終わることなく続いている。インドネシアは併合派に不法に武器を提供している。
 しかし併合派が武装を求めるのも理解できる。なぜなら彼らは独立派によって迫害され、テロ行為を受けているからだ。すでに30軒ぐらいの家が焼かれている。一方、併合派も独立派を攻撃している。
 さらにディリの病院のある看護婦によれば、病院は火曜日より閉鎖されている。インドネシア人職員が命の危険を感じている。ある慢性の心臓病の子どもが死亡したときインドネシア人医師がなぐられたという事件があり、それで火曜日以後閉鎖している。

1月29日
South China Mornign Post (Hongkong)
CNRTによる独立東ティモールの経済展望

 東ティモール民族抵抗評議会(CNRT)が出した500頁に昇る東ティモールが独立した場合の経済的展望によると、今すぐ独立した場合、予算は毎年1億5000万米ドルの赤字になる。
 報告書をまとめたFrancisco Cepedaは準備のための移行期間が必要だと語っている。

1月30日
ガーディアン(イギリス)
東ティモール駐留軍、独立案に不満の示威行為

 昨日、ディリではインドネシア軍の駐留部隊が15分間ではあるが、何百発もの発砲を空中に行った。これは東ティモール人に対する威嚇行為であり、また政府が突然提示した独立容認案への不満を表明するものだったと解釈される。
 突然出てきて空に向かって発砲し、治安要員もそれを止めようとはしなかった。
 マヌエル・カラスカラォン氏によると、軍は中央政府・軍中央指導部の言っていることとまったくちがうことをしている。
 カラスカラォン氏宅には250人の避難民が逃れてきている。

1月30日
コンパス紙
グス・ドゥル、メガワティは政府提案に反対

 インドネシア最大のイスラム組織ナフダトゥル・ウラマのアブドゥルラフマン・ワヒド総裁(グゥ・ドゥル)は、東ティモールに固執したところで短期的な利益はなかったが、それでも政府は東ティモールをインドネシアに入れようと決定したわけで、われわれはそれを尊重し、したがって東ティモールはインドネシアにとどまるべきだ、と語った。しかしシャナナ釈放については賛成した。
 またメガワティ党争民主党総裁は、声明文を発表し、ハビビ政権は正当性のない暫定政権であり、こうした重大な問題について決定を下す権限はない、東ティモールのインドネシアへの合併は政治的にも憲法的にも合法的で、1976年の法律7号(合併法)によって尊重されているとおり、東ティモール人の表明された意思を反映したものだったと述べた。
 

1月30日
日本政府の発表

1 今回の決定を含むインドネシア政府の努力を歓迎する。2 インドネシア、ポルトガル、東ティモールという当事者間の対話を通じて平和的に解決されることを希望し、ひきつづき関心を持って事態を見守る。

以上、以下の英文から。

Date: Sat, 30 Jan 1999 11:00:17 -0500
From: "John M. Miller" <fbp@igc.apc.org>

On the East Timor Issue (Statement by the Press Secretary/Director-General for Press and Public Relations, Ministry of Foreign Affairs)

January 28, 1999

1.With regard to the Indonesian Government's decision on the East Timor issue, Japan welcomes the Indonesian Government's efforts, including this decision, for the solution of the East Timor issue.

2.Japan hopes that the East Timor issue will be solved peacefully through dialogue among those concerned in Indonesia, Portugal and East Timor, and continues to closely follow any developments with great interest.

(End)

1月29日
ソリダモル、速やかな住民投票を呼びかける

 ソリダモル(Solidamor: 東ティモールの平和的解決のためのインドネシア連帯)は、東ティモール人は自決権をもっており、インドネシア政府が彼らの決定権をうばうことはできない、したがって国民協議会が決定するとした政府案は不適切であり、東ティモール人が国連監督下で住民投票を行えるようインドネシア政府はただちにその調整に入るべきだとの声明を発表した。

1月31日
The Age
ラモス・ホルタ執筆「なぜ私がオーストラリア人になりたいか」

 ラモス・ホルタはオーストラリア国籍を申請したことの理由を、この自ら執筆した記事で説明している。オーストラリアが開かれた他文化社会である等々。
 しかし真相はよくわからない。


1月30日
AFP, Davos (Switzerland)
ギナンジャル調整相「東ティモールはコストがかかりすぎるというだけではない」

 スイスを訪問中のインドネシア政府のギナンジャル・カルタサスミタ経済調整相は、東ティモールは金銭的・物質的にコストがかかりすぎるというだけでなく、政治的にもそうだったと語った。しかしインドネシア政府の決定は、改革の一環として新しいページを切り開きたいということだ、インドネシアは世界で3番目に大きな民主主義国になるつもりだと語った。
 

1月29日
LUSA, New York
ポルトガル政府は国連の枠組みを最重視

 ニューヨークでポルトガル政府代表団を率いてインドネシアと交渉に入っているフランシスコ・ネベス氏は、金曜日(29日)、ポルトガルは現在の国連の枠組み以外の解決は無意味だと語った。しかしポルトガルは主権を主張するつもりはない。
 インドネシアは進行中の国連仲介の交渉において、新しい政策について提示していない。インドネシアはひとつの立場を公に打ち出しながら、交渉では別のことをやるという「二重性」におちいっており、ネベス氏も国連のジャムシード・マーカー特使もともに「解釈しがたい」事態だとのコメントを出している。
 交渉は金曜日まで続く。

1月29日
LUSA, United Nations
1・2週間以内に両国外相が会合の可能性

 インドネシアの交渉団を率いているヌグロホ・ウィスヌムルティ氏は、1、2週間以内に両国外相が会談する可能性があることを示唆した。

1月29日
LUSA, Lisbon
ポルトガル、インドネシアの記者が相互に駐在

 ポルトガルの通信社ルサの記者、Paulo Alexandre Nogueiraがジャカルタに常駐することになった。一方、アンタラ通信の記者もリスボンに2月2日より常駐となる。両国の交渉において、信頼醸成措置の一環として決まっていた。

1月30日
BBC World News
ソアレス州知事、インドネシア人移民に残るよう要請

 アビリオ・ソアレス東ティモール州知事はインドネシア人が逃げ帰ろうとしていることを受け、残るように要請した。

1月30日
ロイター、ジャカルタ
サンタクルス墓地で独立要求集会

 約500人がディリ市内のサンタクルス墓地に集まり、独立を求める集会を行った。集会では墓地に花をささげ、自治案を拒否するなどと気勢を上げた。

1月29日
Indonesian Observer, Jakarta

 国会のアイシャ・アミニ第1委員会(政治治安)委員長は、アラタス外相から東ティモール政策変更について説明を受けるために外相を国会に召喚することを発表した。彼女は「独立が最優先ではないはず。まず広範な自治を与え、自立できるようにすべきだ」と語った。Japan welcomes Indonesia move on East Timor

TOKYO, Jan 29 (AFP) - Japan's government Friday welcomed Indonesia's efforts to resolve the question of East Timor, following the first sign Jakarta may offer the province independence.

"Japan welcomes the Indonesian government's efforts ... for a solution of the East Timor issue," said Masaki Okada, deputy press secretary at the foreign ministry.

Tokyo hoped the East Timor row would be "solved peacefully through dialogue among those concerned in Indonesia, Portugal and East Timor," he said, adding that it would "continue to follow it with great interest".

East Timor, a former Portuguese colony invaded by Indonesia in 1975 and annexed the following year, is fighting for its independence from Jakarta.

The Indonesian government said Wednesday it would recommend to a new parliament to take office in June that it "cut off" East Timor if its people rejected an offer of autonomy.

But the position was clarified at the United Nations in New York on Thursday when Jakarta ruled out a refendum on East Timor autonomy and said independence would be a "worst-case scenario."

ゥAFP

1月29日
AFP, Tokyo

 29日(金)、外務省の岡田まさき副報道官は「日本はインドネシア政府の努力を歓迎する」「日本政府はインドネシア、ポルトガル、東ティモールの当事者間による対話によって平和的に解決されることを望んでいる。今後も多大な関心をもって見守っていく」と述べた。

1月29日
AFP, Jakarta

 マコタホテルの従業員が匿名でAFPに電話を通じて語ったところによると、29日(金)、ディリで合併擁護派の集会に2台のトラックで独立派の連中がやってきて外で「祖国を売るつもりか、銃なんか使わず、男らしく闘え」などと叫んだところ、中から10人ぐらいの民間のガードマンが出てきて、まず空に向かって警砲をうったのち、さらに彼らを追いかけて弾を発射したという。
 負傷者はいない。

1月30日
Sydney Morning Herald, Jakarta
東ティモール/インドネシア人移民が逃げ出す

 インドネシア人移民たちが逃げ出している。ジャカルタへのフェリーは数百人が押し寄せたため3時間遅れでディリの港を出発した。またイスラム教徒の移民たち(=インドネシア人)はクパンへ所持品を発送しはじめている。

スアイ難民の悲惨な状況
1月30日
Sydeny Morning Herald, Suai, East Timor

  4500人の難民がスアイの町の教会と学校に避難しているが、悲惨な状況だ。昼間は太陽の下に立ちっぱなし、夜は外で寝る。水道は蛇口がひとつ。
 「水もなく、薬もなく、トイレットもなく、食糧もほとんどない」とコーディネーターのアドリアノ・ド・ナシメントは言う。「4日間も水浴びをしていない。下痢や呼吸器系の問題がすでに生じている。
 ガリタスという村で住民がインドネシア軍に武装された民間人に殺された。その遺体を収容にいったフランシスコ・ソアレス神父は、殺された女性は頭に銃弾のあとがあり、彼女の子宮が切られていた。

オーストラリアは平和維持軍を派遣しない
1月30日
The Age, Canberra

 ハワード首相は、ジョゼ・ラモス・ホルタがオーストラリアなどを含めた国際的な暫定行政機構をつくるべきだと呼びかけたのを受けて、オーストラリアはこれからも役割を果たしていくが、平和維持軍については約束できないと語った。 すでにブーゲンビルの平和監視に8千万ドルを出しているので、これ以上の平和維持活動を約束することはできないという。

1月31日(書かれたのは数日前)
ETAN, USA
スアイの難民の状況についての匿名情報

 今や難民は6000人以上になっている。昨夜、3才にならない子どもが2人下痢で死んだ。
 テントが建てられ、10個のトイレもつくられた。新しい吸水パイプも敷設された。あるNGOが軍が破壊した水道を普及しようと活動している。 下痢が蔓延している。インドネシア軍はいくらかの食糧を援助した。 殺害事件がおきた町より東の地域では、ルイ・イメリアノ・ロペスに率いられた準軍組織が支配しており、インドネシア軍はこれらの地域の調査、遺体の引き取りなどを拒み、またこうした「盗賊」たちを取り締まろうとしない。
 赤十字国際委員会が昨夜到着し、カリタスなどと協力体制をつくっている。CAREは担当者がいなくて対応できていないが、本日中に戻る予定だ。赤十字国際委員会には食糧や医薬品のストックがまったくない。

リキサの難民

 約2000人がマウバラ、ロエス、カイラク地方からの難民としてリキサに避難している。多くは親戚にかくまわれ、大きな問題とはなっていないようだ。赤十字がチェックしている。

ディリの難民

 約2000人がアラス、アイナロからの難民としてディリに避難している。赤十字がモニターしている。

ディリの状況

 今日は静かだが昨日は騒動があった。多くの東ティモール人でない移民者たちが逃げ帰ろうとしている。反合併派のグループが移民たちを迫害しており、家に入って略奪したり、窓を壊したりなどしている。飛行機は来週の分まですでに満杯。フェリーも出発に3時間遅れた。
 武器は各県あたり500丁、合計7000丁が配られている。 準軍組織がマヌエル・カラスカラォンを含む指導者たちの家を襲撃している。CNRTはナイフなどで自衛しているが、準軍組織は自動式の銃までもっており、それらを白昼見せながら町を歩いている。
 先日のマコタ・ホテル事件では、アラタス外相らが提示した分離案をめぐって

1月30日
Antara, United Nations
ポルトガル・インドネシアの外相会談は2月末

 インドネシアとポルトガルの外相は2月末に会談をすることが決まった。ただし議題は自治案をどうするかであり、独立問題ではない。インドネシアは分離の考えを口頭で説明したが、文書で国連には提出していない。
 一方、国連の政治囚に関する作業部会のメンバーでフランスのLouis JoinetとチリのRoberto Garretonの2人の国際法専門家が2月1-12日にインドネシアと東ティモールを訪問し、政治囚の状態についての研究を行う。シャナナにも面会する予定だ。

1月31日
Kompas Online, Dili
小学校教師と警察官撃ち殺される

 ボボナロ県リバボ村の小学校教師、Abel Martins (45)とバウカウの交通巡査、I Made Koji(バリ人)が銃で撃たれるという事件がおきている。 アベル・マルティンスは正体のわからない青年グループに襲われた。彼はその青年グループに襲撃された隣人を助けようとしていた。
 東ティモールの警察の広報担当官の説明は以下の通り。 青年グループがある未亡人の家にやってきてドアを開けろと言った。女性が拒否すると彼らはドアに放火した。それで近所の人たちも驚き、マルティンスも出てきたが、彼は青年たちに止められた。彼らは顔をおおい、インドネシア軍のような服を着ていた。マルティンスは、泥棒するなら昼間の来いと言った。青年たちが撃ち殺すぞとおどすと、やるならやれと返答した。そして背後から左胸を撃たれ、青年たちは逃走した。
 またイ・マデ・コジ巡査は1月28日にデンパサルの家族に電話しようと電話局にいたが、突然背後から首を撃たれた。すぐにウィラフサダ陸軍病院に運ばれた。のちにバリに移送された。


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